10月8日に起きたアフガニスタンのイスラム教シーア派モスクでの自爆テロは、死者46人、負傷者140人以上とされるが重体患者が多く、死者はが更に増える恐れがあると伝えれれている。
スンニ派過激組織イスラム国(IS)系の「ホラサン州(IS-K)」の犯行声明は、「自爆実行犯は中国が弾圧するウイグル人で、標的としたのはアフガン国内で少数派のシーア派と、中国の要求に応じてアフガン国内のウイグル人を迫害しようとしているタリバンの双方を標的にした」としている。
タリバンが首都カブールを制圧して約1か月が経過したが、逸早く中国の支援を取り付けたタリバンによって誕生した新政権は、当初内外に宣言したような「国内諸勢力を糾合した”穏やかなイスラム法に基づく”統治機構」とは裏腹なタリバン単独政権であった。
諸情報から現在のアフガン国民生活を推測すれば、旱魃や武漢コロナの影響で人口の3割に当たる1200万人が深刻かつ緊急の食糧不安を抱えているとされている。
国連等による人道支援について調べて見ると、既にアメリカ6,400万㌦(70億円)、日本6,500万㌦(71億円)を始めとして、各国から総計11億㌦(1200億円)の拠出が表明されているようであるが、グテレス事務総長が「国内での支援物資配分のためのインフラが崩壊」、各国も「タリバン政府による支援物資の配達妨害」を理由に、支援を躊躇している現状に思える。
現在でもアフガン国内で国連の世界食糧計画(WFP)や難民高等弁務官事務所(UNHCR)を始めとして日本のNPO「JEN」等が活動を継続しているとされているが、過去のアフリカ諸国で国連の支援物資が政府によって強奪されるケースがあったように、善意の人道支援⇒タリバン(テロ・独裁)支援となる危険性が極めて大きいと観て各国が支援を躊躇する現状もやむを得ないものかと思える。
力の空白地帯に浸透して漁夫の利を得ることを得意とする中国は、ソ連・アメリカが失敗したアフガンに対して、現在のところ経済支援やコロナワクチン供与を表明するに留まっているが、今回の自爆テロが「ウィグル族への紐帯による反中国」を標榜していることから、IS-K討伐のための軍事支援にまで拡大を余儀なくされることも予想される。
このような現状から、アフガンの安定とアフガン国民の救済は、前途遼遠とする以上に近未来では不可能であるようにも思える。
アフガンの混乱(タリバンとISの主導権争い)の原因の一つが、国を安定・繁栄させるための最適な統治機構という理念を共有しない勢力が、単にアメリカの駆逐という一事でのみ協調したことにあるのではないだろうか。アメリカが去って協調する意義が無くなれば、最適な統治機構の相違による衝突は必然であるように思える。
自分は、本ブログで立共の選挙協力は「あってはならない愚挙」と云い続けているのは、まさしくこの点である。論が分かれる功罪は別にして、明治維新で「革命から国造りまで」一貫し得たのは薩長が、「幕藩(軍閥)体制否定・天皇親政」という理念を共有したことが大きいと考える。
我々は、理念を共有しない便宜的野合は、一時的な勝利は得ることができても長期的に見れば混乱の原因となることをアフガンから学ぶべきと思う。