自分の記憶では、昭和30年代後半、ペナントレース最終盤に優勝目前の西鉄ライオンズは、最下位の近鉄バッファローズとのダブルヘッダーに連敗し、結果的には優勝を逃すことになった。この試合後に「知将」と呼ばれていた西鉄三原脩監督が記者に対して「死に馬に蹴られたようなもの」と吐き捨てた言葉が、今ならば流行語大賞になるほど流布されたと思っていた。
ブログ作成に際してネットで検索してみると、死に馬発言は《1962(昭和37)年、優勝争いしていた大洋ホエールズの監督であった三原氏が、最下位に低迷する対国鉄戦の、それも8番打者の平岩嗣朗捕手に、先制と中押しのタイムリーを打たれて負けた際、「1年に3回しかヒットを打たない打者にタイムリーされるようじゃ、死に馬に蹴られたのと同じだ」》と発言したとされている。
いずれにしても、対戦相手や個人を「死に馬」に例えることは、現在では間違いなく侮辱罪・名誉棄損・慰謝料請求に該当する発言であろうが、憤懣やる方の無い表現としては秀逸であるように思う。また、「死に馬に蹴られる」は博打場の慣用句として古くから使用されていたともされているので、麻雀好きの三原氏にあっては日常から使い慣れた言葉であったのかも知れない。閑話休題。
今年のペナントレースも終盤であるが、カープの直近の上位3球団との対戦成績は「阪神戦3連勝」、「ヤクルト戦3連敗」、「巨人戦3連勝」であり、ヤクルトのマジック点灯はカープの戦績の結果であるように思える。昨日のプロ野球ニュースで解説者の金村義明氏が「巨人の3位も黄色信号」としていたが、カープファンと雖もそれほどの展開までは期待していない。
ともあれ、温厚な紳士である阪神の矢野監督や巨人の原監督は広島戦の3連敗について、「死に馬(カープ)に蹴られた」とは絶対に口にしないであろうが、三原監督に由来する諸事を知っているオールドファンの家庭や仲間内の酒席では、この言葉が飛び交っているのではないだろうか。
ここに来て、打線の援護を得られなかった森下投手が後半戦初勝利、栗林投手が新人王当確の連続セーブ、坂倉選手若しくは鈴木誠也選手の首位打者、と心浮きたつ昨今である。