もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

美女・美人画

2021年10月18日 | 社会・政治問題

 本日は、美人画の紹介であるが、美人の概念は個人それぞれで隔絶しているため大方の理解を得るとも思えないが。

 描いたのはドイツの画家フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター(1805(文化2)年~1873(明治6)年)で、宮廷肖像画の代表的存在とされており、パリを拠点にヨーロッパ中の貴族の肖像画を描いたとされている。彼の肖像画の特徴は、モデルによく似せながらも実物以上に描く(盛る若しくは修正アプリ)ことに加え、当世流行の装身具で華を添える表現で、王侯貴族からは高く評価され、イギリス、フランス、スペイン、ロシア、ポルトガル、メキシコ、ベルギーの王家すべてから肖像画の注文が舞い込んだ。しかしながら、宗教画や歴史画を重んじて風俗画・肖像画を軽視する画壇での評価は低かったとされ、迎合的で上辺と見栄を繕った作品と批判され続けたとされている。
 ヴィンターハルターの肖像画は、《ほのかに香るような親しみやすさで、優美で洗練されたポーズと生地・毛皮・装身具の質感を伝える卓越した技法で、実物以上に好ましい理想化が加えられている》と解説されているのもうなずける。
 自分の一押しは
                                   リムスキーコルサコフ夫人(オルセー美術館蔵)  であるが、その他にも

                                        エリザベート皇后(個人蔵)

                                 侍女に囲まれたウジェニー皇后(コンピエーニュ城美術館蔵)

                                                           レオニラ・バリャティンスカヤ妃(J・ポール・ゲティ美術館蔵)

 と多彩であるが、共感して頂けるだろうか。


エルミタージュ美術館の至宝

2021年10月17日 | 美術

 19日の告示を待たずに、各政党と立候補予定者は事前運動にいそしんでいる。

 投開票日までは大音量の狂騒曲に辟易の毎日を強制されると思うので、バランスを保つ意味を込めて美術ネタで過ごすこととした。
 本日のお題は、エルミタージュ美術館所蔵の2作品である。
 1枚目は「野原の少女(50×61cm)」で、ルートヴィヒ・クナウスの代表作とされている。クナウス(1829(文政12)年~1910(明治43)年)は、ドイツの風俗画家とされているが、この作品にはメッセージ性が希薄で無心に花を摘む少女の日常がさりげなく描かれているように思う。クナウスに関してはネット上にも情報が少なく、付け焼刃の愛好家である自分には未知に等しい画家である。
                                       野原の少女(クナウス)

 2枚目は、ルイ・ガレの「漁師の家族」である。ルイ・ガレについてはクナウス以上に情報が無く、絵をDLした当時の美術館HPにも単にロシアの画家としか説明されていなかったと記憶しており、現在のHPにはそれすらも無いようである。さらに、彼の作品は他の美術館のコレクション紹介にも見当たらないことから、作品数も少ないのではないかと思っている。「漁師の家族」については、海を見つめる男の視線と頑固そうな表情に比し、抱かれて無心に眠る子供とそれを見つめる少し寂しげな母の対比が素晴らしく思える。気になるのは、母が節くれた裸足で描かれていることである。おそらく家族は裕福ではないのだろうし、夫には船上作業に必要な長靴を与えているものの自分は靴も惜しんで家計を支えている健気さが伝わってくる。小声で言わしてもらえれば、「嫁しても自分に従え」をモットーとする昨今の女性に、ぜひ見て貰いたい1枚である。
                                     漁師の家族(ルイ・ガレ)


予防拘禁を学ぶ

2021年10月16日 | 社会・政治問題

 不可解で残忍な事件が相次いでいる。

 愛媛県新居浜市では一家3人が「電磁波攻撃をやめろ」と云う53歳の男に刺されて死亡、山梨県甲府市では長女に失恋した同じ高校に通う19歳少年が50代夫婦を刺殺・放火、上野駅では出所して間もない男が行きずりの男2名を刺傷、・・・。一連の犯人に共通していると思われるのは「心に何らかの闇」を抱えているらしいことが窺われるもので、「予防拘禁」が必要な一面を持っているのでは?と考えて、予防拘禁について調べて見た。
 予防拘禁とは、「犯罪常習者や触法精神障害者などによる犯罪その他の触法行為の予防のために拘禁する刑事司法上の処分をいう」とされているが、刑期満了後に引き続き拘禁することや、逃亡等のおそれのある被告人の拘禁を含める主張もあるらしい。
 現在でも「予防拘禁制度」は各国に存在しているが、多くが思想犯・国事犯やテロ活動家の隔離を目的にしているようで、途上国では司法判断に依らず行政権限だけで予防拘禁する国もあり、中国のウイグル族収監も予防拘禁の一亜種かとも思える。
 日本では警察官職務執行法、精神保健福祉法、少年法で予防拘禁に近い制度が存在するとされており、警職法では「精神錯乱又は泥酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれのある者」について、原則24時間(最大5日間)保護できる規定があり、かっては「トラ箱」と呼ばれていたと思っている。
 精神保健福祉法では「入院させなければ、精神障害のために自身を傷つけ、または他人を害するおそれがある者」について、都道府県知事や政令指定都市首長や精神科病院管理者が、措置入院又は緊急措置入院(72時間)、医療保護入院(期限なし)、応急入院(72時間)できるとなっている。
 少年法で虞犯少年(一定の不良行為があって、その性格又は環境から罪を犯すおそれがある少年)を、家庭裁判所が少年院等に送致することも予防拘禁とされるらしい。
 トラ箱送りや少年院送致については、概ね世間も納得するところであるが、精神保健福祉法による精神病院収容については、刑法犯の裁判で「刑事責任能力の有無」が度々争われるように精神科医の判断もまちまちで、かつ基本的人権との兼ね合いにも論が分かれるために、実施は困難であるのではないだろうか。

 現在予防拘禁の必要性が取り沙汰されるのは、精神疾患者や薬物中毒者による犯罪であるが、少年A(酒鬼薔薇聖斗)事件や池田小学校事件のたびに予防拘禁の必要性と強化が叫ばれるものの、一部の団体や関係者の抵抗が極めて強く、野放しに近い状態であるように思う。
 加えて、テロの礼賛や教唆に近い言動も「表現の自由」のもとに規制されない現状を考えると、近い将来には治安が悪化し、「子供だけの通学」や「女性の夜間独り歩き」を危険とする列国並みの治安社会となる危険性もあるので、予防拘禁についても考えるべきではないだろうか。


解散・総選挙

2021年10月14日 | 野党

 本日、衆院が解散され本格的な選挙戦が始まる。

 各党は、それぞれに公約を掲げ、もはや政党とは呼べない社民党やれいわ新選組までも選挙公約を発表している。
 毎度のことながら、各党の公約の目玉は「バラマキの多寡」を競うもので、政治家は有権者=拝金者とでも考えているのだろうかと悲しくなる。自分は「人後に落ちぬ貧乏人で底辺の住民」と胸を張れるが、それでも消費税・所得税の減免や、定額給付金の多寡によって政党・候補者を選ぼうとは思わない。
 さらに、現在各党が掲げているのは選挙公約であり、集票のため有権者に一時の夢を抱かせるものでしかなく、政権ではすべてが「絵に描いた餅」に終わる危険性は、かって民主党が掲げてドラスティックな政策転換の期待を抱かせた「コンクリートから人へ」が、何も生み出さなかったことでも示されている。
 小泉総理は「米百票」の故事を引用したが、今こそ、国家百年とまではいわなくても、10年20年後の近未来での日本が如何にあるべきで、そのために今を生きる我々が何をして、何を我慢すべきかを真剣に考える秋(とき)であるように思う。
 今、幾ばくかの給付金や税の減免を手にしてデフォルトに瀕した経済を次代に残すことで良いのか、外圧に武器を以ての抵抗を封じる憲法9条で次代の選択肢を狭めることで良いのか、国費を以て低素質大卒者を量産する必要があるのか、・・・。

 自分のような富人よりも富国に重きを置く主張は、「右翼」として一様に白眼視される世相である。
 杜甫は「春望」で「国破れて山河有り・・・」と詠った。大東亜戦争の敗戦で将に山河しか残らなかった日本が復興し得たのは、日本人としての矜持に支えられた父祖の臥薪嘗胆のたまものであるが、それでも精神的支柱を始めとして大和民族が失ったものは多い。
 現在の行き過ぎた個人主義、拝金志向を見ると、第三次世界大戦や中国の侵攻後には、残された山河に「餓狼のみが蠢く」日本が遺されるだけに思えてならない。


都道府県魅力度ランキングと山本群馬県知事

2021年10月13日 | 社会・政治問題

 今朝のテレビ画面で、山本一太群馬県知事が「県民を愚弄するもので法的措置も辞さない」と怒っていた。

 何事かと耳を澄ませば、都道府県魅力度ランキング2021で、群馬県が恒例の下位にランク付けされていることであるらしい。
 都道府県魅力度ランキングについて調べて見ると、調査・格付けは「株式会社ブランド総合研究所」という民間企業が行っており、調査方法は、インターネットで20~70代の消費者31,734名から得た地域の認知度、魅力度など89項目の回答を基に、数学的手法で決定されるとなっていたが、魅力度というよりは有名度・認知度のランキングと観るべきものであるらしく思える。
 魅力度ランキングは仲間内でのお国自慢に際して相手を「ディスる」には最適・最強のアイテムであるが、ランキングを真剣に捉えている人は少ないのではないだろうか。
 群馬県と同様にランキング下位の常連である埼玉県では、二階堂ふみさんが「埼玉県人は草でも食っとけ」と怒鳴るTVスポットで知られた映画「翔んで埼玉」が、自虐的にヒットしたとされているし、最下位が定位置であった茨城県が昨年のランキングで最下位を脱した場合には、却って残念がる声が多く報じられた。
 山本知事も、10日付のブログで「こんな根拠の不明確なランキングの順位に、振り回されるようなことはないが、今週中にも検証チームを招集し毅然とした対応を取らせてもらう」としているので、ランキング自体は人気投票であることは承知されているようである。
 とは言え、魅力度ランキングが人気投票ではあっても「地方創生」の最前線指揮官である県知事にあっては見過ごせないものであるらしく、群馬県と同様にランキング下位常連の鳥取県知事は、名所・特産品の認知度を上げるために「砂県」「かに県」「梨県」・・・と矢継ぎ早にアピールした結果、県民でも「今や何県?」と戸惑う様がバラエティ番組で紹介されたほどである。

 山本一太知事は、参議院議員時代には、メディア受けする容姿と明快な語り口で、外交・安全保障の若手論客としても活躍していた。
 群馬県知事への転身の真意は謎であるが、山本氏の略歴を振り返れば、
 1995年に参議院議員初当選、2008年福田康夫改造内閣で外務副大臣に就任、同年9月福田総理辞任に伴う総裁選立候補を表明するも推薦人が確保できずに断念、2012年第2次安倍内閣で初入閣(内閣府特命担当大臣として沖縄及び北方対策、科学技術政策、宇宙政策の3ポストを担当)、2014年9月内閣改造により退任、2016年参議院予算委員長に就任、2019年7月群馬県知事選への立候補届け出により失職・県知事に当選となっている。
 このことから総裁・総理として一国の舵取りをする野望は持っていたのであろうが、そのためには衆院に転身して当選を重ねる必要があることから、手っ取り早く自分の主張(一部)が実現できる首長を選択したとするのは深読みだろうか。

 山本県知事殿へ「児戯にも等しい魅力度ランキングに乗っかるパフォーマンスよりも所信に邁進されんことを」