コンサルティングは自転車に乗って⇒企業年金総合プランナーのブログです。

企業年金・退職金制度全般に関するご相談を行っています。
お気軽にご連絡下さい。

適年の移行先の検討・・・企業の実態とのミスマッチ

2008-06-10 10:10:19 | 適格退職年金

適格退職年金の移行先の検討に当たって、企業の実態とのミスマッチが
あるように感じています。

【例】
①従業員の平均勤続年数が3~4年、退職後は独立して起業するという
 会社で、確定給付企業年金を検討
 ⇒確定給付企業年金は、適年以上にコストと事務手間が掛かる制度
  なので、従業員のほとんどが3~4年で辞める会社には向かない。
 ⇒この会社の場合は、確定拠出年金の方が向いています。
  従業員は退職して起業した後で、企業型DCの積立金を個人型DCへ
  移して、継続して積立が行えます。
②退職給付会計を導入している会社で、保険商品を使っての積み立てを
 検討。適年の積立金は解約、従業員は一時所得として受けとる。
 ⇒保険商品の積立金は、退職給付会計上の年金資産にはならないの
  で、会社の退職給付引当金(有税での引き当てです!)の負担は大き
  くなります。
 ⇒40年後に1,000万円の退職金を支給するのに、運用利回りを2%とす
  ると、掛金合計額は約650万円です。
  一方、1,000万円の退職金を社内で準備すると、全額有税での引き当
  てとなりますので、合計で約1,666万円のお金が必要です。
  (法人税の実効税率を40%とした場合、1,000万円÷0.6=1,666万円)
 ⇒保険商品を使うと、従業員1人あたり1,000万円もの無駄なコストが発生
  します。更に、保険商品の保険料も必要ですので、保険商品を使うと、
  会社の退職給付制度へのコスト負担は大変重くなります。

金融機関の提案が、そのまま、その企業の実態とあっているとは限りませ
ん。DCの運営管理機関でない金融機関は確定給付企業年金を勧めるし、
外資系の保険会社は、退職給付会計を無視して、手数料やコンサルティン
グの費用が掛からないことを売りにして(どちらも保険料の中に含まれてい
るんですが)、保険商品を勧めます。

適年の移行や退職給付制度の検討にあたっては、企業の実態にあわせた
検討が大切です。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。