適格退職年金からの給付が、定年時のみという制度設計になっている
場合があります。
例えば、定年退職金は1,000万円で、そのうち400万円が適年から支給
されるというような内容です。
この企業では中途退職者には適年からの支給がありませんので、退職
一時金制度から支給、つまり企業から全額支給されることになります。
このように適年が定年時のみ支給という場合には、退職給付会計では、
適年の積立金を年金資産としては扱いません。よって退職一時金制度の
期末自己都合要支給額の全額がそのまま退職給付引当金となります。
有税での引き当て金以外に、当然適年の掛金(損金)を支払っていますの
で、退職給付制度への費用が二重に掛かっていることになります。
前回のブログの二つ目の例で、退職給付会計を導入している企業の適年
の移行先として、保険商品が提案されていることについて書きました。
この例の企業の適年が定年時のみの給付となっている場合には、「適年
の移行先を保険商品で」という提案の問題がわかりにくくなります。
現状が、退職一時金制度の期末要支給額を全額有税で引き当て+適年
の掛金ですから、適年の移行先を保険商品にした場合に、やはり退職一
時金制度の期末要支給額を全額有税で引き当て+保険商品の保険料で、
一見同じようにみえますが、内容は大きく違います。
適年の積立金を移換できる制度(確定給付企業年金、確定拠出年金、中
小企業退職金共済)では、その分有税での引き当て金の負担が減ります。
保険商品では、負担が減らないどころか、退職者への退職金は、会計上は
引当金から支給という処理になりますので、保険商品での積み立ては意味
のない積立となります。
●確定拠出年金のことを、DCといいます。
DCは、defined contributionを略したものです。