コンサルティングは自転車に乗って⇒企業年金総合プランナーのブログです。

企業年金・退職金制度全般に関するご相談を行っています。
お気軽にご連絡下さい。

適格退職年金制度廃止後の選択肢①

2008-11-11 10:44:38 | 適格退職年金

2012年(平成24年)3月末で制度が廃止となる税制適格退職年金には、
制度廃止後、どうような選択肢があるのかもう一度整理してみましょう。

まず、大きく分けると、制度廃止に対応するか、しないかがあります。

制度廃止に対応しないということは、そのまま適年契約を続けるという
ことになります。この場合は、2012年4月以降は税制のメリットはなく
なってしまいます。

制度廃止に対応して適年契約を解約すると、その後の選択肢としては、
適年資産を従業員に分配し他の制度には移行しない方法と、適年資産
を他の退職給付制度へ移行する方法があります。

上記前者の適年資産を従業員に分配する場合では、それで退職給付
制度を終わりにしてしまうケースと退職給付制度は続けるケースに分か
れます。
退職給付制度を終わりにしてしまう場合、これを事業主が一方的に行う
と、労働条件の不利益変更になります。注意してください。

適年の資産を従業員に分配し、退職給付制度を存続させる場合では、
事業主に退職金の支払い義務が残ります。
この退職金支払いのために利用できる手段としては、特定退職金共済、
個人型確定拠出年金、保険商品が考えられます。

特定退職金共済は、各地の商工会議所等が実施している共済制度で、
中退共と仕組みが似ています。掛金は全額損金となります。

個人型確定拠出年金を使う場合には、事業主が前払い退職金を支給し、
それを従業員が個人型確定拠出年金で積み立てる方法が考えられます。
確定拠出年金制度の税税のメリットを享受でみますが、毎月支払われる
前払い退職金は、社会保険料の対象となります。

保険商品を使う場合には、養老保険のハーフタックスが一般的です。
文字とおりハーフタックスですので、保険料の半分が損金となります。
というより、保険料の半分しか損金とならないので、掛金が全額損金と
なる他の手段と比べても、事業主の負担は重くなります。
適年を他の制度に移行した場合や特退共では、退職金は企業の外部に
積み立てられるので、従業員の受給権は守られます。前払い退職金は
その都度退職金の支払いが終わります。
が、養老保険は、事業主の都合で解約することも、事業資金として使って
しまうこともできます。会社経営に行き詰まり養老保険のお金を流用して
しまうと、退職金の支払い義務=債務が残ります。

退職給付制度を存続させるなら、債務とならない積み立て手段をとること
をお勧めします。

以上は、適年資産を他の制度に移行しない場合についてです。
次回は、適年資産を他の制度に移行する場合についてとなります。