確定給付企業年金の運営が困難になってきている企業も多いと思います。
年金資産の運用が悪化して、積立不足が大きくなっていていることが大き
な要因です。
では、確定給付企業年金をやめることができるのか?その場合には、どの
ような方法があるのか?
なんとなく気になっている企業の担当者、事業主も多いようです。
確定給付企業年金はやめることができます。
規約型では、確定給付企業年金法第84条に、「厚生労働大臣の承認により
終了することができる」とされています。
この場合、被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合があるとき
は当該労働組合、そのような労働組合がないときは、被用者年金被保険者
等の過半数を代表するものの同意が必要です。
そのうえで、同法第87条に確定給付企業年金の終了時には、積立金が最低
積立基準額を下回るときは、その不足額を一括拠出しなければならないこと
が定められています。
この、終了時の不足額の一括拠出は、重たい条件です。
現状で、運用難による積立不足に悩んでいる場合には、上記の方法により
確定給付企業年金を終了するのが困難ということもあると思います。
そうなると、規約の変更による給付減額が考えられます。
規約の変更は、確定給付企業年金法第6条に定めてあります。
厚生労働大臣の承認と被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合
があるときは当該労働組合、そのような労働組合がないときは、被用者年金
被保険者等の過半数を代表するものの同意が必要です。
ここで問題なのは、給付減額を理由とした規約の変更を厚生労働大臣が承認
するかということで、難しいのではないでしょうか?
また、企業年金の給付減額は、労働条件の不利益変更になりますから、「被用
者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合、
そのような労働組合がないときは、被用者年金被保険者等の過半数を代表す
るものの同意」では済まないのではないでしょうか?
就業規則・退職金規程の変更ということになれば、従業員の個別同意という
考え方が必要になると思われます。