「良い賃金が人材採用・育成・定着を図リ得る状態をつくる。」
これは、孫田良平先生(NPO法人 企業年金・賃金研究センター
名誉顧問)が、おしゃっていることです。
ここでいう、「良い賃金」とは、もちろん、単に金額の高い賃金を
指しているのではありません。
企業を発展させるために、事業戦略を効果的にサポートする人事
制度、賃金制度ということです。
企業年金や退職金も同じことが言えます。
適格退職年金の移行を検討するときには、標記の点を踏まえた
制度設計が望まれます。
積立金を移し替えるだけということでは、まったくないのです。
適年の移行は、制度廃止だからやむを得ず行うのではなく、企業
の事業戦略にとって効果のある制度に改訂するチャンスです。
その上で、企業年金や退職金の準備手段としては、どの制度が、
自社にむいているかを検討することになります。
今回は、適年の移行に保険商品を使うことへの警鐘です。
保険商品を勧めるトークとしては、
・企業年金では、退職金が従業員に直接支払われてします。
(外部積み立ての企業年金では、年金・退職金は企業を通さず
直接従業員に支払われる。保険商品は一旦事業主が受け取り
従業員に支払う。)
・企業年金では、懲戒解雇でも、従業員に支払われてしまいます。
が、よく使われています。
ここでは、企業にとって、必要な人材を採用し、育成し、それに
よって事業戦略を実現するという観点が、まったくありません。
本当に、これでいいんでしょうか。
保険商品を使った退職金制度では、事業主が退職金を押さえておく、
支給をセーブできる、事業資金として流用することもある手段となって
しまいます。
お金を生かし、人材を育て、利益を還元させる手段とはなって
いないということです。