世界的な金融危機のなかで、企業年金の運用利回りがマイナスになって
きています。適格退職年金の積立金=年金資産は大きく目減りしてきてい
ます。
昨年度の企業年金の運用利回り(生保特別勘定分)は平均マイナス14.81%
でした。仮に、毎年10%ずつマイナス運用が続くと、どうなるでしょうか。
適年の積立金を100、予定利率を3%、実際の運用利回りを毎年マイナス10%
として計算してみます。
予定積立額 実際の積み立て額
・1年目 103 90
・2年目 106 81
・3年目 109 73
ということで、3年で予定していた積み立て額に対して36%不足することに
なってしまします。(109-73=36)
企業は、事業においては、コストを意識し効率の良い経営を目指している
と思います。が、適年の移行の問題は、どうしても後回しになりがちです。
そのような状態の中で、企業の努力とは関係ないところで、適年の積立金が
大きく減少しているのです。つまり、企業年金のコストが嵩み、企業の利益
が大幅にダウンしているのです。
適年の移行には、できるだけ早く着手し、適切な移行プランを検討すべき
です。
移行プランのうち、採用すべきでないのが、保険商品を使ったプランです。
適年の移行先として、適年の積立金を移行できる確定拠出年金、確定給付
企業年金、中退共は、いずれも掛金が全額損金となります。
一方、保険商品は適年の積立金を移行できない上に、保険料の半分しか損金
とはなりません。
確定拠出、確定給付、中退共、保険商品の掛金、保険料を1,000とした場合
(同じということはありえないのですが、比較する便宜上です。)、前3制度の
掛金は全額損金となります。保険商品では半分の500が損金ですが、残り500
は資産計上ですので、税金を加味した金額を準備しなければなりません。法人
税の実効税率を40%とすると、833の利益が必要になります。(500×0.6)
退職金を準備するのに1,000で済むか、1,333かけるかということです。
簿外資産、含み益という言葉に惑わされないで下さい。
合理的に1,000で退職金を準備し、税金を払って残った利益は、何にでも使える
お金として積み立てていくほうが、企業にとってメリットがあると思います。
適年の移行にあたっては、とにかくコストを意識してください。
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