褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ブラッド・シンプル(1984) 今や名監督のデビュー作

2021年02月23日 | 映画(は行)
 一流監督ともなればデビュー作からして非凡な才能を見せつける。今や名監督として君臨するスティーヴン・スピルバーグは『激突』、クリストファー・ノーランは『フォロウィング』、ダニー・ボイルは『シャロウ・グレイブ』といった具合だ。そして今回紹介するのがこれまた名監督であるコーエン兄弟のデビュー作であるブラッド・シンプル。この監督の個性がデビュー作品から随所に見られるのが楽しい。ちょっとした出来事がドンドン大事件に向かっていく展開、勘違いだらけの登場人物、小道具の見せ方、流血シーン、そして笑える殺人シーン。数々の傑作群を世に送り出しているが、デビュー作品からその作風が確立されていたことに気づかされる。

 コーエン節が全開するスリラー色の強いストーリーの紹介を。
 舞台はテキサス州。酒場を経営するマーティ(ダン・ヘダヤ)は、従業員のレイ(ジョン・ゲッツ)と妻のアビー(フランシス・マクドーマンド)が浮気をしているのではないかと私立探偵のフィッセル(M・エメット・ウォルシュ)に調査させる。妻が浮気をしていることを確信したマーティはレイを呼びつけて問い詰めるが、話し合いは不調に終わる。
 怒りが治まらないマーティはフィッセルに何とレイとアビーの2人の殺害を依頼する。しかし、事態は思わぬ方向へ転がっていき・・・

 随所にコーエン兄弟の特徴が表れたシーンがたくさん出てくる。全体的に不穏な空気が流れているので不気味さが漂っているのだが、ハラハラドキドキするようなシーンにおいて笑いをちょくちょく入れてくるのがコーエン兄弟らしいところ。少しばかりシュールなギャグが俺には楽しめた。しかし、登場人物達のズッコケ振りが凄い。わざと物事が大げさになるように行動してるのかよ?なんて思えたり、どうしたらそんな勘違いをしてしまう?なんて思わせてくれたりで、アホらしくて見てられない展開のはずが、監督の演出が良いのか飽きさせずに最後まで見られる。とにかく終盤に訪れるクライマックスはヒッチコック監督の『裏窓』を凌ぐ出来栄えで、スリルと笑いを共有できる。
 それほど見た目にインパクトのある人物が出てこないが、ゾンビ並みにしぶとい奴、運が良いのか悪すぎるのか微妙な奴、登場人物のキャラクター設定も笑える。少々の記憶力は要するが今や名匠の域に達した感のあるコーエン兄弟監督のお勧め映画として今回はブラッド・シンプルをお勧め映画として挙げておこう。

 監督は前述しているようにコーエン兄弟。お勧め多数の名監督で彼の作品のファンである映画好きはとても多い。ギャング映画ミラーズ・クロッシング、サスペンスとユーモアの融合が素晴らしいファーゴ、コメディ色が強いサスペンスビッグ・リボウスキ、できればカラーではなくてモノクロの映像の方で観て欲しいバーバー、脱獄コメディ映画オー・ブラザー!、彼らにアカデミー賞をもたらしたノーカントリーあたりがお勧め。

 
 
 

 

 





 
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