もったいないばあさんの連載に、枇杷茶のことが書いてあった。この時期、暑気当たりに効く枇杷葉茶を、天秤で担いで売り歩く、水売りがいた。掛け声も「ひゃっこい、冷やっこい」と呼ばわって歩く。水は井戸水、枇杷の葉は寒中に採って、乾燥させた物である。
早朝から起きて、井戸水を汲み上げ、くどにかけてある大鍋に移し、火を熾して沸かす。沸騰してきたら枇杷の葉を入れる。そのままにしておけば火は消える。粗熱を取り、桶に汲み込んで、清水の湧き出る辺りか、岩場の涼やかな場所で冷やす。
冷たく冷やした枇杷茶を天秤で担い、江戸の町に繰り出し、売り歩く。枇杷葉茶は素より、時にはドクダミや、鉈豆、毒消し等、炒って煎じれる物は、西瓜の種まで携えていた。梅干も、実はもちろんのこと、種の中まで使っていた。
毒は薬になるが、処方次第である。匙加減とは、よく言ったもの。お医者様でも、草津の湯でも、恋の病は治りゃせぬ。とも言うが、心変わりをされた者には、恐ろしい毒になったのだ。福寿草、桔梗、夕顔。使う部分で薬にもなっていた。
早出で、帰宅したのは、外が明るい時間。急遽、フェンスの外の草抜きをする。夕方なら、蜂が襲ってこない。2時間近く掛かったが、朝顔だけを残して、すっきりとした。この日曜日は草刈だが、勤務なので思案していた。少しだけ出ておこう。
汗びっしょりになったので、行水をする。着替えてさっぱりし、晩ごはんを戴く。昨夜は、雷と夕立があったので、明け方には寒かった。足が冷えてしまうので布団をかけた。ありがたいことに、網戸にすれば涼しい。枇杷葉の葉影に風が渡る。
5月21日の、部分日蝕。明るいのに、うっそうとした印象の陽射しでした。