今年の夏は本当に暑かった。 人に会うとまず、「暑いですねぇ…」とご挨拶。 施設に送迎車が到着し、迎えに出ても、「今日も朝から暑いですねぇ…」 近場に住んでいらっしゃる利用者さんを徒歩で迎えに行った時も、「年々夏が過ごしにくくなってる。 昔はクーラーもなかったけど、こんなに暑かったかなぁ…」と、利用者さんも首をかしげる。 いや、こんなには暑くはなかったでしょう。 私が記憶する限り、木陰に入れば真夏といえど、一息ついて ほっとできる風が頬を撫でた気がする…うん…
節電に協力するため、オフの日や 仕事が早く終わった日によく利用した、いわゆる 『街角避暑地』の一つが図書館だ。 今までは、図書館へ行っても、そうだなぁ… せいぜい30分ほどかけて読みたい本を7冊~10冊選び、貸出たら自宅へ戻って読みふけっていた。 それが今年は違った。 仕事が終わってからだと、どうしても閉館までなので、一時間程度になってしまうが、オフの日には10時頃から図書館へ出かけていって、そのまま ランチタイムになるまで 図書館に居座り本を読んだ。 今日なんて、まさしく そんな日で、 手に取ったのは、懐かしの…新井素子さんが書いたエッセイだ。 新井さんって、小説の他にエッセイも書かれていたんですね。初めて知った! 思春期の頃からのファンなのにっ! タイトルは、「今日もいい天気」 新井素子さんといえば、私がまだ小学生だった頃か? 10代の学生作家としてデビューした一人で、憧れの存在だった。 自分が中学生の頃は、彼女が書いたSF小説を夢中で読んだっけ。 自宅にも彼女の本は、数冊ある。 実は留学先のオーストラリアにあった日本の書店でも、彼女の本を見つけ、高額であるにもかかわらず、(日本の定価の約3倍で売られていた) 迷わず購入したことすらある。 そんな新井素子さんのエッセイ本。 思えば、新井さんのエッセイって、これまで読んだことがなかった。 もっと正確にいえば、エッセイを書かれていることすら知らずにいた。 普段はどのような生活をされているのかなぁ…奇想天外な日々をちょっと想像しつつ、手に取って夢中で読んだ。
ひと言でいえば、とっても親近感沸く、まるで自分の隣人のような女性だ。 甥っ子さんや姪っ子さんに夢中で、旦那様と囲碁を楽しみ、健康診断でコレステロール値が高いと指摘され、ジムに通い、それ以来、身体の調子はよく、今ではすっかり体力作りにはまっている。 猫さまとの共同生活。 小説とは違う、ほんとに、普通の人が親しい人にお喋りするように書いたような、 書き言葉というよりは、話し言葉のような文章。 「そんで 」とか、「楽しくって」とか。 お堅い編集者が見たら、赤ペン訂正されそうな文体や語尾にも、驚きつつ、だけど かなり安心しつつ、 「私だって、分かってて 「ら」抜き、「い」抜きで書いちゃうしねぇ~ なんて思ったりする。 年齢相応にお堅い文章を書かなければならないなんて、法律はない。 いいんだよね、日記だもん、これで・・・って、大御所で、しかも年齢も一回りくらい上の新井素子さんのエッセイを読んで、ちょっと安心できた。
図書館には3時間いたが、この間に 「今日もいい天気」も含め、2冊の本を読破した。 まぁ、2冊めは、結構 斜め読みっぽかったけど。最初は2階にある児童書を見て回った。 絵本は自分も これまでに一冊、出しているし、来月、もう一冊、発売予定。 それに何より児童書って夢があるから眺めているだけでも楽しい。
それから 成人図書がある3階へ移動し、小説、歴史本、エクササイズ本、健康に関すること、英語の教材、興味がある分野の方を立ち読みし、最後の最後にエレクトーンの歴史本という、ちょっとお目にかかれない本を興味本位で立ち読みした。 エレクトーンがヤマハの商号ってことは知っていたが、完全なる日本生まれだったとは…。 原型はロックの国からやって来たのかと思っていた。
今回、たった一冊だけ貸し出したのは、村上春樹氏が書いた、翻訳に関する対談本。 翻訳を学ぶ生徒さんの質問に対談方式で答えているかと思ったら、英語学者イコール翻訳家でもあるプロとも興味深い翻訳の世界を語っている。 翻訳と小説を書くことって、どっちが難しいんだろう…? 実は私も考えてみたことがある。 小説の方が簡単そう。 いや、原作がある翻訳か!? でも、翻訳って自分の作品じゃないから、作者の意図を正しく訳しきれているのか、かなり心配になるよなぁ… 秋の季節、英語を極め、日本語も極めて翻訳に挑戦するのもいいかもしれない。 定年が無い仕事。 いつでも何処でも体力と根気が続く限り出来る仕事って、やはり魅力だよなぁ。。。