世の中、知らない作家さんが大勢いるものだなあと、最近つくづく思います。…というのも、『夜のピックニック』を友達に紹介されて読んでみて、成程、ホントだ。面白い。高校生たちが、ひたすら歩くだけ…という学校行事を耳にしただけでは、何だかつまらなそうだと思ってしまうのに。高校三年間を共に過ごした仲間たちとの日々を噛みしめながら、それぞれの想いを秘めてゴールまで歩き切る…。男女二人の主人公、融と貴子。それぞれの親友、戸田くんと美和子。米国の大学に進学するため、卒業前の歩行祭に参加出来なかった杏奈と、なぜだか飛び入り参加しちゃった彼女の弟。詳細を書くと読む人が面白くないので省略…でも、日本の学校制度そのものが自由がなく窮屈な場所だと思っていたけれど、こうして貴子たち、それぞれの立場や想いを追いながら、自分も彼らと一緒に歩行している気分を味わい、自分も他の誰かに勧めてみたくなります。「この本、単なる青春小説じゃなくて、かなり深いよ…」と。だから本屋大賞を取ったのかな。そしてほんの数日前、新聞にもピアノコンクールに参加する四人を描いた直木賞受賞小説の宣伝が掲載されていました。「直木賞作家だったんだ~」と、これまたビックリ。
最後に最も印象に残った一説を…
「並んで歩く。ただそれだけのことなのに、不思議だね。たったそれだけのことがこんなに難しくて、こんなに凄いことだったなんて。」(新潮文庫 2004年 『夜のピクニック』恩田陸 414ページ14行目)
ほんとにそう。80キロを歩行した経験なんて一度もないけれど…。"Don't walk behind me, but besides me!" と言われることの方が多かったけれど…ねぇ
それではよい週末を