良書です‼
人生につまずいた経験が全く無い人なんて居ないと思います。
主人公は兄に恋人を寝取られ、失意のまま友人に誘われ長野県のスキー場宿へアルバイトへ出かけ…そのまま居つくのですね。 大自然の中で、動物たちの世話をし、畑を耕し、地域の人々と関わりを持つ中で、少しずつ自分の居場所となっていく…
そこで関わる人々もまた、それぞれに深刻な悩みや過去を抱えている訳です。
先に著者のエッセイを読んだばかりだったので、作中、ロバを買う!なんて話を読むと、「あぁ、実際に馬を飼ってたものなぁ。自然の中で自給自足の生活をしていた経験が活かされた小説だなぁ」と思う。
庭仕事をしたり、夏場の草取りは蚊に刺されるし嫌だけど、土いじりって、確かに心や身体の異変を正常に戻す作用がある気がします。
学校へ行けなくなってしまった小学生の女の子が駆けこんで来たり、鶏の卵を数えたり、雄鶏に蹴られたり… 学校へ行こうとすると体調が悪くなる子も、農場では元気に3歳児の面倒を見たり。
学校なんて 行かなくったっていいじゃない! こうした体験から多くを学べるのだから、、、と思いながら読み進め… ラストの方は、あ~~やはり村山由佳!と思う場面がありましたが、まぁ、そこは置いておき…。
今の時代に読むべき一冊かも…しれません~
お次は、『能・狂言』 現代語訳をしたのは別役実 谷川俊太郎
能と狂言の歴史については、井沢元彦さんの『逆説の日本史シリーズ』にも書かれていましたっけ。 能は庶民も楽しむもの、秀吉と家康は特に自らも能を演じていたとか。面を使うので、歌舞伎ほどには難しくなく、(表情を作る必要がないため)能の舞台観賞のみならず、演じることを趣味としていた武将もいた訳ですね。 ちょっと怖い話が多い能に対し、狂言は笑い話が殆ど。繰り返しも多く、お決まりのパターンだと知っていて楽しむ、まるで毎週観ていたドリフターズのコントのようです。
最後に『古事記』上下巻
5年くらい前だったでしょうか~ 古典の古事記を読もうと、解説付きではありましたが図書館で借りたことがありました。でも挫折! 今回は里中満智子さんによる漫画で描かれた古事記です。
ギリシャ神話にとても似た話も多く、日本という国の成り立ちを神話で綴った、実は面白い内容だったのだなぁと。上巻は、貪欲な神様たちが登場。人がよいと、騙し討ちに合う点も、今とさほど変わらない気がします。ほんと、色々な神様たちがいます。覚えられない… 名前も長くて…
ところで、神様は永遠の命であったのに、何故、神の子孫である天皇は、人のように死を迎えることになったのか? それは、
「妹の他に、姉も一緒に嫁がせよう」という、とある神様の申し出を これまた、とある神様が断ったから。
妹は美しく、姉は醜かった。 そこで醜い姉を里へ帰したら、
「長女こそ、永遠の命を意味する石の神だった。それを断ったのだから、其方はいつか必ず人のように死を迎えるだろう!」という訳。 へぇ~~~ 面白いなぁ~~~
なんというか、「ブスはいや!」という当時の人々の男性価値観がとてもよく反映されているシーンではないでしょうか。人の心の動きなどが感じられ、酷いなぁ~と思いつつも、現代とさほど変わらないのね、古来人の心…と思ってしまう。淡々と歴史を綴ったであろう日本書紀よりは、ずっと面白いでしょうね。🤭 ちなみに日本書紀も挫折した人です。💦
ヤマトタケルノミコトの話など、武勇伝だけど、父親から遠ざけられ、愛情を受けて育たなかった人という意味で、ちょっと哀しい… ここも印象的でした。
(今年13冊。 そして235冊 Since 2022)