先日気になるニュースが報道されていました。遺伝子組み換えウイルス製剤で、末期と診断された肝臓がん患者の腫瘍の増殖を抑制して余命を延長する効果が認められたという研究論文が、英医学誌「Nature Medicine」(電子版)に掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。末期の肝臓がん患者30人を対象に行った4週間の治験で、組み換え腫瘍溶解性ウイルス製剤「JX-594」(Pexa-Vec)を16人には高容量で、14人には低容量で投与した結果、高容量を投与したグループは平均14.1か月、低用量を投与したグループは平均6.7か月生存したというもの。遺伝子操作ウイルスががん患者の生存に貢献できることが医学史において初めて示されたもののようです。論文は今回の研究結果を確定させるには、より大規模な治験が必要だとしている。すでに約120人を対象に次段階の治験が始まっているとも。「Pexa-Vec」は、患者のがん細胞内で増殖してがん細胞を死滅させるうえ、患者自身の免疫システムががん細胞を攻撃するようにする効果を持つウイルス製剤で、数十年前から天然痘などのワクチンに用いられてきたワクチニアウイルスの遺伝子を組み換えて開発されたものだそうです。治験では、患者は高容量、低容量のいずれの投与にも耐えられることが示されたものの、全ての患者でインフルエンザのような症状が1~2日程度みられたとも。このうち1人では重度の吐き気と嘔吐がみられたとも。「Pexa-Vec」は、肝臓がん以外のがん性腫瘍でも治験が行われているそうです。
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