健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

身体の病気と精神的苦痛

2015-05-21 08:30:21 | 研究
身体に疾患を持って治療をしている人は心理的苦痛も高くなっていることが確認されたそうです(財経新聞)。研究では、東日本大震災で甚大な被害を受けた沿岸地域において3,032人を対象に、循環器疾患、がん、高脂血症、肝臓病、腎臓病、糖尿病などの疾患の治療の有無と心理的苦痛の関連を検討。その結果、心筋梗塞・狭心症治療者及び肝臓病治療者は、治療していない者に比べて、高い心理的苦痛を有する者が多いことが明らかになったそうです。また、がん、高脂血症、腎臓病、糖尿病の治療をしている者は、治療していない者とくらべて、高い心理的苦痛を有する者が多い傾向が示されたとも。被災地においては、身体疾患の治療を受けている者に対して、厚く心理的サポートをする必要があるということですね。
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肺高血圧症の新しい発症メカニズム

2015-05-20 08:30:54 | 研究
インターロイキン6(IL-6)の作用によってTh17細胞から分泌されるインターロイキン21(IL-21)が、肺高血圧症の発症に重要な役割を担っていることが確認されたそうです(財経新聞)。肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送る肺動脈に狭窄や閉塞が生じて肺動脈圧が上昇する難病です。これまで肺高血圧症の発症には遺伝的な因子だけでなく、「炎症」も重要であることが報告され、炎症を引き起こす代表的なサイトカインのIL-6は、肺高血圧症患者の血清で増加して、その生命予後と相関することが報告されていたそうです。ですが、IL-6が肺高血圧症の病態を促進するメカニズムは明らかではありませんでした。今回の研究で、IL-6の分化に必要とされるTh17細胞とその産生する炎症性サイトカインに注目して調べた結果、低酸素負荷誘発性肺高血圧症(HPH)マウスの肺では、Th17細胞が増加して、主にTh17細胞の産生する炎症性サイトカインのIL-17やIL-21も増加していることが分かったそうです。さらに、HPHマウスに抗IL-17中和抗体を投与しても有意な治療効果はないが、IL-21受容体ノックアウトマウスは野生型マウスに比べてHPH病態形成が有意に抑制されることが明らかになったというもの。今後は、IL-21の作用を阻害する治療法の有効性を検討することで、肺高血圧症に対する新しい創薬に発展すると期待されているそうです。
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体温維持とDNA立体構造変化

2015-05-19 08:30:26 | 研究
ヒトや哺乳動物が寒冷時に体温を維持するには、従来知られていた「転写因子」と呼ばれるタンパク質群の働きだけではなく、熱産生をつかさどる遺伝子DNAの急速な立体構造変化が必須であることが明らかになったそうです(財経新聞)。ヒトや哺乳動物は、からだが寒冷という危険な状態にさらされると、交感神経からノルアドレナリンが分泌されて、熱産生を行います。これまでに、DNAが巻き付いているヒストンタンパク質のメチル基を除く働きのあるJMJD1Aタンパク質を欠損したマウスは低体温に陥ることが分かっていたそうですが、その詳細は不明だったそうです。今回、質量分析解析から交感神経刺激によって核内のJMJD1Aの265番目のセリン残基がリン酸化されることを見出したというもの。そして、JMJD1Aのリン酸化は、交感神経からの刺激があってから数分で認められ、これと同期して遺伝子の高次構造が変化し、さらに熱産生遺伝子の発現が促進されることが分かったそうです。さらに、DNAが巻き付くヒストンタンパク質の脱メチル化酵素として発見されたJMJD1Aは、リン酸化で誘導されるタンパク質複合体・動的な遺伝子立体構造変化によって転写を促進させ、熱産生・エネルギー消費を制御するという、数分の速さでの急性応答に関与するという従来知られていなかった別の機能をもっていることも明らかになったそうです。今後は、このアミノ酸のリン酸化を制御するタンパク質を明らかにすることで、低体温の治療、あるいは、熱産生・エネルギー消費が低下して起こる肥満症への治療法に繋がると期待されているそうです。
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世界の大気中CO2濃度が最高値更新

2015-05-18 08:30:49 | 研究
米国海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric Administration、NOAA)は、3月の世界の大気中二酸化炭素(CO2)濃度の月平均値が400ppmとなり、月平均としては史上最高値を更新したと発表したそうです(AFPBB NEWS)。強力な温室効果を持つCO2は、石油や石炭などの化石燃料の燃焼によって発生する有害な副生成物の一つ。大気中のCO2の追跡調査を開始して以来初めて、この温室効果ガスの月間世界平均濃度が3月に400ppmを超えたというのです。400ppmすなわち0.04%ですね。今までは、CO2濃度は0.03%として一般に扱われていましたが、いずれ0.04%になるのでしょうか。
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銀河宇宙線が脳にダメージ与える!?

2015-05-17 08:30:42 | 宇宙
火星や小惑星など宇宙のかなたでの有人探査は米国航空宇宙局(NASA)の最優先ミッションの1つですが、マウスを用いた実験結果から、放射線に長期間さらされることで脳が永続的なダメージを受ける可能性が示唆されたそうです(AFPBB NEWS)。実験では、マウスに6週間、荷電粒子を照射。その結果、イオン化した酸素とチタンにさらされてマウスの脳に炎症が起き、神経細胞間の信号伝達が阻害されたというもの。学習能力と記憶力のテストでも荷電粒子を照射されたマウスは通常のマウスよりも成績が劣り、新しい状況に直面すると混乱しやすいという結果が。また照射を受けたマウスは好奇心と活発さに欠けたとも。こうした神経細胞の変化が宇宙飛行士の脳でも起きれば、予測不能な状況への対処能力や空間認識能力、情報想起力などが損なわれる恐れがあるということです。火星への有人ミッションに要する年月は少なくとも1年半はかかることが予想されていますが、対策が必要のようです。ちなみに、現在地球を周回している国際宇宙ステーション(ISS)は地球を保護している磁気圏内にあるために、宇宙飛行士が長期滞在しても銀河宇宙線にさらされる心配はないそうです。
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はしかは最大3年間免疫を抑制する

2015-05-16 08:30:35 | 研究
麻疹(はしか)が免疫系に及ぼす悪影響は最大3年にわたり持続する可能性があるとの研究結果がSicence発表されたそうです(AAFPBB NEWS)。はしか感染により体の自然防御機構の免疫系が数か月にわたり抑制される恐れがあることは、これまでの研究ですでに明らかになっていたそうでが、今回の研究はそのメカニズムを示したものです。そのメカニズムとは、はしかが免疫記憶細胞を死滅させることで、その脅威を長期間持続させるというものです。
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難治性の乳がん再発のメカニズム

2015-05-15 08:30:30 | 研究
乳がんに対してホルモン治療を行なった後に、治療抵抗性を持つがんが再発する機構を解明したという論文がNature Communicationsに発表されたそうです(財経新聞)。ヒトの乳がん再発過程でエストロゲン受容体をつくるESR1遺伝子が高発現することに、新規の非コードRNA「エレノア」が関わっていることを発見したもので、さらに難治性細胞に有効な薬剤を多数調べたところ、ポリフェノールの一種である「レスベラトロール」で処理すると、エレノアとエストロゲン受容体が速やかに減少して、細胞の増殖が停止することが分かったとも。乳がんの新しい診断と治療法の開発に役立つと期待されるそうです。
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生物種6分の1に絶滅リスク

2015-05-14 08:30:52 | 研究
気候変動による影響で生物種の約6分の1が絶滅の危機に直面する可能性があるとした研究論文がScienceに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。論文によると、地球の温度が2度上昇すると、危険にさらされる種は5.2%、3度の上昇では8.5%と全体に占める割合も増加。 研究結果によると、現状では4.3度の上昇すると予想されることから、生物種の6分の1(16%)が危険に直面する可能性があるというのです。絶滅の危機にひんする可能性がある種は、一番脆弱な地域とされた南アフリカで23%、ニュージーランドとオーストラリアで14%、欧州は5%、北米は6%。
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DNAでイヌのふん対策

2015-05-13 08:30:39 | 日記
英国ロンドン東部のBarking and Dagenham区は、イヌのふんを今後作成するDNAのデータベースと照合することで、無責任なイヌの飼い主を処罰するという計画を打ち出したそうです(AFPBB NEWS)。地元当局は飼い主たちに、飼いイヌたちの口腔内粘膜の検体採取を動物病院で行うよう奨励しており、登録していない動物は種類に関係なく、同地区にある27か所の公園に立ち入りできないと通告。またイヌのDNA検査は今後、同地区の公共住宅に居住する際の入居条件に含まれることになるとも。同様の政策は米国で成功を収めているそうですが、英国では初の取り組みとなるそうです。マナーの悪い飼い主には、80ポンド(約1万5000円)の罰金が科せられるそうで、毎年かかる清掃費用約230万ポンド(約4億2000万円)を削減できると区議会は期待しているそうです。
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薬剤耐性菌対策

2015-05-12 08:30:44 | 研究
抗生物質の乱用が薬剤耐性菌の増加につながっているとされる問題で、世界保健機関(World Health Organization、WHO)は、各国の対応状況をまとめた初の分析結果を公表し、国際社会の取り組みがあまりにも遅れていると警告したそうです(AFPBB NEWS)。WHOによると、薬剤耐性菌問題をめぐってはアフリカ、北南米、東地中海、欧州、東南アジア、西太平洋の6つの事務局の管轄地域全てで「大きな空白」があることが明らかになったそうです。細菌が薬剤耐性を獲得すると、これまで病気の治療に有効だった薬が効かなくなり、治癒可能なはずの疾患で患者が死亡する危険性が高くなります。ウイルスや寄生虫など、あらゆる種類の病原菌が薬剤耐性を獲得しつつあるそうです。調査では回答を寄せた133か国中、抗生物質の薬剤耐性問題に対処する包括的な国家計画があると答えたのは4分の1にとどまり、米国と中国を含む60か国は調査に回答しなかったとも。
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