Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

#51 続・スパイ行為 

2009年08月02日 | 1979 年 
以前 スパイ行為についての記事を紹介しました。「暗黙の了解」や「噂の域」といった内容でしたが
今回は現役の監督がスパイ行為を認めた記事です。スパイ行為の元祖と言われていた野村監督が
解任された後に就任した南海・広瀬監督が実情を吐露しています。


聞き手 「広瀬監督が"泥まみれ野球"を標榜したのは野村カラーを払拭するのが狙いでしたか?」
広瀬  「ええ、野村さんが目指していたシンキング・ベースボールは正しかったんです。ただ、それがある時から間違った方向へ
     向かったきらいが、ボクには感じられたものですからね」
聞き手 「間違った方向とは?」
広瀬  「しょせん野球とは本来、チカラとチカラのぶつかり合いだと思うんです。チカラの劣るほうが精進してレベルアップするのが
     野球というか勝負事でしょ。そこに"余分な情報"が入って来ることで伸びるモノも伸びなくなるんです。自分の頭で状況を
     判断しなくても"次はカーブが来る"と分かってしまっては考える事を止めてしまいます。他人が前もって教えてくれるのなら
     誰だって苦労して相手投手のデータや癖などを研究しませんよ。それを断ち切る為の"泥まみれ野球"でした」
聞き手 「でも南海だけじゃないですよね?」
広瀬  「えぇ、まぁ…(苦笑い)。でもね、大人のチームなら構わんのですよ 例えば阪急なんかは選手が情報を使いこなせるだけの
     力量を持ってますから。ウチの場合は選手に、こなすだけのチカラも無いのに情報を与えるから そればかりに頼るようになる。
     記録を調べれば分かりますよ、ホームとビジターとの成績に差が有るのが。ビジターでは覗けませんからね」
聞き手 「そんなに差が出ましたかね」
広瀬  「ええ。だからシンキング・ベースボールと言っても自分が考えるんじゃなく、人が教えてくれると言うか誤魔化しみたいな事が
     優先してしまったら、もうそれは本当の野球とは言えないと思うんですよ。こういう話は内幕を暴露する事になるとしたら非常に
     不味いかもしれませんけど」


球界ではタブーであるスパイ行為をここまでハッキリと言及した事は、後にも先にも この時だけでしょう。
南海の「野村憎し」がこのような発言に繋がっていたのかもしれませんが波紋は予想以上に大きく広がり
これまで見て見ぬふりをしてきたプロ野球界も今回は動きました。  …つづく

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