ベランダで寝てしまった姫。
お日さまは、春の陽気でやさしく暖かくふんわりとしている。
しかし、風は未だ冷たい。
それでも、ベランダで寝てしまった。
ビダミンEの接種はお日さまに当たること、日の光を浴びることと、動物は本能的に知っているそうだと、何かの本で読んだ記憶がある。くる病の予防にはこれが大切だと知っているのだろう。
姫はどんなに寒くても少しの時間、ベランダに出ようとする。
直ぐ部屋に戻って来るのだけれど、一日に一~二回はそれをする。ひょろひょろと歩く姿は老体に鞭打つ感じ。
昨日の事。
私は二階の部屋で友人から電話があって久ぶりのことでもあり、つい長電話になった。
おしゃべりに花を咲かせ、大満足。
ひょっと足元で動く物がある。
姫が寝ていたらしく、私の電話が終わるのに気づき
「ニヤァァーン」鳴きながら見上げる。
「あら、姫、ここにいたん」
全く私は姫が来ている事に話に夢中で気がつかなかった。
「ニャーニャン」
「まー、姫。二階までこれたの」
「ニャアーアアー」
と姫との会話も久しぶり。
最近は足腰が弱って歩くのもやっと、二階には自力ではずいぶん来ていない。
いつも籠に入れて、私が運んでいた。お天気の良い時、ガラス越にお日さまを浴びせるために。
「姫、おりこう、おりこう、下にゆこうか?」
と云うと、階段をトントンと降りる。
こんな元気な姿を見るのは久ぶり。嬉しい。姫について階下にゆくと夫がいない。
きっと姫は、傍に誰もいないのが寂しかったに違いない。
昨日は暖かかったから、部屋の扉を開けていた。
私のはずんでいる大きな声が聞こえたのかも知れない。
二階には母がいる。階段をやっとこやっとこ登る姿が見える。
母は楽しそうに、電話をしている。傍で横になろう、、と。
階下のリビングに行くと、さっと姫の猫ハウスにとびこんで、ニャーァ」と一言。
昨日は愛しくて、可愛くて何度も何度も頬づりをした。本当に可愛い。
🍒 窓下にふてぶてし恋す野良猫
🍒 三寒やおくるみにして猫ゆする