Blog~続・トイレの雑記帳

鉄道画像メインの「ゆる鉄写真ブログ」のつもりでしたが、
政治社会の事共について記したくなり、現在に至ります。

健全な 対外姿勢を目指したい

2020-07-14 20:57:36 | 国際・政治

前回も触れたが、来る 7/22から前倒し実施予定の観光振興策「Go To トラベル・キャンペーン」は案の定、各地から賛否が寄せられている様だ。日本経団連、経済同友会辺りからは(予定調和の)賛同の意が表された反面、中国大陸発、新型コロナ・ウィルス肺炎の感染対拡大が懸念される首都圏からの旅行者の受け入れに懸念を示す自治体も複数に上った。

なかんずく、青森・むつ市の宮下市長が出された「もしもこの振興策によって、都市圏からの感染症が持ち込まれ広まる事あれば、それは政府による人災である」旨の表明には、極めて謙虚に向き合うべきではないのか。本当に 当初は来月後半開始見込みだったのが一転大幅前倒しとなったのは、何らかの政治力が働いたとしか思えない。どうせ多くの公共投資同様、一部の利益にしかならないのが分かっているなら、前述感染症対策や稀に見る大水害に見舞われた各地の救援など、他に予算の使途があるだろう。

本題です。ちょっと海外になるが、先日 我国とも友好深い欧亜の境・トルコ共和国にての、宗教的・文化的な出来事に触れたく思う。同国の正に欧亜両面を向く国境の街・イスタンブールの世界遺産「アヤソフィア」と呼ばれる史跡につき、同国最高行政裁判所の判決を受け 歴史博物館→旧オスマン帝国下のイスラム聖堂モスクへの再度の改装を図るというもの。

史跡アヤソフィアは 6世紀にビザンツ帝国(当時)がギリシャ正教総本山として建立したとされ、15世紀に前述オスマン帝政下でモスクへと変更。和暦昭和初期の 1930年代に、無宗教の歴史博物館へと整備された経緯がある由。キリスト・イスラム両宗教の特徴を併せ持つ「異文化共存の象徴」と見られてきた様だ。

エルドアン・トルコ共和国大統領は 7/10、前述史跡アヤソフィアを再度モスクとする大統領令に署名、国民多数を占めるイスラム教徒の願いに応える政策として推進の方向の様だ。これに対し、予想通り欧州連合 EUをメインにキリスト教圏から非難声明が多く出され、ローマ教皇や米ロ両国からも失望の念が表された。又、国連教育科学文化機関ユネスコ(UNESCO)は 次回世界遺産委員会で保護状態審査を行う方針とされ、世界遺産登録が取り消される可能性も出てきた。拙者、我国としてはトルコ共和国の内政問題として謙虚に、そして慎重に静観すれば良いとの立場を取る者だ。

確かにアヤソフィアの現在の価値は、ユネスコが指摘する様に「歴史博物館としての地位は普遍的な性質を反映し、世界対話の強力な象徴」の価値もそれはあるかも知れない。しかしそれに留意するにしても、史跡のあり方を今後どうするかについては、それを管理する国の内政に属する事。モスクへの再変更が行われるにしても、トルコ国内の必要な法的手続きに則って 同国大統領による正当な大統領令によって行われるのであるから、文化面の処遇を議論する必要はあっても、過度の非難は内政干渉に当たる恐れある事も自覚すべきだろう。キリスト教圏にしても、かつては今の中国大陸かそれ以上に、覇権を振り回して植民地の増加に狂奔していたではないか。

我国とトルコ共和国は、特別な友好の間柄にある事はご存知だろう。前々世紀の 1890=明治 23年に紀伊半島沖で遭難、犠牲数百名を数えた旧オスマン帝国艦船の、数十名超の乗組員救出劇は 今もトルコ共和国の教科書に載る程よく知られている由。余りの美談にはすべきでないかもだが。が、この時の恩はほぼ一世紀を経て報われる形となる。1985=昭和 60年のイラン・イラク戦のあおりで帰国不能となった 200名超の在イラン邦人各位の救出に、当時は自衛隊海外派遣が不能でかつ我国民間航空機も派遣できない状況下、トルコ共和国政府を経てトルコ航空(当時。現ターキッシュ・エアラインズ)が救出フライトに応じて下されたのだ。

こうした友好の経緯を考えても、我国の同国に対する文化・宗教的向き合いは、何よりもまず内政問題である事を念頭に置くべきだ。トルコ共和国は、国内多数派のイスラム教勢力の希望に応えようとしているだけだ。普遍的な文化史跡としてのあり様は それは相当に変わるかも知れないが、エルドアン大統領を初め トルコ国民多数はユネスコによる世界遺産再審査→場合により登録抹消の可能性も覚悟の上だろう。失われる所もそれは小さくないかもだが、国連憲章中の、人権などへの侵害行為とは違う。その辺りを、例えば中国大陸による強権的対香港政策などと同一視してはならないのである。

繰り返しになるかもだが、世界遺産登録史跡といえど 基本いかに管理して行くかはその史跡の属する国の主権と方針に任せられるべき。強権によらない所定の法的手段を踏んでいるなら尚更だ。前述の中国大陸による強権的対香港政策についてさえ、二階自民幹事長は「慎重に見守るべき」との言説らしいが、それはトルコ共和国に対してこそ正解だ。イスラム教に依拠する同国の文化を最大限尊重しつつ、難しくはあるも これからも少しでも良い友好関係を続けられればと願う者だ。今回画像も先年ので恐縮。数年前訪れた、三重・熊野市内の紀伊半島・太平洋岸の入江にて。明治年間、当時のオスマン帝国艦船が遭難したのはこの遥か沖合の様です。以下に、関連記事をリンク致します。(辞典ウィキペディア) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A4%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A2

コメント (2)
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