一部地域を除き、無観客開催が決まった東京五輪。インド由来とされる「デルタ型」と言われる 感染力を増した変異ウィルスの台頭もあって、首都圏の新型感染症拡大が又も目立つ様になってきた。ワクチン需給に不安を孕みながらも、予防接種は全国レベルで曲がりなりにも進んでいるし、菅現政権が決して真摯な取り組みをしていないとの見方はしたくない。
しかしながら どの様に多忙で心身の余裕がない状況下であっても、決して国民市民向けに間違った印象を持たれる様な 政府関係発言や発信はして欲しくない。その意味で、一昨日発出の 西村経済再生相による飲食店の酒類規制に関する金融機関を巻き込んだ様な働きかけ発言は、決して芳しくはないのではないか。以下 一昨日の時事通信ネット記事を引用して、みて参りたい。
「酒停止『圧力』一転撤回=金融機関への働きかけ行わずー西村氏」
西村康稔・経済再生担当相は 7/9、緊急事態宣言発令などの決定を受け、酒類を提供する飲食店が休業要請に応じなければ金融機関に店舗情報を提供するとした 自身の発言を撤回した。加藤勝信・内閣官房長官に同日伝えた。与野党から「金融機関による優越的地位の乱用に繋がる」と反発が上がり、最初に方針を打ち出してから僅か 1日で取り下げに追い込まれた。
西村氏は 7/8夜の記者会見で「金融機関からも応じてみらえるよう 働きかけを行ってもらう」と発言した。 7/9 午前の会見では、法的な根拠に基づくものではないと説明。趣旨はあくまで「感染防止」の呼び掛けであり、手段として「融資制限」を促す内容ではないと強調した。
加藤氏が 7/9午後の会見で明らかにしたところによると、西村氏は当初の言い方は舌足らずだったと釈明。「関係省庁から個別の金融機関などへの働きかけは行わない」との考えを示した。加藤氏は 発言に注意するよう西村氏に求めたという。
一方、酒類販売業者に対して休業要請などに応じない飲食店との取引停止を求める政府方針について、加藤氏は会見で「可能な限り 感染防止対策に協力をお願いする趣旨だ」として撤回しない意向を示した。(引用ここまで)
前述の 金融機関への情報提供や協力を受けての強い休業等要請の措置は違憲の疑いもある由で、与野党レベルで指摘のあった 金融機関による優越的地位乱用の可能性リスクも含まれる。感染症拡大防止という喫緊の対策を要する現状は理解するも、現状では飲食業者の「営業自由の原則」を憲法上規制できる法制度になっていない以上、前述の働きかけは認められないという事だろう。つまり「悪手」という事だ。
西村大臣のこうした見解につき、小池東京都知事は一定の理解を示された様だが、専門家筋からも 前述の働きかけは法的根拠も怪しいものとされる由。ならば現状撤回は当然だし、国会閉会中審査でも厳しい質疑が行われる可能性がある。西村大臣は 説明責任を問われる覚悟をされるべきだ。
今は 引き続いての強い新型感染症対策と並行しての東京五輪開催に向けての対応などで、政府周辺の大変さは理解するが、やはり国民市民の誤解を招く様な不穏な発言には厳に注意を願いたい。辞任を主張する政治勢力もあろうが、拙者は今は 西村大臣を交代させるべき局面(フェーズ)ではないと心得る。不適切、不穏当な出方は直ちに撤回し謝罪を行う一方で、必要な職務は粛々と進めて頂きたいものだ。今回画像は少し前に JR名古屋駅で見かけた、試験走行に臨む 次期特急「ひだ」などの運行を担う新型長距離車両の様子を。以下に 関連記事をリンク致します。(私的憂国の書様) 緊急事態宣言に伴う悪手が呼ぶ批判 ~ 政府はダメージコントロールを考えるべき時だ | 私的憂国の書 (fc2.com)