この所、流行続く 中国大陸他由来の新型コロナ・ウィルス感染症対策と並んで、我国企業の情報安保・・所謂セキュリティ保全の対策が各方面から叫ばれる様になってきた。国家の行政機密保持の問題や 前述感染症対策でもそうだが、我国では余りにも長く続き過ぎた 平穏な時期を前提として諸事と向き合い考える「平時だけ思考」に嵌り過ぎた所があるのではないか。以下 昨日の産経新聞ネット記事で取り上げられた、大手通販企業「楽天グループ」の例を少しみて参りたい。
「中国(大陸)IT大手出資の楽天を監視、警戒強める日本政府」
楽天グループが 中国(大陸)IT大手の騰訊控股(テンセント)子会社から出資を受けたことに日本政府が警戒を強めている。顧客情報などが 同社を通じて中共当局に流出する懸念が拭えないためで、政府は外国人投資家による日本企業への出資規制を定めた「外為法」に基づき、楽天を監視する考えだ。同社は米合衆国でも事業を行っていることから、日本と同様に中国(大陸)への警戒が高まっている米国当局にも情報提供を行う。
問題となっている出資は 今年 3月、楽天と日本郵政が資本業務提携を発表した際に明らかにされた。楽天が第三者割当増資を行う形で 日本郵政から 1499億円の出資を受けるのに合わせ、テンセントの子会社からも 657億円の出資を受けるというものだった。この出資により、テンセントの子会社は 楽天株の 3.65%を保有する大株主となった。
外為法では、安全保障上重要な企業の株式を外国人投資家が取得する際、事前の届出を求めている。国際的な影響力を増す中国(大陸)などを念頭に、昨年 5月には事前の届出が必要となる出資比率をそれまでの「10%以上」から「1%以上」に引き下げて厳格化していた。ただ 資産運用目的で経営に関与しない「純投資」の場合は事前届け出を免除する仕組みも設けている。テンセントの子会社も「純投資」として事前届け出の免除を受けていた。
ただ、政府関係者は「同社が出資する真意は不明」と話す。事前届け出の免除制度では、事後的に免除基準を満たしているかを調べることができることから、日本政府はテンセント側による (1)役員への就任 (2)株主総会で事業の譲渡や廃止の提案 (3)非公開の技術情報へのアクセス・・などの免除基準に違反するような行為がないか、両社から話を聞くなどして監視する。
楽天は 国内で約 1億人の顧客を持ち、中国(大陸)側に情報が流出した場合の影響は計り知れない。免除基準違反などの問題が確認されれば 基準を守るように勧告や命令を出し、従わない場合は テンセント側に株式の売却を命じるなど、厳しい姿勢で臨む方針だという。
楽天は 産経新聞の取材に「今回のテンセントの子会社による出資は純投資で、(テンセントと)業務提携するものでも、それを前提としているものでもない。当社とテンセントとの間で情報は遮断され、当社への経営、ガバナンス・データに関与するものでは全くない」とコメントしている。(引用ここまで)
前回触れた 中国大陸・人民軍絡みといわれる対日ハッカー疑惑に際しても、中共政府は「確証もなしに疑うなかれ」などと「初めに反発ありき」の姿勢で返してきたのはよく知られるが、一体我国の 対中進出している民業各位は、中国大陸の情報面での質の悪い姿勢をどの位自覚されているのか?拙者には甚だ疑問だ。同国の諸企業には、中共政府の情報活動への協力義務が同国法律で課せられており、前述のハッカー事案もこの一環だったと思われる。更に身近な所では、広域通信アプリ・ソフト「LINE」のユーザー情報相当数が、中国大陸の委託先企業から閲覧可能な状態だったという件も、まだ記憶に新しいではないか。
確かに今回引用した 楽天グループの提携に関する事案も情報流出懸念を孕むもので、今後の国民的注視を要しようが、我国政府が警戒すべきは大手のみならず、相当数の中小企業も含まれるのではないか。楽天グループを含む大手各社は 情報安保面でも相応の手当てができるだろうが、中小各社は商売や経営効率優先に走る余り こうした情報セキュリティの問題を重く見ていない節が感じられるのだ。中共政府の目も節穴ではあるまい。大手より防御の甘い中小企業の顧客情報などを盗りにくる可能性は大きいとみなければならないのではないか。
拙者も決して 国際経済に明るい訳ではないので多言は控えるが、中共政府が必要とあれば、同国内全企業に対し 本来は企業秘密に属する情報提供を命じる事も可能な国家だという事実を、初めからよく理解し自覚する必要があるという事だろう。ハッカー問題と共に、今や「大きな市場だから。営業効率で有利だから」との理由だけで、対中進出を安易に考える時代はとうに終わったという事ではないのか。
我国側の企業組織をどの様に情報流出危機から守るかとの「防御の思想」が伴わなければ、安全な対中企業活動はもう叶わないだろう。そしてそれは、当然の事ながら 相応のコストを必要とする事だろう。「非現実的」との揶揄は覚悟だが、この際 中国大陸の様な情報統制思考の所への経済進出を再考し、今は新型感染症禍で難しいは分かるが、インド国など 対中依存を少しでも緩和できる、国際商業活動の多様化が模索されても良い様な気もするが。今回画像も以前ので恐縮。よく練習撮影に参る、熱田神宮傍を通る JR東海道線・下り貨物便の様子を。
ご紹介の経済アナリスト、深田萌絵さんの動画を少し
拝見。最初は主に 台湾問題の取り上げを見て参りま
したが、貴指摘の片鱗を見た思いがする所で、これか
ら折々拝見しようと思います。こんな主張が若い世代
から現れた事は心強いし、これからも息長い発信を願
えればとも素直に思います。
今回拙記事の問題は、我国企業の情報セキュリティ
意識がまだ低い所もさる事ながら、国家レベルにて
スパイ防止法などの防諜法制が未だ整備されない所
も大きいですね。政権与党は実現に向け、蛮勇を振
るって頂きたいものです。まずは、お礼まで。
深田萌絵さんという人の動画を見たことがありますか。
私も最近知りましたが、若い人なのに、こうした知識が豊富で、日本の無防備な状況を鋭く批判しています。参考情報として、お勧めいたします。
経団連も、参加企業も、「金儲けできるのなら、なんてもする。」というアメリカのグローバル企業の悪しき真似をやめ、昔のように「日本の会社」に戻るべきですね。
「スパイ防止法」がないから、こんな事態になります。政治家も企業も、「金儲けだけ」考えていたら、そのうち国ごと失ってしまうと、目を覚ますべきです。
貴方の意見の拡散を、心から応援します。