人生三分の一は寝ている。
つまり毎日8時間は布団の中、ということになる。
日に干したあとのフカフカ布団は何物にも替え難く、仕事もしないで何時までもゴロゴロとその上で丸くなっていたい。
ところがだんだん日に干しても、布団がフカフカにならなくなってきた。
ホカホカと暖かくはなるものの、フカフカは復活しなかった。
もう寿命なのか?
寝ることと食べること、それに酒を飲むことが大好きなのに、そのうちの三分の一が奪われたら、何のために生きているのかわからない。
そこで新しい寝具を捜すべく、いろいろと検討してみた。
手っ取り早くフカフカ感を得るため、せんべい布団の下にマットを敷いて寝たらどうか。
最初はとても快適だった。
まるで雲の上で寝ているみたいでいい夢見れそう、なんて上機嫌で眠りについた。
ところが朝になったら寝床から起きれない。
背骨から腰のあたりまでが完璧に力を失い、立ち上がれなくなったのだ。
せんべい布団に寝ていたときは、こんなことはなかったのに何てことだ。
ひと晩で具合が悪くなったので、またもと通りせんべい布団で寝たら、朝のお目覚めがバッチリ快調。
薄い布団で寝ていると、なんだか痛そうで悪代官に拷問をやられているみたいな気がするが、フカフカ布団よりはるかに快適なことは間違いないことが分かったのあった。