高校生くらいの年代の頃は、まるでニキビとの闘いの人生を歩んでいる子がたくさんいた。
顔一面にニキビできて、「もうこれで彼女はできない、絶望的だ」と、俯いてしまう子もいたくらいだ。
そんな年頃とニキビは切っても切れない仲だった。
自分は、ニキビはぽつりぽつりとしか出てこなかった。
たまにニキビが出ると、ぷちっと爪の先でつぶした。
これはやってはいけないことだが、一度やるとやらずにいられなくなった。
他の子たちもニキビができても、オロナインを塗るくらいで、キチンと治療する人なんかいなかったのではないかと思う。
顔面いっぱいにニキビが花盛りになって、片っ端から爪でつぶして顔面まっかっかになってた子もいた。
当時の高校生は、「ニキビは青春のシンボルだ」「そのうちに治る」
と親に言われて、気にしながらも治る日をじっと待っているだけだった。
ニキビはほとんどできるのが当たり前と思われていた、というよりも「あんたもお年頃になったね」とささやかれ、「好きな子いるのか、おいおい」などと詮索されたりした。
若いエネルギーがニキビとなって顔面に噴出しているとされていたのだ。
しかし、近頃の男子高校生の顔を見て驚くのだが、若い男はどうしてニキビができていないのだろう。
かつては5人歩いていれば、3人はニキビ顔だった。
ところが今の彼らの肌はツルツルしていた、まるで茹でたまごのようだ。
栄養状態も良く、油ものをたくさんとっているはずである。
スナック菓子やファーストフードの油は、相当なものじゃないだろうか。
ニキビは身体に不必要なものが余って、顔面に出てきていると思っていたが違うのだろうか。
確かに昔は、ひと月も顔を洗ってないようなのがいたり、顔なんか一度もさわったこともないような不潔な人もたくさんいた。
顔を清潔にしていると、ニキビは出ないのかもしれない。
ニキビ青年が姿を消したのは、自分にとってこれまでの波乱万丈ハチャメチャ人生劇場の7不思議、のひとつなのである。