昨日はボランティアの仕事で、ひとつの大きな山場を経験したのですが、自分の能力不足もあって思うようなパフォーマンスができませんでした。結局、最後の最後でベストを尽くせなかったら、それまでの過程でどんなに努力しても報われないのだな、と徒労感を覚えながら家路につきました(まあ、そもそも私にとってボランティア活動は、苦手なことに挑戦する"修行"のようなものですが)。
ただし、私の個人的な後悔や悩みも、自宅に戻れば、ある程度リセットできます。何より自分に構っていられなくなるからです。家族がいれば、自分第一ではいられません。主婦は「何者かである自分」を求め家の外へ出たがりますが、出たら出たで自分がひとりの人間として、その能力、容姿、人格が他人に評価されるという、厳しい現実を突きつけられます。そこで一喜一憂するわけですが、思うような評価を貰えなかった時に自分を救ってくれるのが、他ならぬ自分を縛り付けていたはずの家庭であるのが、皮肉と言うか面白いですね。
さて、家族で遅めの夕食を取っていたところ、息子の携帯電話の呼び出し音が鳴りました。すぐさま電話に出た息子は敬語で受け答えしながら、自分の部屋に戻ってしまいました。
しばらくして、今にも泣き出しそうな表情で食事に戻って来たので、先日、もしくは、昨日受けた面接の結果が思わしくなかったのかと、親としては心配になりました。
ところが、実際はその逆で、先日受けた第一志望の企業から内定(正確には内々定。正式な内定は協定で10月以降と決まっているようです)の連絡を受けたと言うのです。当該企業の最初の面接を受けてから、ちょうど1週間のことでした。
息子の内定の件で、私がいたく感銘を受けたのは、当該企業の人事担当の方が内定を告げる電話で、これまで息子を担当された面接官全員の息子に対するコメント~なぜ、息子を採用するに至ったのか、面接官が感じた息子の長所~を直接息子に話して下さったことです。息子はこれで俄然入社へのモチベーションが上がったと感激していました。
逆に選に漏れた場合は、その理由を当事者である就活生は知る手段がないので、戸惑いますね。ウチの息子も、それは他社で経験済みです。特に初めての採用面接では、同時に面接を受けた学生が既に何社も面接を受けた猛者だったらしく、その堂々とした受け答えに息子は圧倒されてしまったようです。面接では自分の良さをできるだけ平常心でアピールできるよう、その是非はともかく、ある程度"場慣れする"必要はあるようです。4月に入れば、企業の採用面接が本格的にスタートしますが、第一志望の企業を<可能な限り>面接スケジュールの筆頭にはしないのが無難なのかもしれません。
とは言え、ある人曰く、就活は"マッチング"(←就活生の持っているスキルが、企業が求めるスキルと合致しているか…本人が自ら、それを冷静に見極めることも大切なのかもしれません)と"タイミング"(仮に同じスキルを持った就活生が2人いて、1人しか採用枠がない場合、先に企業との接触に成功した就活生が内定を獲得できる可能性が高い。採用・不採用はまさに紙一重の差なのかもしれません。だからこそ、選に漏れた時はマッチングとタイミングの何れか、或いは両方で「この会社とは縁がなかったのだ」と割り切り、就活生自身も周囲の人間も、内々定に至らなかったことをいつまでも悔やんだりしないこと、落胆した気持ちを引き摺らないこと…、何より就活生の自尊心を守ることが重要だと思います)の両方が揃って初めて成功するようです。
因みに、企業と就活生のマッチングと言う意味では、息子の就活では興味深い結果が出ています。今回、息子の所属する研究室から5人受けて、内々定をいただけたのはウチの息子だけでした。しかし、他の学生も全員、その後、有名大手企業等から内々定を得ています。中には超難関と言われる国立の研究施設から内々定を得た人も。さらに、専攻内で企業への推薦枠を狙っていた息子の前に立ちはだかった専攻トップの成績の学生(←つまり、この人のおかげで息子は推薦枠に入れませんでした。それは当然です。基本的に推薦枠は成績順に埋まりますから。息子も成績は上位でしたが、まさかトップの学生が同じ企業を志望するとは…)は、その推薦枠選考で採用には至りませんでした。今にして思えば、息子はいきなり最終面接を受けることになる推薦枠(学校推薦の場合、基本的に面接は1回のみで、正に一発勝負?!)に入らなかったことが、却って良い結果をもたらしたようです。元々口下手な息子は、何度か面接を繰り返す中で面接にも慣れ、自分の持ち味や企業に対する思いを、面接官にきちんと伝えられるようになったからです。世の中、何が幸いするか、分からないものです。
息子は修論の研究に忙殺され、就活も始めてから実質1カ月経つか経たないかで、以前書いたようにESもわずか3社にしか提出していないのですが、どうにか第一志望の会社から内定をいただけました。これで息子の就活も終了です。息子はこの1カ月、研究と就活の板挟みで辛かった、と言っていました。文系に比べ採用枠の大きい理系であったことも幸いしたと思いますが、就活が長引かなくて本当に良かった。
思えば、息子は中学受験も大学受験も、本人の自覚と努力の足らなさから、第一志望が叶わず、第二、第三志望(もしかして、第四志望?)に甘んじて来ました。本人も当時の自分を振り返って、「本当に子供だった。幼かった」と評しています。
しかし、大学に入ってからは、自分自身の目指す道が定まったのか、息子は人が変わったようにあらゆることに全力投球で臨み始めました。勉学のみならず、専攻に直結した部活にも注力し、自分の将来に役立ちそうな資格の取得にも励むなど、親も驚くような変身ぶりでした。人間関係にも恵まれ、厳しくも温かい恩師や、個性豊かで才能に溢れた先輩・後輩・友人達と出会い、さまざまな経験を積み、傍から見ても充実した学生生活を送っています。
今回内定をいただけた企業は、息子が幼い頃から憧れ続けて来た企業です。あの泣きの表情は、念願叶った嬉し泣きの表情だったようです。
今回の就活で、夫や私は特別なサポートはしていません。強いて言えば、ESの内容のブラッシュアップ?でしょうか?本人に一度読んでみて欲しいと頼まれ、一通り目を通した上で、内容に詰めの甘さがある場合は、とにかく息子とよく話し合いました。そうすることで、彼の頭の中で漠然としていたものが明確になり、彼なりに考えをまとめることができたようです。普段から家族仲が良く、常に会話を絶やさないからこそ、このようなサポートも可能だったのかもしれません。
ただ、就活中の子供との関わり方は塩梅が難しく、私は息子に「黙って見守っていてくれないか (←つまり、ウルサイ、と
)と言われたこともあります。また、親元を離れてひとり暮らしをしている学生は、身近に親代わりになるような社会人の相談相手(就職課の職員や志望企業に勤める大学OB等)を是非探して、お話を伺う機会を設けたり、ESの内容チェックやアドバイスをお願いした方が良いと思います。就活を熟知している人、比較的最近、就活を経験した人のアドバイスはきっと役に立つはずです。
息子もさまざまな情報源を元に企業研究はもちろんのこと、大学及び大学院OB、就職課、教授等、あらゆるコネを駆使して、ターゲットの企業との接点を持ったようです。そんな人脈や行動力も、大学入学後に身につけたものなのでしょう。本人の努力の賜物です。
また、息子は同じ研究室の仲間にも、陰になり日向になり助けられたようです。この一年間、研究室の学生達の兄貴分として常に身近におられた講師の励ましの言葉も、息子の心の支えになったようです。斯様に周囲の人間関係にはとても恵まれています。これには親として、本当に感謝したいですね。
息子はとにかく修論の研究で忙しいので、就活に向けて何か特別なセミナーを受ける、と言った時間的な余裕はなかったようです。
そう言えば過去に、ある内定者が、こんなことを言っていました。「就活なんて一生懸命やるもんじゃない。学生生活を充実させた先に、内定があるんだ。」
確かに、息子が第一志望の企業の内定にこぎ着けたのは、巷で喧伝されているような付け焼き刃なテクニックではなく、学生生活における日々の努力の積み重ねだったのだと思います。実際、息子は「自分はなぜここまでプレッシャーと闘いながら研究を続けているんだろう」と、日々自問自答しながら、夏休みも春休みも殆どない学生生活を送って来ました(合コンなるものにも1度も行ったことがないようです。どうせ就職すれば、特に新人時代は仕事に忙殺され、遊ぶ時間などない日々が待っているのですから、もう少し頭を空っぽにして遊ぶ時間があっても良かったのではと思うことも)。
もし就職を目指す企業があるのなら、その企業のレベルに見合うだけの実力を日々の努力で身につけること。これが、地味だけれど確実な内定獲得への道筋なんでしょう(もちろん、企業によって求める人材は違うので、それにフォーカスした努力が必要でしょう)。
ともあれ、息子の就職先が決まったことで、親としては、ひとつ肩の荷が下りた思いです。次の関門は結婚でしょうか?ずっと先のこと(になりそう?)ですが、これは就活以上に難関のようです。
2年前のちょうど今頃、息子に読むよう薦めました:
村上憲郎『 一生食べられる働き方』(PHP新書、2012)
ただし、私の個人的な後悔や悩みも、自宅に戻れば、ある程度リセットできます。何より自分に構っていられなくなるからです。家族がいれば、自分第一ではいられません。主婦は「何者かである自分」を求め家の外へ出たがりますが、出たら出たで自分がひとりの人間として、その能力、容姿、人格が他人に評価されるという、厳しい現実を突きつけられます。そこで一喜一憂するわけですが、思うような評価を貰えなかった時に自分を救ってくれるのが、他ならぬ自分を縛り付けていたはずの家庭であるのが、皮肉と言うか面白いですね。
さて、家族で遅めの夕食を取っていたところ、息子の携帯電話の呼び出し音が鳴りました。すぐさま電話に出た息子は敬語で受け答えしながら、自分の部屋に戻ってしまいました。
しばらくして、今にも泣き出しそうな表情で食事に戻って来たので、先日、もしくは、昨日受けた面接の結果が思わしくなかったのかと、親としては心配になりました。
ところが、実際はその逆で、先日受けた第一志望の企業から内定(正確には内々定。正式な内定は協定で10月以降と決まっているようです)の連絡を受けたと言うのです。当該企業の最初の面接を受けてから、ちょうど1週間のことでした。
息子の内定の件で、私がいたく感銘を受けたのは、当該企業の人事担当の方が内定を告げる電話で、これまで息子を担当された面接官全員の息子に対するコメント~なぜ、息子を採用するに至ったのか、面接官が感じた息子の長所~を直接息子に話して下さったことです。息子はこれで俄然入社へのモチベーションが上がったと感激していました。
逆に選に漏れた場合は、その理由を当事者である就活生は知る手段がないので、戸惑いますね。ウチの息子も、それは他社で経験済みです。特に初めての採用面接では、同時に面接を受けた学生が既に何社も面接を受けた猛者だったらしく、その堂々とした受け答えに息子は圧倒されてしまったようです。面接では自分の良さをできるだけ平常心でアピールできるよう、その是非はともかく、ある程度"場慣れする"必要はあるようです。4月に入れば、企業の採用面接が本格的にスタートしますが、第一志望の企業を<可能な限り>面接スケジュールの筆頭にはしないのが無難なのかもしれません。
とは言え、ある人曰く、就活は"マッチング"(←就活生の持っているスキルが、企業が求めるスキルと合致しているか…本人が自ら、それを冷静に見極めることも大切なのかもしれません)と"タイミング"(仮に同じスキルを持った就活生が2人いて、1人しか採用枠がない場合、先に企業との接触に成功した就活生が内定を獲得できる可能性が高い。採用・不採用はまさに紙一重の差なのかもしれません。だからこそ、選に漏れた時はマッチングとタイミングの何れか、或いは両方で「この会社とは縁がなかったのだ」と割り切り、就活生自身も周囲の人間も、内々定に至らなかったことをいつまでも悔やんだりしないこと、落胆した気持ちを引き摺らないこと…、何より就活生の自尊心を守ることが重要だと思います)の両方が揃って初めて成功するようです。
因みに、企業と就活生のマッチングと言う意味では、息子の就活では興味深い結果が出ています。今回、息子の所属する研究室から5人受けて、内々定をいただけたのはウチの息子だけでした。しかし、他の学生も全員、その後、有名大手企業等から内々定を得ています。中には超難関と言われる国立の研究施設から内々定を得た人も。さらに、専攻内で企業への推薦枠を狙っていた息子の前に立ちはだかった専攻トップの成績の学生(←つまり、この人のおかげで息子は推薦枠に入れませんでした。それは当然です。基本的に推薦枠は成績順に埋まりますから。息子も成績は上位でしたが、まさかトップの学生が同じ企業を志望するとは…)は、その推薦枠選考で採用には至りませんでした。今にして思えば、息子はいきなり最終面接を受けることになる推薦枠(学校推薦の場合、基本的に面接は1回のみで、正に一発勝負?!)に入らなかったことが、却って良い結果をもたらしたようです。元々口下手な息子は、何度か面接を繰り返す中で面接にも慣れ、自分の持ち味や企業に対する思いを、面接官にきちんと伝えられるようになったからです。世の中、何が幸いするか、分からないものです。
息子は修論の研究に忙殺され、就活も始めてから実質1カ月経つか経たないかで、以前書いたようにESもわずか3社にしか提出していないのですが、どうにか第一志望の会社から内定をいただけました。これで息子の就活も終了です。息子はこの1カ月、研究と就活の板挟みで辛かった、と言っていました。文系に比べ採用枠の大きい理系であったことも幸いしたと思いますが、就活が長引かなくて本当に良かった。
思えば、息子は中学受験も大学受験も、本人の自覚と努力の足らなさから、第一志望が叶わず、第二、第三志望(もしかして、第四志望?)に甘んじて来ました。本人も当時の自分を振り返って、「本当に子供だった。幼かった」と評しています。
しかし、大学に入ってからは、自分自身の目指す道が定まったのか、息子は人が変わったようにあらゆることに全力投球で臨み始めました。勉学のみならず、専攻に直結した部活にも注力し、自分の将来に役立ちそうな資格の取得にも励むなど、親も驚くような変身ぶりでした。人間関係にも恵まれ、厳しくも温かい恩師や、個性豊かで才能に溢れた先輩・後輩・友人達と出会い、さまざまな経験を積み、傍から見ても充実した学生生活を送っています。
今回内定をいただけた企業は、息子が幼い頃から憧れ続けて来た企業です。あの泣きの表情は、念願叶った嬉し泣きの表情だったようです。
今回の就活で、夫や私は特別なサポートはしていません。強いて言えば、ESの内容のブラッシュアップ?でしょうか?本人に一度読んでみて欲しいと頼まれ、一通り目を通した上で、内容に詰めの甘さがある場合は、とにかく息子とよく話し合いました。そうすることで、彼の頭の中で漠然としていたものが明確になり、彼なりに考えをまとめることができたようです。普段から家族仲が良く、常に会話を絶やさないからこそ、このようなサポートも可能だったのかもしれません。
ただ、就活中の子供との関わり方は塩梅が難しく、私は息子に「黙って見守っていてくれないか (←つまり、ウルサイ、と
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息子もさまざまな情報源を元に企業研究はもちろんのこと、大学及び大学院OB、就職課、教授等、あらゆるコネを駆使して、ターゲットの企業との接点を持ったようです。そんな人脈や行動力も、大学入学後に身につけたものなのでしょう。本人の努力の賜物です。
また、息子は同じ研究室の仲間にも、陰になり日向になり助けられたようです。この一年間、研究室の学生達の兄貴分として常に身近におられた講師の励ましの言葉も、息子の心の支えになったようです。斯様に周囲の人間関係にはとても恵まれています。これには親として、本当に感謝したいですね。
息子はとにかく修論の研究で忙しいので、就活に向けて何か特別なセミナーを受ける、と言った時間的な余裕はなかったようです。
そう言えば過去に、ある内定者が、こんなことを言っていました。「就活なんて一生懸命やるもんじゃない。学生生活を充実させた先に、内定があるんだ。」
確かに、息子が第一志望の企業の内定にこぎ着けたのは、巷で喧伝されているような付け焼き刃なテクニックではなく、学生生活における日々の努力の積み重ねだったのだと思います。実際、息子は「自分はなぜここまでプレッシャーと闘いながら研究を続けているんだろう」と、日々自問自答しながら、夏休みも春休みも殆どない学生生活を送って来ました(合コンなるものにも1度も行ったことがないようです。どうせ就職すれば、特に新人時代は仕事に忙殺され、遊ぶ時間などない日々が待っているのですから、もう少し頭を空っぽにして遊ぶ時間があっても良かったのではと思うことも)。
もし就職を目指す企業があるのなら、その企業のレベルに見合うだけの実力を日々の努力で身につけること。これが、地味だけれど確実な内定獲得への道筋なんでしょう(もちろん、企業によって求める人材は違うので、それにフォーカスした努力が必要でしょう)。
ともあれ、息子の就職先が決まったことで、親としては、ひとつ肩の荷が下りた思いです。次の関門は結婚でしょうか?ずっと先のこと(になりそう?)ですが、これは就活以上に難関のようです。
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村上憲郎『 一生食べられる働き方』(PHP新書、2012)