はなこのアンテナ@無知の知

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国連常任理事国を中心とする大国に振り回される日本

2012年03月19日 | はなこのMEMO
昨日3月18日(日)付日経朝刊2面のコラム《風見鶏》に、「日本が知らぬ大国の黙約」と題して、興味深い内容が綴られていた。筆者は編集委員の秋田浩之氏。

要約するとこうである。


核兵器開発を巡る米国の対応は、イランと北朝鮮とでは大きく異なる。その裏には、日本を外した、米欧中による「大国の黙約」の存在がある。

日本は米欧からの強い求めに応じて、原発が止まる中、エネルギー資源の確保に頭を悩ませながらも、イランからの原油輸入量を減らしている。しかし、最大のイラン原油輸入国である中国に対する米欧の態度は甘い。

その理由は、国連の常任理事国間の、特殊な「貸し借り関係」にあるらしい。常任理事国のみが持つ、国連決議への「拒否権」と言う特権を最大の武器に、彼らは正義や人道よりも自国の国益を優先させる。その為には互いに「裏取引」も辞さない。

米欧にとって目下一番の悩みの種はイラン問題であり、それは米国の盟友イスラエルの存亡もかかっている。一方、中国は北朝鮮が暴発し、その火の粉が自国に降りかかることを最も恐れている。そこで中国は米国に北朝鮮を追い詰めないよう強く迫り、先日、堂々と核兵器を作り、手放そうともしない北朝鮮に対する食糧支援まで約束させた。その代わりに中国は、米欧の求めに応じてイラン原油の輸入を削減する、と言う手はずだ。

しかし、米国の足下を見透かした北朝鮮は増長し、今度は長距離弾道ミサイルを打ち上げようとしている。米欧中連合の蚊帳の外にいる日本は、否応なくその脅威に晒されている。そんな日本は、イラン制裁に協力する見返りに、北朝鮮に厳しく対処するよう米国に迫るくらいのしたたかさがあってもいい。


結局、日本や他の国々が常に彼らの都合に振り回されている原因は、彼らが60年以上も国連で常任理事国と言う立場に居座って、国連を牛耳っているからだと思う。

そんな国連を日本が莫大な金額で支え続けている。日本の国連通常予算分担比率は2010年時点で12.530%。金額にして2億6500万ドル(約212億円)。22%の米国に次いで2番目の高さ。1国で「その他172カ国」の分担率13.545%に匹敵する高さである。この分担率は国の経済力に応じて定められると言うが(ずっと定率と言うわけではなく、3年に1度見直し。因みに2001年は、20%を超えていた)、常任理事国の英は4位で6.604%、仏は5位で6.123%、中が8位で3.189%、ロシアに至っては15位で1.602%である。

何だかね…別に金を出すから日本はもっと認められるべき、常任理事国入りすべきとは言わないが、常任理事国が第二次世界大戦の戦勝国で永久固定で、彼らの都合で拒否権行使されて、正しいことも行われない(親イスラエルの米国が拒否権を行使して、パレスチナの国連加盟を許さず、北朝鮮絡みでは常に中国が拒否権をちらつかせる…)、国際紛争も一向に解決されない(シリア制裁に対し、中露が拒否権行使)と言うのはもう馬鹿らしくて、国連なんていっそ解体して、また新しい秩序のもとに国際組織を作ってしまえば良いのに!とさえ思う。

となると、第三次世界大戦を待つしかないのか?昨今の世界的不況、世界各地で噴出する人々の不満、国家間の不和、キリスト教世界とイスラム教世界の対立、人種間対立、民族間対立、止まらない核開発、水やエネルギー資源を巡る国家間の争奪戦、度重なる天災等々、諸々の問題が、国々を、人々を戦争へと駆り立てているようで、近い将来、本当に戦争が勃発しそうで怖い。

戦争と言えば、昨日の朝のトーク番組の総集編で、今は亡き前田武彦氏が、「私の人生にロスタイムがあるとすれば、そのロスタイムを生じさせたのは戦争かな。」と言っていたのが印象的だった。「戦争はダメだよ。本当にダメだ」(カメラ側にいる若いスタッフに向かって)「君たちは戦争を知らないんだろう?幸せだな」と言ったかと思うと、戦争によって失われた歳月に思いを馳せるかのように、前田氏は視線を遠くに向けた。彼のように戦争を体験し、その不条理を訴える人がどんどんこの世を去り、戦争への精神的歯止めがなくなった時、戦争を知らない世代は臆することなく戦争に向かうのだろうか?

私は軍隊の存在そのものは否定しないけれど、戦争は嫌だな。
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