サスペンス・アクションとしては最後まで途切れない緊張感で一気に見せてくれた。
テロ対策で欧米と中東が手を結ぶ段取りをつけるべく、スペインはサラマンカを訪れた米大統領。大勢の群衆が見守る中で開かれた演説会で、その大統領が凶弾に倒れる。現場は大混乱。それに追い打ちをかけるかのように次々と起こる無差別テロ…
映画は、大統領暗殺(誘拐?)を企てたテロ組織とシークレット・サービスの攻防を描く。ホテルを出発した大統領が銃撃されるまでの間に一体何が起きたのか?ひとつの事件を異なった8つの視点から見せてくれる。あたかもテープを繰り返し頭に巻き戻すかのように。ちょっとしつこいくらいに(笑)。しかしそれによって徐々に明らかになる事件の謎。
後半の入り組んだ街中でのカー・チェイス・シーンは、登場人物らがアンビリーバボーな運転技術とダイ・ハードな強靱さを見せて迫力満点。これはジェイソン・ボーン・シリーズに匹敵するかも。
キャスティングも魅力。デニス・クエイド、フォレスト・ウィテカー、シガニー・ウィーバー、ウィリアム・ハートと芸達者揃い。また、デニス・クエイド演じるトーマス・バーンズの同僚役には人気テレビシリーズ『Lost』に主演のマシュー・フォックス。更にもうひとり見た顔があるなと思ったら、『ボーン・アルティメイタム』に出演していた俳優だった!
いかにもハリウッド的な結末?にはいささか不満が残るけれど、全編を貫く迫力と疾走感は、映画館の暗がりの中で、大画面で見てこそ味わえるもの。できれば映画館で見て欲しい1本。
舞台となったサラマンカは、スペイン語ラジオ講座の舞台でもある。赤煉瓦作りの街並みが美しい。そうか、サラマンカってこんな雰囲気の街だったのね!その偶然に感謝。
【つっこみどころ】
多数の群衆が逃げまどう中で発砲を繰り返すのは無謀だよ。あんなこと許されるのだろうか?それを言ったら、物を壊し、人を轢き殺さんばかりのカー・チェイスもとんでもないことだけれど。ソニー製のビデオカメラの堅牢さにもビックリ?!「象が踏んでも壊れない筆箱」を思い出した(笑)。