はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

悲しみの涙、無念の涙、温かな涙

2008年08月28日 | はなこのMEMO
名脇役で知られた女優の深浦加奈子さんが48歳の若さで25日に亡くなられたらしい。S状結腸ガンという病で、数年前から闘病中だったと言う。一度は克服したかに見えたガンは、彼女の体奥深くに巣くい、徐々に彼女の体を蝕んで行ったのだ。

いつも一癖もふた癖もありそうなキャラクターを”楽しそうに”演じていた。よく通る声で、目に力があって、そして何よりその確かな演技力で、どんなドラマでも存在感を際だたせていた。

同じく40代の若さで病死した叔母に風貌が生き写しで、ブラウン管の中の彼女を通して、私は亡き叔母の姿を追ってもいた。その深浦さんも亡くなられて、私はもう叔母を記憶の中でしか思い出すことができない。すごく寂しい。

もちろん彼女に代わる女優はいない。演劇界も希有な演じ手を失ってしまった。心からのご冥福を祈ります。




■いまだ政情不安の続くアフガニスタンで、NGOの職員として農業指導に従事していた伊藤和也さん(31)が、武装組織タリバンに拉致され、無慈悲にも殺害された。私利私欲一切なく、ただただアフガニスタンの窮状を救うべく、現地の人々との信頼関係を大切にしながら、数年間に渡り農業指導に当たっていた伊藤さん。志半ばで暴力によって命を絶たれた彼のことを思うと、すごくすごく残念だ。無念だ。心からご冥福を祈りたい。

現政権転覆を企む武装組織タリバンは、現政権の治安対策の脆弱さを世界に知らしめる為に、近年ソフトターゲットである海外NGO団体を狙い打ちしている。先週も他国のNGO職員の女性3人が殺害されたばかりだ。

伊藤さんが所属していたペシャワール会はアフガニスタンで活動する海外NGOの中でも活動歴が長く、その実績は現地でも高く評価されている。しかも直接現地へ軍隊を派遣していない日本のNGOが標的になるとは殆どの人が予想していなかったことで、現地で活動する各国のNGOに与えた衝撃は大きい。

イスラム教原理主義を標榜する武装組織タリバンは、非イスラムを激しく憎悪し、暴力でそれを自国から排除しようとする。彼ら狂信者には、誠意も善意も通じない。日本の報道機関の電話インタビューに答えたタリバンの報道官は、日本も含めたすべての海外NGOを「西洋文化をアフガニスタンに持ち込む敵」と断罪し、「だから、我々は彼らを殺し続ける」と明言した。こうした、排他的で、頑迷で、意思疎通の困難な相手に対して、私たちはどう向き合えば良いのだろうか?(この種の人々は、どの社会にも一定割合存在するものだけれど)

◆アフガニスタンの複雑な情勢を描いた、お薦めの映画:君のためなら千回でも

◆ペシャワール会の現状認識の甘さを指摘する記事も:「いずれ狙われる…不安は的中した アフガン拉致・殺害」
→山本一太外務副大臣が会見で言葉を濁したのは、この記事に書かれたことと関係があったのか…?ペシャワール会の潤沢な活動資金を狙った金目当ての犯行?


■日テレの「24時間テレビ」。この類の番組はあまり好きではないのだが、今回、この番組のユニフォームTシャツのキャラクターモデルに選ばれた女性についてのエピソードに胸を衝かれた。その女性は生まれながらに知的障がいを持つ。現在20歳とのことだが、童顔で、はにかむ表情が愛らしく、「女の子」と言った方がピッタリな女性だ。その彼女がニュース番組「ZERO」で取り上げられた。

彼女の誕生に、当初母親はその将来を想い、途方にくれたそうだ。しかしある時、母親の頬を伝う涙を、無心に手で拭い続ける幼い娘の仕草に、母親は救われた。その限りない優しさに、これまでずっと母親としての幸福を感じて来たと言う。

「今ではこの子の為に、1日、1分でも長く生きていたいと思うんです」

私も叔母のひとりが、やはり知的障がい者だった。いつだったか、祖母が全く同じことを言っていたのを思い出した。それは我が子を愛する親としての切実な願いだろう。

親と子の出会いはどんな形であれ、かけがえのないものなんだなと、今更のように思う。ひとつとして無駄な命なんてない。すべての命は何らかの意味を持って、この世に存在している。その存在とどのように関わり、その関わりから何を得るかは、結局自分次第なのかもしれない。
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