塾講師・林修先生の冠番組「日曜日の初耳学」のインタビュー企画が好きで、しばしば番組を見ては、印象に残った言葉をメモっている。
元々、子どもの頃から人の話を聞くのが好きで、印象に残った言葉はノートに書きとめていた。高校生になると地方でもたまにある著名人の講演会に出向いては、自ら「話のタネ」とタイトルを付けたメモ帳に聴講した内容をまとめていた。
今も常に携えている手帳には、その時々に印象に残った言葉を書きとめている。どちらかと言えば、自分が明るく前向きになれるようなポジティブな言葉が多い。
なお、下記のメモはあくまでも聞き書きなので、一言一句発言のままとは言えないです。私の脳内補正も入っています。
■猪子寿之(アート集団「チーム・ラボ」代表)
「子ども時代は読書やゲームやテレビ等の頭脳を使った学びや遊びだけでなく、身体全体を使った体験知が必要。例えば、自然の中で自分もその一部であると言う感覚、全ては繋がっている、ボーダレスである、と言う感覚を得るのは大事。」
「本来学ぶことは楽しいこと。その楽しさが分かれば、人は一生学び続けることが出来る。」
「日本は実は個人主義の国。しかし、個人が短期で競争し合うのは消耗戦になるだけ。世界はチームで戦うケースが多い。他社への転職もチーム単位が少なくない。チーム・ラボもプログラマー、デザイナー、建築家など、さまざまな能力を持った集団で世界と勝負する。得意分野の違う人が集まったチームが強い。メンバーの長所が多様であればあるほど、強いチームが出来ると信じている。」
「日本の社会では、新たな価値観を認める(度量を持った)人が、物事の決定権を持つ(リーダー格の)人々の中に少ない。(→チーム・ラボの作品を最初に評価し、アート作品として自国に招聘してくれたのは海外の人々)」
「自分にとって意味があることをやり続けることが出来たのは良かった。やり続けるのに他人の評価は関係ない。(→他人の評価を軸とせず、自分にとって意味があるのか否かを行動の基準とする)」
■成田祐輔(イェール大学アシスタント・プロフェッサー)
「将来ブレイクするコンテンツとは、今はあまり知られていないが、一人当たりの消費額が多いコンテンツである。」
「自分を生かす為には、まず自分の特徴を理解し、その特徴を生かせる環境を選ぶことが大事。」
「日本は社会の少子高齢化を悲観視しているが、少子高齢化社会でも機械化、自動化を進めれば、経済成長は可能なはずだ。」
「尤も、日本人が日本人だけで子どもの数を増やすことは、子どもを産める年齢層の数が既に現時点で少ないので難しい。少子化の問題解決策は移民しかない。」
「個人的には、所詮人類も地球の長い歴史の途中に生まれ、滅びゆく種のひとつに過ぎないとは思っている。」←私も常々思っていることだ!
■森岡毅(マーケッター、業績不振だったUSJをV字回復させた立役者)
「~することが好き→自分の強み。」
↑動詞
「職業の適性を見極める方法は例えば以下の通り。①自分がやってみて楽しかったことを50~100個、ポストイットに書き出す。②「Thinking(戦略家タイプ)」「Leadership(変化を起こす力、人を動かす力)」「Communication(交渉力)」の3カテゴリーで①を分類する。③最もポストイットの数の多かったカテゴリーが自分の強みで、そこから職能を探す。」
以下は日経新聞(2022.6.30木曜日44面)の記事より
■鈴木俊貴(京都大学白眉センター特定助教)
「シジュウカラと言う小型の鳥に言葉があることを、世界で初めて証明した。実はこれまで猿などの霊長類も含めて、人間以外に言葉の存在が証明された例はない。」
「きっかけは生物学を専攻していた大学時代。シジュウカラが明らかに他の鳥より鳴き声の種類が多いと気づいた。しかも状況に応じて使い分けている。動物学や言語学では人間以外は「怖い」「好き」などの感情のみ伝えていて、単語や文法は持たないと考えられて来た。興味をそそられ、「鳥語」を研究すると決めた。」
「まず取り組んだのが単語の証明だ。」
ジャージャー!:ヘビ(ヘビが巣に襲いかかると、親鳥が聞いたことのない鳴き声をあげて警戒。100個近い巣箱を取り付け、ヘビの剥製を使って実験。ジャージャーと言う鳴き声には、地面や茂みなどヘビのいそうな場所をじっと見つめる反応を示す)
ヒヒヒ:タカ(天敵であるタカの剥製を見せるとヒヒヒと鳴いて、藪に逃げたり、上空を見上げる)
さらに木の枝を紐を使ってヘビのように動かしながら、スピーカーから「ジャージャー」と聞かせると、鳥たちはまるでヘビを見つけたかのように近づいた。違う音ではそうはならなかった。鳥は賢くて1回しか騙せないので、ここまで10年かかった。
「次に証明したのが文章だ。語順を入れ替えることで、文法があることまで明らかにした。」
天敵のモズが現れると、「ビーッビ(警戒しろ)・ヂヂヂヂ(集まれ)」と鳴き、鳥たちは集まってモズを威嚇する。ところが、語順を逆にして合成した声を聞かせても鳥たちは反応しない。
「(こうして)15年以上観察を続け、コツコツと明らかにしてきた。他にも「ツピー」「チッチッ」など20以上の単語を使い分け、200種以上の文章を使っていると考えられる。」
「研究を通じて見えてくるのは、人間が特権的な存在ではないということ。豊かな言葉の広がりを知れば、世界の見方が変わるに違いない。8月にスウェーデンの国際学会で基調講演をするが「動物言語学」と言う新たなな学問分野を提案したい。」
これはリアル「ドクター・ドリトル」だなあ(笑)。
記事(鈴木氏の手記)によれば、カエルやセミ好きの彼の為に、ご両親は東京都から茨城県への引っ越しを決め、お父さんは2時間かけて東京の会社まで通勤されたそうだ。
まさしく現代版「孟母三遷」!
そう言えば私の同級生を見ても、親御さんが教育熱心だった人達はその殆どがそれぞれの分野でキャリアを着実に積み重ね、今でも第一線で活躍している。
自らやりたいことを見つけて頑張る子どもをサポートする親の熱意は、子どもの将来の活躍を決定づける上で、本当に重要な役割を果たしていると思う。