はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

この世に「絶対」、と言い切れるものはあるのか?

2006年01月19日 | はなこ的考察―良いこと探し

今朝の富士山。すっかり真っ白に冠雪していた!

子供の頃から見聞きしていたことで、例えば学校の先生から「これは絶対○○だ」と教えられたこと、先生から植え付けられた価値観、物の見方は、かなり自分の思想信条に影響を与えているものだと思う。

しかしその影響も、自分自身が成長するにつれて、自ら学ぶことを通して、段々と薄まって行くのも事実だと思う(逆に自ら学ぶことをしなければ、その影響下に置かれたまま、ということになる)。

最近在日米軍の再編問題などの話し合いのため、日本の額田防衛庁長官が渡米して、米国のラムズフェルド国防長官と会談した、との報道があった。

案件のひとつ沖縄・普天間基地の移転問題では、受け入れ先である地元の理解をなかなか得られず、日本政府はその対応に苦慮している。

米国は米国で、日本政府にとっては、地元への説得材料になるはずの具体的な基地再編策を明かそうとはしない。ただただ移転計画を進めろと圧力をかけるばかりだ。

こういうやりとりを見るにつけ、日本は本当に独立国家なのか?と疑問に思う。

日本政府のていたらくに、海外の軍隊が自国に60年以上も駐留しているというのは、自国のアイデンティティにも関わる問題なんだなあと、実感させられる。現在のイラク国民の忸怩たる思いも、想像できるというもの。

国防についての見解は、日本の世論は、大きく3つに分かれているのだろうか?

厭戦派はいかなる戦争も反対。自衛隊も反対。ましてや自衛隊の海外派兵など言語道断。

一方、自衛派は国防は自らの手で行うべし。そのためには憲法改正で9条を撤廃し、自衛隊の強化をはかるべし。

そして大多数を占めるのが、現状維持派。はっきり言って彼らは何も考えていない。面倒なことは全てお上にお任せしますの、他人任せな享楽主義。

興味深いことに、厭戦派も自衛派も米軍の日本からの撤退では、意見が一致している。

しかし傍目にも“事なかれ主義”な日本政府は、米国との協調路線、日米安保条約体制維持の姿勢を変えようとはしない。

幼い頃は厭戦一辺倒だった私も、さすがに今は、これまで自分なりにいろいろな文献資料を読んだこともあって、米軍基地の存在悪を認めざるを得なくなった。

米軍の深謀遠慮は別のところにあるとしても、米軍基地の存在が、戦後60年に渡って日本の国土防衛に係る負担を軽減し、結果的に日本が経済発展に注力する手助けとなった事実は否めないのではないか。

少なくともアジア各地でその後も続いた紛争、戦乱が日本では起きずに、戦後復興に邁進できたのは、米軍の駐留によって国内の戦意がコントロールされ、また米軍の存在が他国からの干渉の防波堤になったからではないか?米軍の駐留は確かに屈辱的だったが、再び国土が戦禍にさらされなかったことを思えば、必要悪でもあったのだと、私は納得している。

ただ日米安保条約体制や米国との関係については、いい加減に考え直すべき時が来ているのではないか、と思う。日本政府はもう少し独立国家としてのプライドを、米国に対して見せるべきではないのか?

現実問題として、基地のある地域では、米軍や米軍属が起こす事件事故が後を絶たず、基地の存在自体が問題視されている。特に地域の人々が不満を募らせているのは、日米地位協定に基づく前近代的な治外法権だ。日本のそれは、同じ地位協定下にあるドイツやイタリアと異なり、より差別的とも聞く。

明らかに犯人は分かっているのに、
犯人逮捕にも、いちいち米軍のお伺いを立てなければならない現状。

ここは何処だ?誰の国なのだ?と
一瞬錯覚してしまうほど、日本の、日本人の立場は弱いものとして、地位協定では位置づけられている。これは不平等条約以外の何物でもない。

国家として米軍駐留を今後も認め続ける意向ならば、まずこの日米地位協定を見直すこと、さらには、日本の米軍基地の75%が沖縄に集中する、国内における不平等状態も解消するべきだ。一部の犠牲の上に成り立つ繁栄は、道義的に許されるべきものではない。

ところで今、いわゆる”ライブドアショック“が日本経済を震撼させている。あれほど堀江社長を持ち上げたマスコミが、一転して彼を、彼のやり方を批判し始めた。

私は常々、ある事象に関して大勢(たいせい)が明らかになった時、その大勢の是非を疑うことにしている。大多数の意見や判断が必ずしも常に正しいとは限らないし、「絶対」と言い切れるものは、この世に存在しないと思うからだ。

しかも渦中にいる時には事態も流動的で、その是非を問うことは難しく、時の審判を待つしかないのではないかと思っている。

(了)

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