元々映画の感想を記す為に始めたブログなのに、ここ数年は殆ど映画の感想は書いていない。しかも怠けて書かずにいると書き方の要領を忘れてしまい、益々書くのが億劫になるものだ。
時々、自分はなぜ映画の感想を、しかもそれ相当の時間をかけて(←映画の情報を集めたり、画像を加工したり、文章の構成を考えたり、何度も推敲を重ねたり…)書いているのだろうと思う。何より書くことで映画を見た時の感動が蘇り、その感動がより深く胸に刻まれるからだと思うが、少なくとも以前は何の迷いもなく、思うがままに感想を書いていた。以前書いた感想を読むと、記事によっては手前味噌になるが、なかなか巧く書けているものもある。ああいう風に、再び書けることがあるのだろうかと、今は正直言って自信がない(以前より感性が鈍ってしまったのか、加齢で頭の回転が悪くなってしまったのか、自分の考えや思いを的確に表現する言葉が出て来ない…)。
今年のこれまでの鑑賞記録を振り返るには中途半端な時期ではあるが、何となく思いついたので、とりあえず、現時点までに見た作品をリストアップしてみようと思う。その過程で、特に印象が蘇った作品については、おいおい感想を認めて行くとしよう。因みに10月28日時点で、映画館で見た新作映画は98本を数える。
基本的に私は「夫婦50割引」(夫婦の何れかが50歳の場合、割引料金が適用される)か、毎週水曜日の「レディースデイ」か、毎月1日の「映画の日」、或いは各映画館が独自に設定している割引の日にしか映画を見ないので、1本あたり1,100円(この価格も消費税値上げ以降のもので、以前は1,000円だった)で、しかも、イマドキのシネコンは6本ないし5本見たら1本無料で見られるサービスもあるので、年間100本見たとしても10万円は使わない。ブランドバッグをひとつ、ふたつ買うのとそんなに変わらない(ブランドによってはひとつも買えない)。もちろん、私はブランド品に興味はないし、私が普段お金を使うのは映画以外に本や展覧会(←これも招待券を貰うことが多いし、買うとしても金券ショップで前売り券や安くなったものを買う)くらいなので、同世代の女性の中で突出して贅沢しているとも思わない。
私が映画を身近な娯楽として感じているのは、自宅からバスや自転車で10~15分程度のところにシネコンが3つもあり、メジャーな作品だけでなく、単館系の作品も気軽に見られる環境が整っていることが理由としてあげられるだろう。以前は渋谷まで行かなければ見られなかったアート系の作品も、自宅近くで見られるのだ。映画を見終わった後に買い物に行っても、費やす時間はせいぜい3時間である。すっかり私の生活の一部になっている。私は「新作を映画館で見る」には最高の環境にいると思う。尤も、どうしても見たい作品があれば、未だに日比谷や銀座まで出向いてはいる。
映画の素晴らしいところは、タイトルを見ただけで、印象的なシーンがすぐさま頭に浮かぶところだろうか。瞬時に作品の世界へと誘われる。私がテレビ画面に映し出されたワンシーンを見ただけで、それがどんなに古い映画でも見たことのある作品なら、即座にタイトルと主演俳優を言い当てるのを、夫は「役に立たない(収入に結びつかない)特殊能力」と言って、いつも残念がっている(笑)。尤も、この程度の能力の持ち主は、巷に幾らでもいると思う。
今年は、私にとって「映画の当たり年」である。(昨年があまりにも不作だったのかもしれないが)素晴らしい作品に例年になく出会えた。
相変わらず韓国映画にはハズレがない。今年だけでも韓国人が製作に関わった作品(韓国発とは限らないが、韓国人監督や俳優が絡んでいる作品も含む)は「危険な関係」「ゲノムハザード~ある天才科学者の5日間」「7番房の奇跡」「新しき世界」「スノーピアサー」「怪しい彼女」「ルーシー」「レッド・ファミリー」「ザ・テノール 真実の物語」の9本は見ている。日本には選りすぐりの作品が来ているとは言え、その水準の高さには目を見張るものがある。何より演出力の高さとプロットの巧みさは群を抜いていると思う。俳優も独特の存在感がある。それが近年の国際映画祭における韓国映画の評価の高まりに繋がっているのだと思う(因みに所謂"韓流TVドラマ"は見たことがない)。《写真は「ザ・テノール~真実の物語」》
私は、日韓で取り交わした条約で既に解決済みであるにも関わらず、未だに過去の問題に囚われて日本に執拗に謝罪と賠償を迫る韓国と言う国の在り方は嫌いだ。しかし、国内市場が小さいが故に、活路を求めて、あらゆるジャンルで海外市場へ果敢に挑戦を続ける韓国人の強かさ~積極的な攻めの姿勢~には一目を置いている。それが映画の世界でも功を奏しているのは確かだ。
昨日たまたま見た民放のニュース番組でも、先ごろ開催された釜山国際映画祭が1996年から始まった後発の映画祭であるにも関わらず、昨年の東京国際映画祭(1985年より開催)の観客動員数12万人の倍近い23万人を集めたとの報道があった。番組では、短期間にこの映画祭がアジア№1の映画祭へと飛躍した理由として、「これから市場・作品共に成長が期待される"アジア映画"に特化したこと」「ショート・フィルム製作のワークショップを開催する等、今後のアジア映画を担う若手の育成に力を入れていること」「世界に向けてアジア映画を売り込むべく、アジアの製作会社と世界中のバイヤーとの出会いの場アジア・フィルム・マーケットを設け、先発の香港フィルム・マーケットと並んで、積極的にアジア映画の見本市としての役割を果たしていること」を挙げていた。
逆に日本の映画界は、世界2位の市場を持つがゆえに、海外市場への進出を意識した映画作りに韓国から大分遅れを取り、日本市場先細りへの危機感が足りなかったと、ある映画関係者が今更ながらの反省の弁である。釜山国際映画祭を躍進させた上述の3つの発想が、なぜ日本から生まれなかったのか?それは日本映画界が恵まれた国内市場に胡坐をかいて、努力と革新を怠ったからだろう。私が特に気になるのは人材育成の体制だ。映画人を養成する専門の大学が設置されたのも(←専門学校からの改組)、東京芸大等、国立大学で映像製作の指導に力を入れ始めたのも、日本ではつい最近のことである。製作現場では、未だに徒弟制度もどきの低賃金で、若手が下積み生活を送っているのではないのだろうか?
また、世界を意識すると言う意味では、日本の俳優陣に、海外の俳優ほどの内面的な豊かさが感じられないのが本当に残念だ。ハリウッドで活躍する俳優にしても、韓国人俳優にしても、トップ俳優ともなれば、インタビューでの発言には豊かな教養に裏打ちされた知性が感じられる。誰もが一家言を持っている。ハリウッドの俳優に至ってはハーバード、イェール、スタンフォード、コロンビアなど、超一流の大学で学んだ人間がゴロゴロいる。そうした学歴の裏づけがなくとも、ディカプリオやアンジェリーナ・ジョリーのように、環境問題や人権問題に深い関心を寄せ、国連の活動に積極的に関わっている俳優もいる。そうした演技力以外の素養が、演じる役柄に深みや奥行きを与えているのだと思う。俳優業に限らず、所謂「芸術表現」の分野では、表現者の内面から滲み出る豊かさが演技力と相俟って、鑑賞者の心を打つのではないだろうか?
それが日本ではどうだ?映画のプロモーションでも、まるで台本に書かれた台詞を覚えたように通り一遍のことしか言えず、自分の言葉で語れない。容姿が美しく台詞覚えが良ければ俳優になれるのが、日本の映画界なのだろうか?俳優は大手プロダクションに所属さえしていれば、実力が伴わなくても主役の座を得られる上に、固定ファンが俳優を甘やかす。公正なオーディションによって、実力を持った無名俳優が発掘されることは稀である。国内のぬるま湯に浸かって満足しているようでは、常に厳しい競争に晒されながら切磋琢磨する海外の俳優陣には、到底太刀打ちできないだろう。それどころか、端から演技者としての高みを目指そうなんて志など持ち合わせていないのかもしれない。
最近、ハリウッドの映画でもドラマでも、韓国人俳優の活躍が目覚しい。それに対して、日本人俳優の内向き志向もさることながら、現時点で、私が思う海外に出ても恥ずかしくないレベルの演技力と内面性の両方を備えた日本人俳優は、公の場での言動を見聞きする限り、渡辺謙か香川照之くらいなものである(頭の中に真田広之の名もちらつくのだが、いかんせん彼の発言を耳にする機会が殆どないので、何とも評価のしようがない。渡辺謙は大病を患ったり、「ラストサムライ」での成功を契機とした彼を取り巻く環境の変化が、内面の充実に繋がったのだろうか?)。次いで、自分の言葉を持っていると言う点では、桃井かおりだろうか。他に、若干20歳ながら俳優としての実力も矜持も十分にあり、日本の若手では珍しく自身の将来的ヴィジョンを明確に語れる二階堂ふみに、私は大いに期待している。また、中堅俳優で、聡明さを持ち合わせている俳優と言えば、海外作品にも積極的に参加している伊勢谷友介も忘れてはならないだろう。彼の活躍のフィールドは俳優業に留まらず、社会貢献にも熱心で、ポリシーを明確に持っている人だ。
もちろん、「自分は俳優(業)しかできない"役者馬鹿"(←日本は他にもアスリートの"筋肉馬鹿"等、一芸に秀でていればそれで良しとする風潮があるが、米国ではオリンピックチャンピオンが医師を目指す等、人間としての幅の広さを重視しているように見える。彼我の違いはどこから来るのか?ゴルフ等一部のスポーツを除き、アスリートとして活躍できる期間は若年期に限られており、その後の長い人生をどう生きるのかについて、選手に早い段階で考えさせるような指導がなされているのだろうか?)」と自認する俳優の中に、俳優としては優れた資質、力を持った人もいるのは認める。たとえ英語をしゃべれなくとも、プロモーションで上手くスピーチできなくとも、その希有な演技力で海外映画に誘われる人もいるだろう。しかし、コンスタントに活躍できるかと言うと、それは難しいのが現実だ。海外で活躍する方が、国内で活躍するより格上と言うわけでもないのだろうが、国内市場が先細りするのが避けられない以上、俳優も今後は海外進出を意識せざるを得なくなるのではないか?(←ことスピーチ下手に関しては、これまでの日本の学校教育にも問題があったのかもしれない。今後は海外の俳優に気後れせずにスピーチができるよう、日本の俳優も日々努めて教養を蓄え、演技を離れたところでも自身の表現力を磨く必要が出てくるだろう。)
さらに、今年注目の国はインドである。以前からインド映画も年に1~2本は見て来たが、「きっと、うまくいく」以来、本格的に注目し始めて、今年は「マダム・イン・NY」「巡りあわせのお弁当」「パフィ! 人生に唄えば」の3本を見ている。いずれも見ごたえのある作品であった。インド映画が、かつてのような賑やかに踊って唄って最後は大団円(←これはこれで個性があって好きなんだが…)から、より洗練された、最後にしみじみとした余韻を残す、物語の面白さが際立つ作品等、幅の広がりを見せて来ているのが興味深い。海外作品にも触れた若手が、インド映画界に新風を吹き込んでいるのかもしれない。今後も目が話せないインド映画である。
赤字の作品は、作品の完成度、プロットの巧みさ、キャストの名演でオススメ作品。特に太字は個人的に感銘を受けた作品である。青字作品は気楽に楽しめる内容、或いはキャストの魅力で、見て損はない作品。黒字作品はDVDでも十分だったかな、と思う作品。
(敬称略)
1月(13本)※内10本は「TOHOシネマズ1カ月間無料パスポート」で鑑賞
①キャプテン・フィリップス
②麦子さんと
③大脱出
④ジャッジ
⑤エンダーのゲーム
⑥バイロケーション 表
⑦危険な関係
⑧トリック劇場版ラストステージ
⑨ルパン三世VSコナン
⑩黒執事
⑪ゲノムハザード ある天才科学者の5日間
⑫ソウルガールズ
⑬7番房の奇跡
2月(9本)
⑭アメリカン・ハッスル
⑮新しき世界
⑯マイティソー・ダークワールド
⑰エージェント・ライアン
⑱スノーピアサー
⑲メイジーの瞳
⑳ちいさいおうち
㉑ニシノユキヒコの恋と冒険
㉒ウルフ・オブ・ウォールストリート
3月(11本)
㉓キックアス2 ジャスティス・フォーエバー
㉔ネブラスカ
㉕大統領の執事の涙
㉖それでも夜は明ける
㉗アナと雪の女王
㉘あなたを抱きしめる日まで
㉙猫侍
㉚ワンチャンス
㉛ライフ
㉜銀の匙
㉝白ゆき姫殺人事件
4月(5本)※一週間、旅行で不在
㉞ローン・サバイバー
㉟ウォルト・ディズニーの約束
㊱ダラス・バイヤーズ・クラブ
㊲サンブンノイチ
㊳そこのみにて光輝く
5月(11本)
㊴プリズナーズ
㊵ワールズ・エンド
㊶キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー
㊷とらわれて夏
㊸Wood job!神去なあなあ日常
㊹ブルー・ジャスミン
㊺FOOL COOL ROCK
㊻チョコレート・ドーナツ
㊼8月の家族たち
㊽マドモワゼルC ファッションのミューズ
㊾ディス/コネクト
6月(12本)
㊿インサイド・ルーウィン・ディヴィス
(51)ぼくたちの家族
(52)トカレフ
(53)Xーmen Future and Past
(54)ノア
(55)私の男(←二階堂ふみちゃん主演)
(56)マンデラ
(57)グランド・ブダペスト・ホテル
(58)ラスト・ミッション
(59)こっこ、ひと夏のイマジン
(60)サード・パーソン
(61)her 世界でひとつの彼女
7月(11本)
(62)人生はマラソンだ
(63)万能鑑定士Q
(64)All you need is kill
(65)超高速参勤交代
(66)ジゴロ・イン・NY
(67)マレフィセント
(68)複製された男
(69)マダム・イン・NY
(70)怪しい彼女
(71)ゴジラ
(72)思い出のマーニー
8月(6本)
(73)るろうに剣心 京都大火編
(74)バトル・フロント
(75)トランスフォーマー・ロストエイジ 3D
(76)巡り逢わせのお弁当
(77)プロミスト・ランド
(78)パルフィ! 人生に唄えば
9月(11本)※10日間は旅行で不在
(79)イブ・サンローラン
(80)フライト・ゲーム
(81)るろうに剣心 伝説の最期編
(82)イン・ザ・ヒーロー
(83)実写版 ルパン三世
(84)猿の惑星 新世紀ライジング
(85)ルーシー
(86)イントゥ・ザ・ストーム
(87)柘榴坂の仇討ち
(88)アバウト・ア・タイム
(89)ジャージー・ボーイズ
10月(10本)
(90)バツイチは恋のはじまり
(91)悪童日記
(92)レッド・ファミリー
(93)ザ・テノール 真実の物語
(94)小川町セレナーデ
(95)誰よりも狙われた男
(96)まほろ駅前狂騒曲
(97)イコライザー
(98)STAND BY ME ドラえもん
(99)If I stay
11月(12本)
(100)小野寺の弟、小野寺の姉
(101)マダム・マロリーと魔法のスパイス
(102)祝宴シェフ
(103)福福荘の福ちゃん
(104)ザ・ゲスト
(105)花宵道中
(106)エクスペンダブルズ3
(107)6才のボクが、大人になるまで
(108)ショート・ターム
(109)トワイライト ささらさや
(110)インターステラー
(111)西遊記~はじまりのはじまり
12月(6本←まだ途中)
(112)チェイス
(113)天才スピヴェット
(114)ゴーン・ガール
(115)ビリー・エリオット ミュージカルライブ~リトル・ダンサー
(116)ホビット 決戦のゆくえ
(117)あと1センチの恋
(118)ベイマックス
時々、自分はなぜ映画の感想を、しかもそれ相当の時間をかけて(←映画の情報を集めたり、画像を加工したり、文章の構成を考えたり、何度も推敲を重ねたり…)書いているのだろうと思う。何より書くことで映画を見た時の感動が蘇り、その感動がより深く胸に刻まれるからだと思うが、少なくとも以前は何の迷いもなく、思うがままに感想を書いていた。以前書いた感想を読むと、記事によっては手前味噌になるが、なかなか巧く書けているものもある。ああいう風に、再び書けることがあるのだろうかと、今は正直言って自信がない(以前より感性が鈍ってしまったのか、加齢で頭の回転が悪くなってしまったのか、自分の考えや思いを的確に表現する言葉が出て来ない…)。
今年のこれまでの鑑賞記録を振り返るには中途半端な時期ではあるが、何となく思いついたので、とりあえず、現時点までに見た作品をリストアップしてみようと思う。その過程で、特に印象が蘇った作品については、おいおい感想を認めて行くとしよう。因みに10月28日時点で、映画館で見た新作映画は98本を数える。
基本的に私は「夫婦50割引」(夫婦の何れかが50歳の場合、割引料金が適用される)か、毎週水曜日の「レディースデイ」か、毎月1日の「映画の日」、或いは各映画館が独自に設定している割引の日にしか映画を見ないので、1本あたり1,100円(この価格も消費税値上げ以降のもので、以前は1,000円だった)で、しかも、イマドキのシネコンは6本ないし5本見たら1本無料で見られるサービスもあるので、年間100本見たとしても10万円は使わない。ブランドバッグをひとつ、ふたつ買うのとそんなに変わらない(ブランドによってはひとつも買えない)。もちろん、私はブランド品に興味はないし、私が普段お金を使うのは映画以外に本や展覧会(←これも招待券を貰うことが多いし、買うとしても金券ショップで前売り券や安くなったものを買う)くらいなので、同世代の女性の中で突出して贅沢しているとも思わない。
私が映画を身近な娯楽として感じているのは、自宅からバスや自転車で10~15分程度のところにシネコンが3つもあり、メジャーな作品だけでなく、単館系の作品も気軽に見られる環境が整っていることが理由としてあげられるだろう。以前は渋谷まで行かなければ見られなかったアート系の作品も、自宅近くで見られるのだ。映画を見終わった後に買い物に行っても、費やす時間はせいぜい3時間である。すっかり私の生活の一部になっている。私は「新作を映画館で見る」には最高の環境にいると思う。尤も、どうしても見たい作品があれば、未だに日比谷や銀座まで出向いてはいる。
映画の素晴らしいところは、タイトルを見ただけで、印象的なシーンがすぐさま頭に浮かぶところだろうか。瞬時に作品の世界へと誘われる。私がテレビ画面に映し出されたワンシーンを見ただけで、それがどんなに古い映画でも見たことのある作品なら、即座にタイトルと主演俳優を言い当てるのを、夫は「役に立たない(収入に結びつかない)特殊能力」と言って、いつも残念がっている(笑)。尤も、この程度の能力の持ち主は、巷に幾らでもいると思う。
今年は、私にとって「映画の当たり年」である。(昨年があまりにも不作だったのかもしれないが)素晴らしい作品に例年になく出会えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/22/97755b9a1a970967dc581e091f87e49d.jpg)
私は、日韓で取り交わした条約で既に解決済みであるにも関わらず、未だに過去の問題に囚われて日本に執拗に謝罪と賠償を迫る韓国と言う国の在り方は嫌いだ。しかし、国内市場が小さいが故に、活路を求めて、あらゆるジャンルで海外市場へ果敢に挑戦を続ける韓国人の強かさ~積極的な攻めの姿勢~には一目を置いている。それが映画の世界でも功を奏しているのは確かだ。
昨日たまたま見た民放のニュース番組でも、先ごろ開催された釜山国際映画祭が1996年から始まった後発の映画祭であるにも関わらず、昨年の東京国際映画祭(1985年より開催)の観客動員数12万人の倍近い23万人を集めたとの報道があった。番組では、短期間にこの映画祭がアジア№1の映画祭へと飛躍した理由として、「これから市場・作品共に成長が期待される"アジア映画"に特化したこと」「ショート・フィルム製作のワークショップを開催する等、今後のアジア映画を担う若手の育成に力を入れていること」「世界に向けてアジア映画を売り込むべく、アジアの製作会社と世界中のバイヤーとの出会いの場アジア・フィルム・マーケットを設け、先発の香港フィルム・マーケットと並んで、積極的にアジア映画の見本市としての役割を果たしていること」を挙げていた。
逆に日本の映画界は、世界2位の市場を持つがゆえに、海外市場への進出を意識した映画作りに韓国から大分遅れを取り、日本市場先細りへの危機感が足りなかったと、ある映画関係者が今更ながらの反省の弁である。釜山国際映画祭を躍進させた上述の3つの発想が、なぜ日本から生まれなかったのか?それは日本映画界が恵まれた国内市場に胡坐をかいて、努力と革新を怠ったからだろう。私が特に気になるのは人材育成の体制だ。映画人を養成する専門の大学が設置されたのも(←専門学校からの改組)、東京芸大等、国立大学で映像製作の指導に力を入れ始めたのも、日本ではつい最近のことである。製作現場では、未だに徒弟制度もどきの低賃金で、若手が下積み生活を送っているのではないのだろうか?
また、世界を意識すると言う意味では、日本の俳優陣に、海外の俳優ほどの内面的な豊かさが感じられないのが本当に残念だ。ハリウッドで活躍する俳優にしても、韓国人俳優にしても、トップ俳優ともなれば、インタビューでの発言には豊かな教養に裏打ちされた知性が感じられる。誰もが一家言を持っている。ハリウッドの俳優に至ってはハーバード、イェール、スタンフォード、コロンビアなど、超一流の大学で学んだ人間がゴロゴロいる。そうした学歴の裏づけがなくとも、ディカプリオやアンジェリーナ・ジョリーのように、環境問題や人権問題に深い関心を寄せ、国連の活動に積極的に関わっている俳優もいる。そうした演技力以外の素養が、演じる役柄に深みや奥行きを与えているのだと思う。俳優業に限らず、所謂「芸術表現」の分野では、表現者の内面から滲み出る豊かさが演技力と相俟って、鑑賞者の心を打つのではないだろうか?
それが日本ではどうだ?映画のプロモーションでも、まるで台本に書かれた台詞を覚えたように通り一遍のことしか言えず、自分の言葉で語れない。容姿が美しく台詞覚えが良ければ俳優になれるのが、日本の映画界なのだろうか?俳優は大手プロダクションに所属さえしていれば、実力が伴わなくても主役の座を得られる上に、固定ファンが俳優を甘やかす。公正なオーディションによって、実力を持った無名俳優が発掘されることは稀である。国内のぬるま湯に浸かって満足しているようでは、常に厳しい競争に晒されながら切磋琢磨する海外の俳優陣には、到底太刀打ちできないだろう。それどころか、端から演技者としての高みを目指そうなんて志など持ち合わせていないのかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/76/c61c97287d77284dcd1447a3e390a4fe.jpg)
もちろん、「自分は俳優(業)しかできない"役者馬鹿"(←日本は他にもアスリートの"筋肉馬鹿"等、一芸に秀でていればそれで良しとする風潮があるが、米国ではオリンピックチャンピオンが医師を目指す等、人間としての幅の広さを重視しているように見える。彼我の違いはどこから来るのか?ゴルフ等一部のスポーツを除き、アスリートとして活躍できる期間は若年期に限られており、その後の長い人生をどう生きるのかについて、選手に早い段階で考えさせるような指導がなされているのだろうか?)」と自認する俳優の中に、俳優としては優れた資質、力を持った人もいるのは認める。たとえ英語をしゃべれなくとも、プロモーションで上手くスピーチできなくとも、その希有な演技力で海外映画に誘われる人もいるだろう。しかし、コンスタントに活躍できるかと言うと、それは難しいのが現実だ。海外で活躍する方が、国内で活躍するより格上と言うわけでもないのだろうが、国内市場が先細りするのが避けられない以上、俳優も今後は海外進出を意識せざるを得なくなるのではないか?(←ことスピーチ下手に関しては、これまでの日本の学校教育にも問題があったのかもしれない。今後は海外の俳優に気後れせずにスピーチができるよう、日本の俳優も日々努めて教養を蓄え、演技を離れたところでも自身の表現力を磨く必要が出てくるだろう。)
さらに、今年注目の国はインドである。以前からインド映画も年に1~2本は見て来たが、「きっと、うまくいく」以来、本格的に注目し始めて、今年は「マダム・イン・NY」「巡りあわせのお弁当」「パフィ! 人生に唄えば」の3本を見ている。いずれも見ごたえのある作品であった。インド映画が、かつてのような賑やかに踊って唄って最後は大団円(←これはこれで個性があって好きなんだが…)から、より洗練された、最後にしみじみとした余韻を残す、物語の面白さが際立つ作品等、幅の広がりを見せて来ているのが興味深い。海外作品にも触れた若手が、インド映画界に新風を吹き込んでいるのかもしれない。今後も目が話せないインド映画である。
赤字の作品は、作品の完成度、プロットの巧みさ、キャストの名演でオススメ作品。特に太字は個人的に感銘を受けた作品である。青字作品は気楽に楽しめる内容、或いはキャストの魅力で、見て損はない作品。黒字作品はDVDでも十分だったかな、と思う作品。
(敬称略)
1月(13本)※内10本は「TOHOシネマズ1カ月間無料パスポート」で鑑賞
①キャプテン・フィリップス
②麦子さんと
③大脱出
④ジャッジ
⑤エンダーのゲーム
⑥バイロケーション 表
⑦危険な関係
⑧トリック劇場版ラストステージ
⑨ルパン三世VSコナン
⑩黒執事
⑪ゲノムハザード ある天才科学者の5日間
⑫ソウルガールズ
⑬7番房の奇跡
2月(9本)
⑭アメリカン・ハッスル
⑮新しき世界
⑯マイティソー・ダークワールド
⑰エージェント・ライアン
⑱スノーピアサー
⑲メイジーの瞳
⑳ちいさいおうち
㉑ニシノユキヒコの恋と冒険
㉒ウルフ・オブ・ウォールストリート
3月(11本)
㉓キックアス2 ジャスティス・フォーエバー
㉔ネブラスカ
㉕大統領の執事の涙
㉖それでも夜は明ける
㉗アナと雪の女王
㉘あなたを抱きしめる日まで
㉙猫侍
㉚ワンチャンス
㉛ライフ
㉜銀の匙
㉝白ゆき姫殺人事件
4月(5本)※一週間、旅行で不在
㉞ローン・サバイバー
㉟ウォルト・ディズニーの約束
㊱ダラス・バイヤーズ・クラブ
㊲サンブンノイチ
㊳そこのみにて光輝く
5月(11本)
㊴プリズナーズ
㊵ワールズ・エンド
㊶キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー
㊷とらわれて夏
㊸Wood job!神去なあなあ日常
㊹ブルー・ジャスミン
㊺FOOL COOL ROCK
㊻チョコレート・ドーナツ
㊼8月の家族たち
㊽マドモワゼルC ファッションのミューズ
㊾ディス/コネクト
6月(12本)
㊿インサイド・ルーウィン・ディヴィス
(51)ぼくたちの家族
(52)トカレフ
(53)Xーmen Future and Past
(54)ノア
(55)私の男(←二階堂ふみちゃん主演)
(56)マンデラ
(57)グランド・ブダペスト・ホテル
(58)ラスト・ミッション
(59)こっこ、ひと夏のイマジン
(60)サード・パーソン
(61)her 世界でひとつの彼女
7月(11本)
(62)人生はマラソンだ
(63)万能鑑定士Q
(64)All you need is kill
(65)超高速参勤交代
(66)ジゴロ・イン・NY
(67)マレフィセント
(68)複製された男
(69)マダム・イン・NY
(70)怪しい彼女
(71)ゴジラ
(72)思い出のマーニー
8月(6本)
(73)るろうに剣心 京都大火編
(74)バトル・フロント
(75)トランスフォーマー・ロストエイジ 3D
(76)巡り逢わせのお弁当
(77)プロミスト・ランド
(78)パルフィ! 人生に唄えば
9月(11本)※10日間は旅行で不在
(79)イブ・サンローラン
(80)フライト・ゲーム
(81)るろうに剣心 伝説の最期編
(82)イン・ザ・ヒーロー
(83)実写版 ルパン三世
(84)猿の惑星 新世紀ライジング
(85)ルーシー
(86)イントゥ・ザ・ストーム
(87)柘榴坂の仇討ち
(88)アバウト・ア・タイム
(89)ジャージー・ボーイズ
10月(10本)
(90)バツイチは恋のはじまり
(91)悪童日記
(92)レッド・ファミリー
(93)ザ・テノール 真実の物語
(94)小川町セレナーデ
(95)誰よりも狙われた男
(96)まほろ駅前狂騒曲
(97)イコライザー
(98)STAND BY ME ドラえもん
(99)If I stay
11月(12本)
(100)小野寺の弟、小野寺の姉
(101)マダム・マロリーと魔法のスパイス
(102)祝宴シェフ
(103)福福荘の福ちゃん
(104)ザ・ゲスト
(105)花宵道中
(106)エクスペンダブルズ3
(107)6才のボクが、大人になるまで
(108)ショート・ターム
(109)トワイライト ささらさや
(110)インターステラー
(111)西遊記~はじまりのはじまり
12月(6本←まだ途中)
(112)チェイス
(113)天才スピヴェット
(114)ゴーン・ガール
(115)ビリー・エリオット ミュージカルライブ~リトル・ダンサー
(116)ホビット 決戦のゆくえ
(117)あと1センチの恋
(118)ベイマックス