地下鉄の中で、スマートフォンとにらめっこするでもなく、居眠りをするでもなく、年配の女性二人がおしゃべりを続けていた。
話題はリオのパラリンピック。
「テレビや新聞を見ると日本選手が大活躍しているように思うでしょ。そうじゃないの。金メダルの数を基準にしたランキングだと、日本は国別で50何番目なの」
「あら、そうなんだ」
家に帰って9月15日の朝日新聞夕刊を見ると、1面トップのパラリンピックの記事に「メダル量産」と景気の良い見出しがついている。
インターネットの速報で国別のメダル数をみると、日本は15日夜までに、金ゼロ、銀7、銅9で、金メダルがないために国別順位で58番目に位置している。
選手は国威発揚のために競技に参加しているわけではないから、58番という順位はどうでもいいことだ。
4年後には東京が会場になるということで、メディアも力んでいるようで、パラリンピックとしてはこれまでにないメダル、メダルの報道量である。障害のある人のスポーツ振興のための声援のようなものであろう。
それにしても、お祭り騒ぎふうな報道と、参加国中58番目というランキングが示唆する日本の身障者スポーツの裾野の広がり具合が対照的である。
(2016.9.15 花崎泰雄)
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