あの日
お前の店へ
足を向けてしまった。
名古屋から名鉄で
東岡崎へ。
田舎者には
不安な旅程を、
かなり踏んばって
辿り着いたぞ。
三年も顔を見ていない息子に
無性に会いたい父親の気持ちは分かるか?
「何言ってるんや。
仕事にかこつけ
家や子供は母親任せ。
今更、父親面するな」
と罵られても仕方ないけど、
やっぱり息子を
気遣わずにはおれない父親だ。
間違いなく、
お前を愛してるから。
「お前の店の料理を
食いに寄ったんや」
「悪い。
満席で無理や」
あっさり追い出され、
トボトボと帰ったよ
そりゃ分かり切っていた。
十二月の居酒屋が
フル回転で稼ぎ時……!
分かっていた、
調理師だからな、とうさん。
働いていた飲食店の繁忙期は、
それはきつかったぞ。
(それでも……)
お前に甘えたかったんだ。
年を取り仕事も引退で、
情けないが
確かに
そうなるようだ。
追い出されて寂しかったなあ
家に帰ると、
お前のメールがかあさんに届いていた。
「とうさん追い出してしまったよ。
申し訳ないけど、
謝らない。
俺はとうさんの息子だ。
ちゃんと分かって貰えてるだろ」
目が潤んだ。
息子の気持ちが
痛いほど理解できる。
「父親面するな」といいながら、
息子は父親と同じ仕事を選んだ。
そして生真面目に頑張る姿は、
父親と全く同じだった。
気を使わず、
大切な客を優先しろ。
いつか落ち着けば
酒を一緒に飲もうや!
心の中で、
息子へ呼びかけていた。
お前の店へ
足を向けてしまった。
名古屋から名鉄で
東岡崎へ。
田舎者には
不安な旅程を、
かなり踏んばって
辿り着いたぞ。
三年も顔を見ていない息子に
無性に会いたい父親の気持ちは分かるか?
「何言ってるんや。
仕事にかこつけ
家や子供は母親任せ。
今更、父親面するな」
と罵られても仕方ないけど、
やっぱり息子を
気遣わずにはおれない父親だ。
間違いなく、
お前を愛してるから。
「お前の店の料理を
食いに寄ったんや」
「悪い。
満席で無理や」
あっさり追い出され、
トボトボと帰ったよ
そりゃ分かり切っていた。
十二月の居酒屋が
フル回転で稼ぎ時……!
分かっていた、
調理師だからな、とうさん。
働いていた飲食店の繁忙期は、
それはきつかったぞ。
(それでも……)
お前に甘えたかったんだ。
年を取り仕事も引退で、
情けないが
確かに
そうなるようだ。
追い出されて寂しかったなあ
家に帰ると、
お前のメールがかあさんに届いていた。
「とうさん追い出してしまったよ。
申し訳ないけど、
謝らない。
俺はとうさんの息子だ。
ちゃんと分かって貰えてるだろ」
目が潤んだ。
息子の気持ちが
痛いほど理解できる。
「父親面するな」といいながら、
息子は父親と同じ仕事を選んだ。
そして生真面目に頑張る姿は、
父親と全く同じだった。
気を使わず、
大切な客を優先しろ。
いつか落ち着けば
酒を一緒に飲もうや!
心の中で、
息子へ呼びかけていた。