今夜も蛙が賑やかだ。
ゲコゲコゲコ、
いやゲロゲロゲロかな。
モニター画面に
目を細めているときは
さほど気にならなかったのが、
一度耳に止めてしまうと駄目。
集中力は途切れて、
ぼんやりししてしまう。
そうだ
今日は歯医者に行ったんだ。
それに
ものすごく暑かったなあ……
とりとめなく思い出す。
不思議に
記憶は過去もリアルタイムも
差異はない。
あの日あの時が鮮明に浮かび上がる。
山下先生、そうだ鏡子先生だった。
覚えている小学校時代の先生で、
下の名前までシッカリ覚えているのは、
山下鏡子先生ただひとり。
どうしてだろう?
そうだ、
僕を初めて褒めてくれた
母以外の女の人だったんだ。
「へー、上手だね。写生好きなんだ」
突然かけられた言葉に
固まってしまった私。
そう可愛げに欠けた
影の薄い子供……。
画板に向かって
写生に夢中だった私を
背後から覗きんだ山下先生だった。
「木の緑、綺麗に塗れてる。上手だよ」
何ひとつ受けごたえ出来ないのに、
山下先生の笑顔はちゃんと盗み見ていた。
初めて褒められた嬉しさを、
表に出せる子供ではなかった。
しかし効果てきめんだった。
ほかの勉強はできなくても、
図画の時間は目の色が変わった。
山下先生は
目標を失いかけていた子供に、
夢中になれるものを与えてくれたのだった。
「おめでとう。みんなが上手だって認めてくれたんだよ」
写生大会で金賞に選ばれた私に、
わがことのように、
満面の笑みで、
賞状と副賞のクレヨンを手渡してくれた先生。
はにかみ、顔を真っ赤にして
モジモジしっぱなしの私だったのを
はっきりと思い出す。
級友の笑い声は、
あの棒のぼりの時のものと、
まるで違うのがわかった。
図書室で
本の世界に浸ることで救われるしかなかった子供が、
絵を描くという新しい目標を手にしたのだった。
私に新たな希望を与えてくれた山下先生を
今も懐かしくん思い出すのは当然だろう。
ひょいと現実に戻った。
蛙の声はつづいている。
深夜1時半。
階下の倉庫を覗いた。
明日からスタートする
「ふるさと川柳」の作品展らん会の
陳列の確認をした。
コロナを忘れるために
いっぽいっぽ前に進むことが大事だ。
できることをやってのける。
今の私はそれしかない
お年寄りなのである。(自覚!笑)
ゲコゲコゲコ、
いやゲロゲロゲロかな。
モニター画面に
目を細めているときは
さほど気にならなかったのが、
一度耳に止めてしまうと駄目。
集中力は途切れて、
ぼんやりししてしまう。
そうだ
今日は歯医者に行ったんだ。
それに
ものすごく暑かったなあ……
とりとめなく思い出す。
不思議に
記憶は過去もリアルタイムも
差異はない。
あの日あの時が鮮明に浮かび上がる。
山下先生、そうだ鏡子先生だった。
覚えている小学校時代の先生で、
下の名前までシッカリ覚えているのは、
山下鏡子先生ただひとり。
どうしてだろう?
そうだ、
僕を初めて褒めてくれた
母以外の女の人だったんだ。
「へー、上手だね。写生好きなんだ」
突然かけられた言葉に
固まってしまった私。
そう可愛げに欠けた
影の薄い子供……。
画板に向かって
写生に夢中だった私を
背後から覗きんだ山下先生だった。
「木の緑、綺麗に塗れてる。上手だよ」
何ひとつ受けごたえ出来ないのに、
山下先生の笑顔はちゃんと盗み見ていた。
初めて褒められた嬉しさを、
表に出せる子供ではなかった。
しかし効果てきめんだった。
ほかの勉強はできなくても、
図画の時間は目の色が変わった。
山下先生は
目標を失いかけていた子供に、
夢中になれるものを与えてくれたのだった。
「おめでとう。みんなが上手だって認めてくれたんだよ」
写生大会で金賞に選ばれた私に、
わがことのように、
満面の笑みで、
賞状と副賞のクレヨンを手渡してくれた先生。
はにかみ、顔を真っ赤にして
モジモジしっぱなしの私だったのを
はっきりと思い出す。
級友の笑い声は、
あの棒のぼりの時のものと、
まるで違うのがわかった。
図書室で
本の世界に浸ることで救われるしかなかった子供が、
絵を描くという新しい目標を手にしたのだった。
私に新たな希望を与えてくれた山下先生を
今も懐かしくん思い出すのは当然だろう。
ひょいと現実に戻った。
蛙の声はつづいている。
深夜1時半。
階下の倉庫を覗いた。
明日からスタートする
「ふるさと川柳」の作品展らん会の
陳列の確認をした。
コロナを忘れるために
いっぽいっぽ前に進むことが大事だ。
できることをやってのける。
今の私はそれしかない
お年寄りなのである。(自覚!笑)