子供のころ、冬の通学は凍えながら学校まで五十分近い道のりを歩いた。村の子供らが寄り合っての集団登校である。
集まる広場には毎朝焚火が待っていた。地区の保護者が順番に子供のため火を焚いた。
焚火を囲んで温もってから学校へ向かった。焚火にあたって顔は赤くなったままだった。
「ほれ、できたぞ」
お年寄りが焚火当番の時は、もうひとつ楽しみがあった。焚火の中から小石を取り出して、子供たちに配った。手袋に収まった小石はじっくり焼かれて熱くなっていた。手袋で掴まないと火傷をしかねないほど、よく焼かれていた。焚火をしながら子供の数だけ小石を掘り込んで、待ってくれていたのだ。
熱く焼けた小石を抱きかかえると、ウソみたいに暖かくなった。学校へ着くころには冷えてしまうが、ほっこりした手先は温かいままだった。今でいう懐炉を、地区のおじいさんたちは子供のために用意してくれたのだ。
今でも時々石を焼いて、懐炉代わりにする。
集まる広場には毎朝焚火が待っていた。地区の保護者が順番に子供のため火を焚いた。
焚火を囲んで温もってから学校へ向かった。焚火にあたって顔は赤くなったままだった。
「ほれ、できたぞ」
お年寄りが焚火当番の時は、もうひとつ楽しみがあった。焚火の中から小石を取り出して、子供たちに配った。手袋に収まった小石はじっくり焼かれて熱くなっていた。手袋で掴まないと火傷をしかねないほど、よく焼かれていた。焚火をしながら子供の数だけ小石を掘り込んで、待ってくれていたのだ。
熱く焼けた小石を抱きかかえると、ウソみたいに暖かくなった。学校へ着くころには冷えてしまうが、ほっこりした手先は温かいままだった。今でいう懐炉を、地区のおじいさんたちは子供のために用意してくれたのだ。
今でも時々石を焼いて、懐炉代わりにする。