サンフランシスコの風さんのメールの続きです。
難聴児、難聴者のセルフエスティームについての知見は、アメリカで聴覚障害者カウンセリングを学んだ当事者ならではのものだ。
今後とも、大いに情報や知見を提供して欲しい。
難聴者のエンパワメントは、自己を励ましあうセルフヘルプ・グループと個人・小グループを対象にしたカウンセリング、社会啓発を行うアウトリーチ活動を一体的に行う必要があると提言されている。
これは、日本の聴覚障害者情報提供施設にない視点で新鮮だ。
昨年訪れた、難聴者のためのニューヨークリーグがまさにそうした機能を有している。
ラビット 記
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クライアントのセルフエスティームを客観的にきちんと評価しようと、アメリカの精神保健界は頑張っていますが、わたしには必ずしも計れない、ふつふつと沸き起こる生きる意欲みたいな感じもあると思っています。そこまで行くと宗教とか精神性の問題になりますからちょっとずれますけどね。
難聴関係では、ブログにも紹介しましたが、やはりギャローデット大学カウンセリング部部長のAllen E.Sussman教授が元祖です(Characteristics of a Well-Adjusted Deaf Person)。
今はMichael Harvey先生なんかも聴覚障害者対象のメンタルヘルス読本を出したりしています。ちゃんとしたセルフエスティームの評価法までのせていたかどうかまではちょっと覚えていません。
聾・難聴の子どものセルフエスティームを高めるため「I'm Deaf andIt's Okay」という子供向けの本(Lorraine Aseltine著)があります。他にも類似書
はたくさんあるとおもいます。
日本(を含むアジア)では、F先生がおっしゃるように、文化・歴史的に個人主義が育たなかったので、そもそもセルフエスティームの「標準値」が存在せず、ましてやそのサブグループである難聴者の自己観を計ろうとするようなものはないのは当然かもしれません。
難聴者一人一人のエンパワメントはその難聴者の住む社会の全個人のエンパワメントと手に手をとり進めていかねばならないでしょう。それには一般社会への働きかけも重要です。
いずれにしても難聴者には互いを励ますセルフヘルプグループ、個人・小グループによるカウンセリング、それと一般社会を啓蒙するアウトリーチ活動を全部しているワン・ストップセンターのような場所が必要ですね。
F先生にもしかしたら役立つサイト名を下にあげました。グーグルするとでてきます。
1)Psychotherapy with Deaf Clients from Diverse Groups: Chapter One
2)Proceedings of the First World Conference on Mental Health and Deafness - Keynote
Address: Dr. Allen E. Sussman
(Part II の1と8がもっとも重要と思います)
3)Building a Strong Foundation: Our Children's Self-esteem by Janet DesGeroges
(www.handsandvoices.org/articles/early_intervention/foundation)
4) Culturally Affirmative Psychotherapy with Deaf Persons by Michael Harvey
5) Psychotherapy with Deaf and Hard-of-Hearing Persons: A Systemic Model by Michael Harvey
4)と5)は書籍です。
勉強不足で学術論文などには目を通していませんが、もしもっと突っ込んだ論文とかをお探しの向きはサンフランシスコ市立図書館に聴覚障害書籍部門があるのでそこへいって(会社から歩いて5分)司書の助けを借ります。
今日のところはこの辺で失礼します。