難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

被災地の要約筆記事業。

2011年09月12日 21時35分01秒 | 要約筆記事業
要約筆記者養成のための指導者養成事業が始まり、各地の協会も要約筆記奉仕員の要約筆記者への転換事業の要望を出している。
しかし、被災地の協会は全難聴の要約筆記事業の研修会への出席も難しく、事業の理解が遅れているのは否めない。どのように支援するか。

こちらから出向いて要約筆記事業の取り組みを支援しなければ。
しかし役員ですら要約筆記は理事会のPC要約筆記だけしか見たことがなく、今スクリーンに出ているのは公費派遣なのかボランティアなのかも分からない。
個人利用はしたことがないが今度してみたいという。

「要約筆記の利用」「要約筆記事業」「事業」「制度」「コミュニケーション支援」「コミュニケーション支援事業」「障害者自立支援法」とイロハから説明しないと分からない。

要約筆記者養成事業に関わるには相当な理解がないと無理なので役員や会員誰でもというわけにはいかない、派遣事業を充実させるのは難聴者協会しか出来ないと説明して、頭を切り替えるように話した。
協会が取り組むには、市町村の必須事業となっている法的根拠があり、役員、会員が日常生活の中で利用することから運動が始められるからだ。

無料で使える要約筆記者が欲しいとトップからファックスが。権利ではなく「カネ」の視点でみるトップをどうするか。

ラビット 記

改正障害者基本法とコミュニケーション支援事業

2011年08月28日 18時18分46秒 | 要約筆記事業
障害者基本法第22条に「障害者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣等が図られるような施策を講じなければならない」とあるが、幾つもの大きな意義がある。
1.障害者自立支援法や総合福祉法の福祉に関わる法律ではなく、障害者基本法に基本的原理として記述されたこと。
2.視聴覚障害者のみならず、あらゆる障害者に対して意思疎通を図ることの義務付け。
3.聴覚障害者に要約筆記者養成と派遣事業の充実の法的な根拠となること。
4.多様な意思仲介サービスが展開される法的基盤になること。

1は福祉分野だけでなくあらゆる分野において、合理的配慮の裏付けとなる人材養成と制度化を促すものになる。
2は視聴覚障害者以外に知的障害者や脳性マヒなどの障害を持つ人のコミュニケーションの権利が認められたことになる。いろいろな形、方式の「意思仲介」(通訳)が対象になるだろう。
3は総合福祉法の要約筆記者養成事業の予算化の根拠になる。
4は基本法の情報アクセスの条項であることから、リアルタイム字幕制作方式の電話リレーサービスや遠隔通訳サービスや文字サービスの法的基礎となる。

ラビット 記

要約筆記事業の法律上の位置づけは?

2011年08月11日 00時05分30秒 | 要約筆記事業
厚労省が3月30日に、要約筆記者養成カリキュラムを含む要約筆記者養成事業の通知をした。
障害者自立支援法が施行された際、地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業で要約筆記者が派遣されることになっていたが要約筆記者は何を指すのか空欄だった。これが約6年ぶりに規定された。

この要約筆記者は、文字によって話を伝えるコミュニケーション支援を行うが法律上の位置づけが要約筆記奉仕員と違うことの理解が必要だ。

一つは、
要約筆記者派遣事業は障害者自立支援法第77条に基づく市町村のコミュニケーション支援事業。
一方、要約筆記奉仕員派遣事業は法律上の位置づけはなく、厚労省の局長通知による社会参加促進事業として実施されていた。
自立支援法以降、要約筆記者が規定されていなかったので便宜上この要約筆記奉仕員が派遣されていたのだ。

要約筆記奉仕員は点訳奉仕員や朗読奉仕員と同じ社会参加促進事業で養成されていた。

もう一つは、
要約筆記事業は社会福祉法の社会福祉事業第2種に分類される。2000年に手話通訳事業が第二種事業に指定されたからだ。
「要約筆記者は社会福祉事業の担い手として養成される」と言われるのはこのためだ。
要約筆記奉仕員は社会福祉法上は社会福祉に関する活動に分類されるボランティア活動になる。事業ではなく「活動」。
実際には奉仕員の身分でありながら、通訳行為の責任を担わされてきたということだ。


ラビット 記

難聴者の関係性の障害について(3)

2011年07月05日 20時32分33秒 | 要約筆記事業
多くの難聴者が要約筆記者に親しみを感じるのはなぜか。話の内容を書いて伝えてくれるからか、筆談に応じてくれるからか、聞こえないことを差別しないからか。
それは、難聴者が家庭や地域、職場の中で失っていた人とのつながりを求めているからだろう。

要約筆記者に話しかけちゃうのは要約筆記者をサービスを権利として使うまで意識が高まっていないからということではさらさらなく、障害の受容や自立性とかは別のもので、自分の気持ちをくみ取ってくれそうな人、人とのつながりを持てそうな人を直感的に嗅ぎ取っているのかもしれない。

要約筆記がコミュニケーション支援事業として提供されるなら、難聴者の関係性の改善に要約筆記者は話し相手になるような直接関わらない。難聴者が話している相手とのコミュニケーションを成立させることで貢献する。

ろう者は地域社会に手話で話せる人を無数に増やす(公費で「養成」されている)ことで、地域との関係性を持ちやすくしている。行政では「社会参加促進」と言っているがろう者側から見れば手話で近所つき合い出来る人のことだ

難聴者は要約筆記者を増やすことになるのか。
手話の場合は手話で話せる人と手話通訳出来る人を分けて養成している。要約筆記で通訳できなくても筆談できる人を増やすことになるのか。
要約筆記者養成事業が始まるいまそのあり方を難聴者のエンパワメント、セルフアドボカシーの力の養成、関係性の強化と言った視点でも考えねばなるまい。

ラビット 記

コミュニケーション支援事業の地域間格差

2011年06月20日 08時26分52秒 | 要約筆記事業
昨夜19日、NHKの「ろうを生きる難聴を生きる」という番組に<地域間格差>とあった。
ゲストはろうあ連盟手話通訳対策部長の松本正志さん。
番組内で、「全日本ろうあ連盟」などが調査した結果が3月報告された。

☆市町村の実施率
手話通訳派遣90.2%
要約筆記派遣64.7%

市町村の実施率は自治体の規模が小さいと実施率が低く、人口が増える程要約筆記の派遣率は高くなっていた。
人口5万人⇒要約筆記派遣率50%強
人口30万人⇒要約筆記派遣率95%強

3月30日、要約筆記者養成カリキュラムを含む通知を厚生労働省が出している。
その元になった事業報告書がこれから出るのでぜひ取り上げてほしい。

ラビット 記

都議会で審議された要約筆記者派遣事業の実施の請願

2011年06月19日 02時49分01秒 | 要約筆記事業
6月15日、都議会厚生委員会で都難聴の提出した請願が不採択になった。
都側が議員の追求にも関わらず、都難聴の指摘した問題にことごとく問題はない、うまく言っていると説明したためだ。
しかし、聴覚に障害を持つ都民の負担、権利に地域格差を生じていること広域事業は厚生労働省も進めようとしていることに反する。

都はどうしても高々数百万円の予算を復活させたくないのだろう。オリンピック開催のために福祉を切り下げてため込んだ4000億円を9年後まで温存するつもりか。

ラビット 記
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要約筆記者派遣事業の実施に関する陳情
平成23年1月28日提出
東京都議会      
和田 宗春殿

〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-11-1003
電話 03-5919-2421
特定非営利活動法人
 東京都中途失聴・難聴者協会
 理事長 

【願意】
 都において下記のことを実施いただきたい。
1.都内の聴覚障害者団体が主催・共催する集まり、会議、行事に要約筆記者を派遣すること
2.要約筆記者の派遣事業を行っていない区市町村に代わり、要約筆記利用を希望する聴覚障害者に要約筆記者を派遣すること
3.要約筆記の派遣を受けられるものは、東京都の区域内に住所を有する
聴覚障害者団体および身体障害者手帳の交付を受けた聴覚障害者とすること


【理由】
1.私達中途失聴・難聴者のコミュニケーション手段は、補聴器による聞き取り、筆談、手話など非常に様々である。対面する人の話が聞き取れないのみならず、中途失聴・難聴者同士が集まって会話を交わし会議をするにも共通の意思疎通の方法がないため、コミュニケーションに非常な困難を抱えている。その中で、話される内容をスクリーンに投影する要約筆記は、書かれた日本語を読んで共通に理解することで私達中途失聴・難聴者の会話・会議を可能にし、私達の社会参加を大きく促進してきた。

私達中途失聴・難聴者が個人で要約筆記を利用する場合は、利用者本人のみを対象としたノートテークが適している。しかし、数人、数十人の中途失聴・難聴者が集まる場合には、要約筆記した内容をスクリーンに投影する方法が参加者の情報共有化のため非常に有効である。複数の区市町村からの参加者による集まり、会議での全体投影による要約筆記は、中途失聴・難聴者にとって必須の情報保障である。

2.このような要約筆記者派遣事業は、平成18年度までは区市町村の聴覚障害者のみならず、区市町村の聴覚障害者団体又東京都レベルの聴覚障害者団体をも対象として東京都が事業を実施してきた。しかし、平成19年4月よりの障害者自立支援法の地域生活支援事業実施に伴い、区市町村の聴覚障害者個人対象の要約筆記者派遣事業は都より区市町村に事業移管され、2年間の暫定措置のあと平成21年度より東京都の要約筆記者派遣事業は全面的に廃止された。

3.現在、要約筆記者派遣事業はすべて各区市町村の事業となり、複数の区市町村の聞こえに困っている人が集まり、会議などをする時の要約筆記は、「按分方式」によらざるを得ない。「按分方式」は集まりへの参加者の居住区市に費用を按分するために考案された方式で、参加者の社会参加の促進や利用しやすさは考慮されていない。「按分方式」の主要な問題点として下記の点を指摘する。
①主催者の呼びかけに応じて参加者自身が各自の居住区市に派遣申請をすることもあり、自由・自発的な参加の保障にはならない。
②按分方式の派遣条件は現在4人の申請と緩和されているが、逆に要約筆記を必要とする参加者が事前申請を行いそれら参加者に費用を按分する制度趣旨が不明確になっており、不特定多数の参加が見込まれる集まりにおいては費用負担の不公平感が強まっている。
③利用時間・回数に制限を設けている区市では、時間・回数は按分されないため、参加者に利用調整を強いている。
④依然として按分方式を実施していない地域があり、このような地域に住んでいる人は地域外の集まりに要約筆記を利用する方法がない。

4.上記のように、現在要約筆記者派遣事業は都より区市町村に事業移管なされているが依然として一部の区市町村では要約筆記者の派遣事業が実施されていない。このような地域の聞こえに困っている人は、要約筆記を利用できない状況に追い込まれている。

以上

地方の地域における要約筆記事業とは

2011年06月18日 10時53分27秒 | 要約筆記事業
行政が実施しなければならないと法制化されている要約筆記者派遣事業。
地域で行われる「要約筆記」活動。要約筆記や派遣事業の啓発、利用促進などは自治体事業のアウトリーチ活動として重要だ。
東日本大震災被災地での要約筆記事業の利用は少ない。
どこに課題があるのか?難聴者の意識か、地域社会の理解か、行政の認識か?

ラビット 記
=== ウェブ - 「[要約筆記事業]」に関する 1 件の新しい検索結果 ===

平成23年度『亀岡市支えあいまちづくり協働支援金』採択団体の決定 ...

(6)団体名 :
亀岡市要約筆記ボランティアサークル「こだま」.
事業名 : 「要約筆記で聞こえをサポート」.

http://www.city.kameoka.kyoto.jp/contents_detail.php?co=new&frmId=10896


都議会厚生委員会で要約筆記派遣復活の請願の審議。

2011年06月15日 18時49分27秒 | 要約筆記事業
昨夜、都議会議員から、協会が出していた都の要約筆記者派遣事業を実施することを求める請願を委員会で取り上げるので傍聴に来てほしいと連絡があった。
たまたま午前中と夕方と診察に行くことにしていたので昼間傍聴に行くことにした。

あさ手話通訳等派遣センターに要約筆記者の派遣の依頼をして、都議会受付で傍聴券を入手した。傍聴券は12時から配布のところ13時25分に行ったので先着20人までが19番目で危うくセーフ。

要約筆記者派遣事業は障害者自立支援法で区市町村事業に移行し、多くの区市から集まる場への都の要約筆記者派遣が中止されてしまっていた。
代わりに、参加した区市に派遣費用を人数分を負担させる按分方式で「派遣」事業になった。

しかし、これは事前に申し込まなければ使えず、集会に参加する意志が制限される、参加者に平等に負担が求められず申請者、区市に不公正さが増している。
さらに、利用回数・時間数に制限がある区市の難聴者はは参加を制限せざるを得ない。区市の難聴者は参加も出来ない。
これを改めて新規復活させることを求める請願を出したのだ。

傍聴しているときに、議事進行で異議が出され休憩になってしまった。

ラビット 記

要約筆記者養成講習会で講義 2011.5/27

2011年05月28日 10時04分56秒 | 要約筆記事業
朝からトラブル続きだった。
乗り換えたJRが何かを緊急関知したと言って停車してしまったり、駅から降りたらタクシーもない側で歩いて汗をかいたり、持っていったパワーポイントのファイルが開けなかったり、着いてすぐ講義を始めた。

難聴と中途失聴に対する理解が学習目標だったので、自己紹介をわざと長めにして、コミュニケーション方法を説明するところから始めて、自分を難聴者の一人として観察して欲しいことを説明した。

最初に難聴者、聞こえの不自由な人が身の回りにいるかどうか質問したところ、80歳前後のご両親が電話していても話していることが通じていないので難聴ぎみみたいという受講生がいたが、その後の身の回りに聞こえの不自由な人がいますかという問いに手を挙げなかった。
難聴者というと何か全く聞こえない人とか別にいる人というイメージがあるのだろうか。

テキストで聴覚障害は現在は身体障害者福祉法では聴力レベルで判定していること、これでは難聴者の聞こえの困難は計れないことを環境や心身の影響を受けやすいことから「障害」を計れないことが記されていると説明した。

聴覚障害の障害とはどういうものか説明した。これまでは難聴であることの生活上の不便、心理的な問題、社会の情報アクセス問題などを話してきたが、今回はコミュニケーションの障害、関係性の障害、理解しにくい障害というふうに絞って話してみた。

週刊誌の補聴器メーカーの広告の内容も引用しながら、難聴というのは引っ込み思案になりやすい、人と会うのを避けるとあることから、これは難聴者の「関係性」の障害を表していることを示した。


ラビット 記

要約筆記事業としての要約筆記

2011年05月26日 21時45分57秒 | 要約筆記事業
聴覚障害者の情報・コミュニケーション支援方法、手段には各種あるが、その場における文字によるものとして要約筆記やリアルタイム文字表記などがある。

要約筆記とリアルタイム文字表記は、意味を伝達することを優先するか、話された言葉の伝達(オンの再現)を優先するかの違いがあると言っても良いだろう。

全難聴の推進する要約筆記は要約筆記事業としての要約筆記であることが他の文字による情報支援と一線を画すものとなっている。

社会福祉サービスとしての要約筆記を実施できる人材を養成するのが厚労省の通知のねらいだ。
つまり、憲法、社会福祉法、障害者自立支援法に法的根拠のある事業としての必須条件を整えたのだ。

このことを丁寧に説明していきたい。

ラビット 記

なぜ今要約筆記者養成事業なのか。

2011年03月21日 21時51分26秒 | 要約筆記事業
地震の影響で電車の本数も減り、街の灯りも暗い中、A県中途失聴・難聴者協会の依頼で、「要約筆記者養成カリキュラム」について話してほしいと依頼があった。

中止になるかと半分そう思っていたのだがこれを逃したらもう後がないというつもりで来てくださいという。
ならばと、レジメを作り始めたが支援活動で疲れた身には辛い。

要約筆記事業の移り変わりをまとめた後、家を出るまでもう30分しかないという時にノートに書き留めておいた「なぜ今要約筆記者事業か」をレジメにした。
会場に着いた時参加者を見てどっちのレジメを使うか決めた。家を出る間際に書いた方を話そうと。

難聴者の毎日の日常から、聞こえないというだけでふつうの生活、コミュニケーションができないことから始めた。
要約筆記が権利擁護事業であることを理解するには自分たちの生活から考える必要があると考えた。

大震災でなぜ難聴者は災害に弱い立場なのかを難聴という障害の特性から説明した。

それから、ノーマライゼーション、社会福祉事業、障害者自立支援法のコミュニケーション支援事業、要約筆記の専門性、人権を護る意味と続けた。

ラビット 記
※写真は会場の敷地に咲いていたこぶしの花。
春が来ていた。

施策の法的根拠 要約筆記事業

2011年01月02日 21時25分43秒 | 要約筆記事業
知的障害者の「療育手帳」は法的根拠がないとあった。

「療育手帳制度について」という厚生事務次官通達だけで運用されている。
だから等級もA重度、Bその他になっているが基準も運用も自治体によりばらばら。

障害者自立支援法成立までは要約筆記奉仕員派遣事業も厚生労働省社会援護局局長通達だった。
だから各都道府県で実施する時期も内容もまちまちだった。

自立支援法ではコミュニケーション支援事業は市町村の必須事業になった。事業の主体者が初めて法的根拠を持ち、義務的事業となったのだ(法定化)。
義務ということはそれだけ事業の公益性が高いということだ。要約筆記事業が「奉仕員」(ボランティア)が担うものではないことになる。

要約筆記事業は2000年の社会福祉法基礎構造改革の時に社会福祉法第2種事業とされた。事業の性格が法定化されている。

その実施要項に要約筆記「者」派遣事業があっても要約筆記「者」養成・研修事業がなかったのがようやく日の目を見ようとしている。
障害者権利条約で障害を理由とした差別をなくすための施策の穴が一つ埋まる。聴覚障害者施策のかなり大きな穴だった。まだ穴は多い。


ラビット 記
※マクドの店内は気温が24.1℃。寒くもなく暑くもなく、知的作業には快適だ。ちなみにミスドも24℃だ。

仕事納めの難聴者は・・・

2010年12月28日 19時24分57秒 | 要約筆記事業

今日が仕事納め。ラインからはずれた難聴者に会社では毎日の提携業務、ルーチンワークはない。

朝から事務所内の蛍光灯の掃除を始めた。かつては70人もいた事務所だが営業部門の集約とアウトソーシングで今は委託会社に9人と上司とで11人だけ。
腕を上げて天井にある蛍光灯を外したり反射板を拭くので肩が痛くなってきた。

85カ所170本の蛍光灯を掃除している最中、障害者自立支援法の地域生活支援事業の要約筆記者事業は情報保障一般の文字表記の活動と別の分野であることをどう説明しようか考えていた。

法的根拠がある要約筆記者派遣事業とそれ以外の情報保障の活動は別なのだ。例えば選挙の時の立ち会い演説会に要約筆記が付いたとしても福祉事業の要約筆記とか教育の場面のとでは役割が違う。

蛍光灯の掃除が終わったら営業車の洗車だ。


ラビット 記


地域福祉と要約筆記事業

2010年12月25日 17時37分35秒 | 要約筆記事業
地域福祉の内容と施策を理解することで、新たに要約筆記者養成事業の始まる意味を理解したい。

「なぜ、住民が地域福祉に関わる必要があるのかについては、行政サービスの足りない部分を補うという意味もありますが、もっと積極的には地方自治体とともに自分たちの地域福祉システムを生み出す市民参加の意義もあります。」
(NHKテキスト社会福祉セミナー「地域福祉とは何か」P21、牧里毎治関西学院大学教授)

難聴になった住民が社会参加する一番の身近な場が地域社会だ。というより、地域住民が難聴になっても引き続き地域社会と関わることが必要だ。

権利擁護と通訳の専門性を身に付けた要約筆記者は、地域福祉のネットワークの中に入っていくことが出来る。
高齢者、児童、女性などの福祉が地域で統合的に再編されようとしているが、その共通のキーワードの一つが「権利擁護」だからだ。


ラビット 記
※クリスマスイブはケーキ店の書き入れ時だ。閉店間際の客が行列。

通奏低音としての「社会福祉の理念」 要約筆記者の場合

2010年12月18日 21時27分47秒 | 要約筆記事業
介護福祉士の受験直前対策の勉強をしていると、国家試験の解くヒントとして、「常に出された問題の通奏低音としてどのような理念・理想が奏でられているのかをまず考えることである」とあった。

この、理念・理想とは何かと考えていると、次のページには、キーワードは利用者の「権利擁護」と出てきた。

社会福祉実践の項に、「社会福祉は現場を離れてはあり得ない。理念も理想も制度・政策あってのものである。
毎年4科目8事例の24問の事例問題は介護福祉士として現場で活躍する場合の具体的な問題解決能力が問われる」とあってキーワードが利用者の権利擁護とあったのだ。

つまり、現場での問題解決は「権利擁護」の視点が欠かせないということを言っている。

要約筆記者が社会福祉の理念や権利擁護とは何かを時間をかけて学ぶのは、弱い立場にある難聴者等に情報を保障する、コミュニケーションを支援することを法的に義務づけられた事業の担い手として、関わるからだ。

学んだことが日々の事業の中で要約筆記の表記にも、現場の突発的な事態に対応する力となるからだ。
社会福祉の理念、権利擁護の意味、憲法、障害者権利条約などをきちんと学んでいれば、人によってその判断に大きなズレや幅は生じない。
「学んでも現場ですぐに役に立つかどうかわからない」ものではなく、日常的な判断、行動の基盤なのだ。


ラビット 記