脳トレで、聴能が発達するというレポート。
これをきちんと指導されるようになるといいな。
医療か福祉か、どっちのサービスでどのように行うか。
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ラビット 記
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原著 音声言語医学49: 273-276, 2008
いわゆる“脳トレーニング” によって語音明瞭度の改善した感音性難聴症例
五島史行、矢部はる奈
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要約:難聴を一定期間放置すると語音明瞭度が低下することは長期間の難聴に伴う聴取能の剥離として知られている.高齢者の補聴器装用者の問題は語音明瞭度の低下によるものが多い.
近年,言語聴覚士の積極的介入を軸とした補聴器フィッティング,装用訓練を導入し補聴器装用訓練が奏功する可能性が報告された.言語聴覚士を積極的に活用できる医療施設等は限定されるため,より簡便な聴能回復リハビリテーション法が必要である.
今回われわれは,自宅での音読トレーニングなどを指導することによって裸耳の語音明瞭度の改善を認めた症例を経験したので報告する.
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症例は77歳女性.2005年7月に感音難聴を主訴に初診.両側高度感音難聴を認めた.語音明瞭度は右30%,左20%であった.
書籍“脳を鍛える大人の音読ドリル―名作音読・漢字書き取り60日” を用いたトレーニング,新聞の音読をすることを指示した.
6ヵ月後右耳の語音明瞭度は60%まで改善した.
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索引用語:難聴,語音明瞭度,聴覚訓練,補聴器
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※論文中から抜粋
成人における脳の可塑性をpositron emission tomography(PET)による大脳皮質の活動性を評価する方法で検討すると,後天性難聴において高度難聴による聴取能
の剥離(auditory deprivation)の期間が長いほど,前帯状皮質(Brodmann area24)上側頭葉皮質(BA41,42いわゆる高次聴覚野),および海馬傍回の活動性低下と強い相関を認め,これらの部位は高度難聴者に人工内耳装用を行うとPETにて機能改善が見られることが報告されている5).
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5) Lee JS, Lee DS, Oh SH, et al: PET evidence of neuroplasticity
in adult auditory cortex of postlingual deafness.
J Nucl Med, 44(9): 1435-1439, 2003.
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日野市立病院耳鼻咽喉科 五島史行