老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

282;蝉は生きている

2017-08-10 21:34:07 | 春夏秋冬
蝉は生きている 

朝の散歩のとき
玄関脇の壁に
蝉が
12時の針の位置で
止まっていた
蝉は息しているのかな
と顔を近づけようとした
傍らにいた妻は
「蝉にオシッコを引っかけられるよ」
と言われた

蝉は帰る家《樹木》を忘れたのか
夕方18時杉になっても
蝉は何処にも行かず
玄関脇の壁に居た
1時の針の位置に止まっていた
妻は「蝉は動いているから 蝉は生きている」と。

281;妻 負傷

2017-08-10 15:06:44 | 老いびとの聲
妻 負傷 

一昨日 寝起きのとき
まだ脳が覚醒していなかったのか
自宅リビングで足を滑らし転倒
その際 右手が床に着き
右手首を痛めた
早く受診するよう声かけしたが
仕事を休むことができず
痛みをこらえながら仕事をした
痛みが増し右手首周辺の皮膚が変色

本日整形外科受診
レントゲン、診察の結果
右手首靭帯損傷、右手首骨折の疑い となった
医師からは
「よくここまで痛みを我慢していたものだ
男でも我慢できないほどの右手首の負傷(けが)でしたよ
右手親指を動かすと、靭帯が切れ手術になる」
と言われ 本人はしょんぼり。
妻の負傷は
即 私の日常生活に大きな支障をきたす・・・・・
1箇月間は家事をせねばならない
食事作りが一番大変


手術した私の左手は、ようやく完治した
医師、看護師、薬剤師、妻等々大変感謝しております
ご心配いただきありがとうございました

280;目が細い人は 早死にする

2017-08-10 12:10:10 | 老いの光影
目が細い人は 早死にする 

川中美由紀婆さん(83歳)は
置忘れ、しまい忘れが目立ち始め
その上心配性の塊であり
妄想が気球のように大きく膨らみ
眠れなくなってしまい、眠剤を服用している

「目が細い人は 早死にする」
「私も目が細くなってきたから、
今日か明日にでも死んでしまうのでは・・・・
昨夜は眠れなかった」
と彼女は真顔で話す。

隣で聞いていた42歳の女性ヘルパーは、
「大丈夫 五木ひろしだって目が細いけど 
死なずに歌っているから大丈夫!」。
その返答で彼女は納得されたかどうかは?

翌朝、美由紀は「火曜日 病院で大腸検査をすることになった。
どこか悪いのか。病院へ行ったら死んでしまう・・・・・」
結局 検査をすると死ぬと思いこみ、検査には行かなかった。

美由紀にとっては
不安や心配から妄想が大きく膨らみ
その人の心の世界のなかでは
大変なことになっている
「それはおかしいよ」「違うよ」と一笑に付すことはできない
美由紀の妄想の世界の中に入り込み
一緒になって妄想を楽しむなかで

彼女の何が不安なのか、何が心配なのか
その糸口が見えてくるのかもしれない






279;老いた男の独り暮らし模様

2017-08-10 05:01:11 | 老いの光影
老いた男の独り暮らし模様

独り暮らしになった老いた男の生き模様はそれぞれ
自由奔放に遊び人生を謳歌してきた丸井輪三郎は
宵越しの金は持たぬ、といった調子で
年金受給日から7日も経たないうちに年金を全て使ってしまう
砂糖を見つけた雌蟻が寄って来るが如く
年金受給日を過ぎると怪しげな女性が
輪三郎の処に足げく通い始め
年金がなくなると彼女の姿は消えゆく
幾つになっても男は馬鹿なのか
良いところを見せようと
年金の大半を怪しげな女性に渡してしまう
ヘルパーに支払う金は滞り
生活援助を減らす
鍋をいくつも焦がし
認知症の症状も出てきた
左眼は光も感じなく 右眼だけが頼り
その右眼も視力が落ち
先が見えなくなってきた男独り暮らし
彼の場合には持ち家があった 

貸家住まいの独り暮らしの男性 犬飼瀇三は
病院整形外科を退院した
左大腿部転子部骨折、手術とリハビリにより
どうにか杖歩行はできるようになったが
調理台に立つことはできなくなった
片手にお膳を持ち歩くことも無理
ここでもヘルパーの支援を受ける
週3回人工透析をしており
歩行が容易でないことから
介護タクシーで透析に通う
当然費用が嵩む
この男も老いた人妻がからみ
年金、通帳、現金の全てを委ね
男はどの位お金があるのかさえもわかっていない

男独り暮らしになった事情は
男それぞれにあるけれど
妻を大事にしてこなかった男が多い
丼勘定でお金を使ってきた男は
やりくりが下手なことから
怪しげな女性や人妻に財布を握られて
侘しく寂しい男独り暮らし
仏壇に置かれた妻の遺影が笑っているようだ

独り暮らしの男は女にご用心