老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

287;蝉は死んだ

2017-08-11 20:03:41 | 春夏秋冬
蝉は死んだ 

今日の朝
蝉のことが気になり
外に出て
玄関脇の壁をみた
蝉は壁に張り付いていた
「生きていた」と一瞬喜んだが
一方ではもしかしたらと思い
蝉に軽く触れてみたら
壁から蝉の足が離れ落下したところを
私は手で蝉を救った
蝉の生命は途絶えていた
息絶えながらも壁に張り付いていた
葉っぱの上に静かに置いた
よく路上で仰向けの姿で
蝉の死骸を目にすることはあった
蜘蛛が張り巡らした糸に引っかかり
飛び逃げることができず死ぬ蝉もある
蝉の死に方は
人間同様
それぞれ様々なのであろうか
玄関の壁で「亡く」なった
蝉は最期の一瞬まで
精一杯「鳴く」ことができたのであろうか
蝉のご冥福をお祈りし
死しても壁に張り付いていた蝉のように
最期の瞬間まで燃え尽きていきたいものだ


286;郷帰り

2017-08-11 15:55:51 | 老いびとの聲
郷(里)帰り 


盆正月の帰省ラッシュが始まった 《郷(里)帰り》
混雑 渋滞で大変だが
帰れる故郷がある人は羨ましい

両親が亡くなり
帰る場所を失う
老いを重ねるほど
望郷の想いが増す

死ぬ前に
一度だけでもいいから
故郷の風景を
目に焼け付けたい


285;記憶の彼方 ②

2017-08-11 10:35:59 | 老いびとの聲
記憶の彼方 ② 

記憶のピースがいくつも外れ失っていく
あなたは私の記憶のピースを埋めてくれる

記憶を失っても
あなたはその記憶をいつまでも忘れないで欲しい

記憶を失っても
私が存在していたことを忘れないで欲しい






284;親が子どもの名前を忘れてしまう

2017-08-11 04:19:23 | 老いの光影
親が子どもの名前を忘れてしまう 

長く生きれば生きるほど、
一人、また一人、
自分を知る人間が世を去っていく。
NHK取材班『無縁社会』(文春文庫)76頁


知る人間がこの世から去っていくと
話相手も居なくなり
出かけることもなく
家に居ることが増えてくると
そのことがきっかけで
認知症症状が出現する
親がつけた子どもの名前
その親が子どもの名前を忘れてしまう


283;自分のことを気にかけてくれる人がいる

2017-08-11 00:10:24 | 老いびとの聲
自分のことを気にかけてくれる人がいる

年齢を理由にして
できることなのに
できないと思い込んではいないか
振り返ってみる

とくに
男は定年後
その仕事を離れたとき
自分にはもはや価値がない
と思い込む

朝起きて夜寝るまで
何もやることがない
家においても
居場所がない
生きていることがむなしくなり
むなしくて病気になる

病気をという体験を通し
自分が生きているということ
それだけでありがたいと思う


自分のことを
気にかけてくれる人が
この世に存在することを
その人を大切にすることだ