老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

307;めでたい老人

2017-08-16 17:32:02 | 老いの光影
めでたい老人

秋桜宅老所に通う老人達のなかには
好かれる老人と
嫌われる老人がいる

嫌われている老人本人自身は
介護スタッフからも他の仲間(老人)からも好かれている
と思っている「めでたい老人」である
人指し指でホコリをチェックするような夫であった
妻の顏が気に入らないと整形手術をさせた夫
妻が働いている間
一人ハワイ旅行に行った夫
結婚してから妻は家から出たことはなく
旅行さえしたこともなかった
働き尽くめだった妻
最後はうつ病を患い
それが因で寝たきりとなり早死にした妻
生前妻が働き 保険料を納めた生命保険金がおり
その金で 日本一周旅行をし使い果たした夫

いま彼は10万円ほどの年金で独り暮らしをしているが
生来独りでは生きていけない寂しがり屋なのか
一週間もしないうちに
息子の同級生である女性に使い果たしてしまう

夕方毎日息子は
独り暮らしをしているい父親の家を訪れ
スーパーで買ってきたお惣菜を食卓に置いていく
いま年金は息子が管理している

息子も甘く
酒を飲むことについては黙認している
酒を呑むと失禁や転倒の心配もあるのだが・・・・
尿でズボンが濡れてもそのまま
紙パンツもデイサービスに来るまでそのまま

他の老人や介護スタッフから疎まれても
私はマメに訪問し
彼の話を聴き・・・・
今後どうするか
悩みが続く


要介護1の認定だが
認知症も進み、我儘な行動もあることから
要介護2の区分変更は想定できるが
要介護度が2になると
デイサービスの料金も上がることから
要介護の区分変更をしないでいる





306;誕生日前夜

2017-08-16 17:00:08 | 老い楽の詩
誕生日前夜 

明日65歳になる
嬉しいのか それとも人生の節目なのか
介護保険法では老人の仲間入りになる
介護保険被保険者証が郵便で届くであろう
それに私の場合
慢性腎不全による身体障害者1級であることから
医療保険は健康保険から後期高齢者医療保険証に変わる
3割自己負担から1割自己負担となり
大いに助かる


それよりも
64歳最後の日から明日は65歳になっても
世の中も私の怠惰な生活も変わりはしないのだが
私の心のなかでは
65歳 老いに入るということ
介護の仕事に従事している「いま」
老いや介護の問題(テーマ)は
他人事ではなく私事にもなるからである

最近の私は
転ぶことも増え
下肢の筋力だけでなく思考能力も集中力も衰えてきた
嗚呼老いが来たのだな
これから老いと向かい
残り少なくなってきた時間
老いとの向かいあいは死を意識することにもなる
あと何年生きられるか、と
引き算の人生になってしまう
明日のこと(死のこと)を悩むより
今日(いま)をどう生きるか
老いを迎える前夜 そのことに改めて気づかされた

305;犬の糞詰まり

2017-08-16 10:35:39 | 犬と人間
我家の一人息子
犬の糞詰まり

お盆に入り
東北は雨続きで
梅雨が到来したかのよう
その影響で
朝夕 犬の散歩ができず
(実は一人息子は雨の散歩が嫌い)
3回続けての散歩中止は「やばい」と思い
昨日の夕方は
小雨決行ということで
一人息子の糞が出ることを期待し
散歩に出かけた

散歩開始5分後には
便意をもよおし
ウンチングスタイルに入ったgennki
便を我慢していたこともあり
肛門には硬い便の塊が出かかっていたが
なかなか出ず
難産ならず「難便」であった
40秒位過ぎても出ないので
私はgennkiの肛門のふちを
人指し指で押してあげたら
突然gennki
足でも踏まれたような大きな声で「キャン」と泣き叫び
私の顏の方に向きなおし じっと睨みつけられてしまった
gennkiは再度挑戦し
奮闘の結果一塊の「糞」が出た
その後 2回ほど糞をし
もとの体調に戻り 快調に足を交互に動かし歩いていた

304;愚かな涙

2017-08-16 04:33:35 | 読む 聞く 見る
 高見順『死の淵より』「愚かな涙」講談社文庫

愚かな涙

耳へ
愚かな涙よ
まぎれこむな
それとも耳から心へ行こうとしているのか


この高見順の詩集『死の淵より』は
私が32歳のとき身体障害者療護施設で働いていたときに
出会った詩集である
高見順は食道癌の手術前後病床で記した63編の詩集
(彼は57歳の若さで亡くなった)
私にとりいまでも心の詩集である

「愚かな涙」も好きな詩の一つ
高見順の詩は、「死」をみつめる
仰向けで病床に臥していると
悲しややりきれない気持ち
眼尻から涙が流れ落ちていく
その涙は耳の中へまぎれこむ
涙は耳から心へ届き
悲しみが心にも沁みていく