老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1141 ; 石のぬくもり

2019-06-04 03:24:37 | 阿呆者
石のぬくもり

石と人間(ひと)の関係(係わりあい)は
原始時代までに遡る
狩猟で暮らしていたとき
獲物を取るために、最初は石を投げていた
ヒトは、自由に使える手があった
それは直立歩行ができたことが大きかった

石の先を削り、それに棒をつけると石斧や石槍になり
獲物を捕獲することが容易になった。

歴史が進歩し、暮しに余裕が出てきた人間は
和風庭園に石を使うことで、庭の風情を創りだした。
その石を景石(けいせき)と呼び、捨石とも言われた。
そこに石を置くだけで、庭木などが引き立ち庭の景色が変わる。

石にも生命がある。

老い患い長く伏せていると
人間の躰は“石”のように硬く寝たきり状態になる。
石に陽が当たると
石にもぬくもりを帯びてくる。

寝返ることもできなくなった石のような躰であっても
その躰に手を添えるとぬくもりが伝わってくる。

そこに、
あなたが居るだけで
わたしの気持ちは癒される。

自分は、捨石のように思うことがあるけど
存在していることの意味を考えてみた。

路に転がっている小さな石を
何気なく蹴ってきた自分
小さな石にも生命があることを
覚えていて欲しい。
眠っている小さな石を
蹴らないでほしい。

捨石
捨てられた石ではなく、
俺はここで生きている石