HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

アンナ・マグダレーナの練習帳

2009年09月02日 | クラシック曲
Nさん(大人):
高校生までピアノを習っていたという、バッチリキャリアのあるNさん。
大人になってから、「もう一度ピアノを・・・」ということで始めたレッスンです。
「バッハはやったことがなかった」ということなので、まず易しい基礎からと、「アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア練習帳」という すてきな練習曲集を勉強しています。

とても易しく書かれていますが、奥が深く、書かれている内容をすべて正確に再現しようとすると けっこう手ごわいです。
今は、終わりの方の「アリア」という曲を練習しているのですが、いっぱいついてくるトリル、装飾音、ターンなどの記号を守って両手ポリフォニーの楽譜を弾くのはかなり難しく、リズムが撮りにくく、苦労しています。

それもそのはず、この曲は、かの超大曲「ゴールドベルク変奏曲」の主題の部分なのです。
この「マグダレーナ」レベルの学習者には 正直手に負えない課題なので、今まではいつも飛ばしてきていました。
けれどNさんは、バッハ始めてとはいえ 基礎もキャリアもあり 本当の初心者ではないので、敢えてこの曲に挑戦してみました。

やっぱり、最初のページで譜読みに四苦八苦してしまったので、私はつい「やっぱり・・・とばす?」ときいてしまいました。
するとNさんは、「難しいですけど、とってもきれいだし。『ゴールドベルク』ですから!CDも聞いたし、がんばってみます」と言ってくれたのでした。
そうですよね。
すてきなバッハ、がんばって完成させましょう!

アメリカン・パトロール-音楽は止まっちゃダメ-

2009年09月02日 | レッスン日記(小中高生)
Y子ちゃん(小4):
先週「仕上げてくるように」と宿題の出ていた「アメリカン・パトロール」。
出来上がったかな?
「うーん、ちょっと速く弾けるようにはなった」
どれどれ。
なかなかいいです。音のキレもよくなってるし、先週まちがえていた音も、ちゃんと直してあります。
この間よりテンポも少しアップして、まずまず「アメリカン・パトロール」になってきています。
ただ、ときどきミスをして、弾き直すのがもったいない。
特に 一番苦手な部分は、何度も弾き直してしまうので、そこにくると音楽が途絶えてしまいます。

「よしっ、大体できてるから、伴奏つけるよ」先生は言いました。エレクトーンで、リズムとバッキングをつけるよ、という意味なので、ピアノがつっかえつっかえだと追いつきません。
「エレクトーンの用意ができるまで、危ない所練習してて」先生はこう言って、エレクトーンのスイッチを入れ、マーチのリズムやテンポ、音色などのセッティングを始めました。
「えーっ
Y子ちゃんは焦って、不得意な部分をいっしょうけんめいパート練習しています。
よしよし。こうやって、パッと自分の弱いところを見極め、ピンポイントで集中練習するというのは、大変能率のいい練習なわけですが、多分ふだんの自宅練習では、あまり真剣にやってはいないでしょう。
ふふふ、こうやって、ちょっとしたことで緊張の場をつくってあげると、そういう練習もできるのだよ。

さあ、エレクトーンの設定ができた。
「いくよ!」
ドラムマーチが流れ始めます。
「わぁぁ~
Y子ちゃんは焦りながらも、なんとか伴奏に合わせて弾き始めます。
テンポが安定してくると、なかなか楽しいパレードです
あっ、ミスった。 でも大丈夫。なんとか追いついた。
あー、ここはダメだ~ 追いつけない・・・
そういうところでも、Y子ちゃんは止まりません。メロディーだけでも何とかつないだり、どうしようもなくなった時は 入れるところまで待って、またサッ!と音楽に加わります。
「あ~、ダメだ~」
弾き終わって、Y子ちゃんは残念そうです。
「そうでもないじゃない? ちゃんと、止まらずに弾いたんだし。」
先生は言いました。
「ほら、バレエだって、音楽の人が『あっ、まちがえました』とか言って止まっちゃったら、どうかな?踊る人は 踊れなくなっちゃうよね。まちがったりしても、そのまま弾いてくれた方が ずっといいでしょ。音楽は、弾き始めたら止まらない!これが大事なんだからね」
「うん」
ヒバリ教室で4年間、レッスンしたりコンサートを経験したりしているY子ちゃんは、そのことがもうよくわかっていて、ちゃんと音楽を大事に弾いていく、ということが身についているので、私は嬉しく思います。
音楽は時間芸術。 弾き始めたら、その流れを決して止めないこと。
これが とても大事。

Y子ちゃんは、新しい曲をもらい、アメリカン・パトロールも、来週もう一度アンサンブルしようね、という約束をして帰りました。

白鳥の湖-二拍三連-

2009年09月02日 | 音符・楽譜・テクニック
Hさん(大人):
「わたくしリズムがダメで」というのが、Hさんの口ぐせのようになっています。
これはHさんに限らないことなのですが、大人になってからピアノを初めてやった人には、「リズムが苦手」という人が多いようです。

今の子どもたちは、生まれた時からたくさんの音楽を聞いて育っていますから、すぐにいろんなリズムに乗って楽しく弾いたり、パッと反応したりすることが 自然にできます。
けれども「昔の子ども」は そうじゃなかったんでしょう。
リズミカルな曲を歌ったり、ダンスを踊ったりという体験が、今の子どもに比べて少なかったであろう「昔の子どもだった」人たちは、ピアノを弾く際にも、「リズム面が一番不得意」という人が多数派のようです。

さて、いつもリズムで苦労しているHさん。
特に「三拍子系」が 大の苦手です。
もともと、日本にはワルツみたいな曲はなかったですから、民族的に「三拍子」は、身についてない系の音楽、ということもありますね。

「ホフマンの舟歌」が終わって、次は「白鳥の湖-情景」をやることになりました。あの「ちゃ~ ららららら~♪」という、ドラマチックな曲です。
ところがこの「情景」、8分の12拍子という、Hさん最も苦手な「三拍子が4つつながってる」リズムです。おまけに、あろうことかその「三拍子」の伴奏に 右手は二拍ずつ合わせていく、という「二拍三連」リズムが連続して連なっていて、めちゃめちゃややこしいのです。
考えてみてください。左手で「1、2、3、1、2、3、」とリズムをとりながら、右手で「1、2、1、2、」と合わせる。
難しいと思いませんか?
曲の中に たった一箇所出てきただけでも恐怖なのに、「白鳥の湖」は 曲全体が二拍三連でできてる、と言っても過言ではないという恐ろしさ。
Hさん、大丈夫かな。8分の6拍子でもすごく苦労してるのに、8分の12じゃその倍だもんな・・・

今日、初めてHさんの「白鳥の湖」を聞かせてもらってびっくり!(@o@)
なんと、あの難しい二拍三連が、すべて完璧なバランスで ピシッ と決まってるではないか
「す、すごい、Hさん!完璧です。どうしてできたんですか?!」
私は思わず聞いてしまいました。
「先週、先生が『この音は こことここの間に入れる↓』って 印つけてくださいましたでしょ。だからそこに入れてみたんです」Hさんは涼しい顔。
ま、まさか、あんなに 自他共にみとめる「リズム音痴」だった(失礼)Hさんに、「二拍三連名人」という こんな隠しワザがあったとは(@o@)(@o@)(@o@)
Hさん、これは『特技』と言ってもいいぐらいのすごワザです!
ぜひともこのワザを極めて、「名人」の段位を獲得しましょう。