HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

コードで伴奏

2010年04月24日 | レッスン日記(小中高生)

Y子ちゃん(小5):
ラテンの曲「ティコティコ」を練習しています。
A(イ短調)の部分、C(ハ長調)の部分、そしてA(イ長調)の部分と、大きく3つの部分で構成されている、華やかな曲です。
いよいよ、最後のAの部分にコードがついて、曲全体が形になりつつあります。
今年の発表会は、市販されている楽譜を見て演奏するのではなく、Y子ちゃんにぴったりなように先生がアレンジしながら 演奏スタイルを完成していく方式をとりました。
最後のイ長調の部分は、厚みのある和音で盛り上げたいと思います。
♯がたくさんついて ややこしいですが、コードネームを使うと、すべて音符のみの楽譜よりもストレートに 音をつかむことが可能です。
なので伴奏は、ほとんどコードネームで表記し、音符は補い程度の書き込みにしました。
Y子ちゃんが、コードネームに大分慣れていてよかった。
これだけの伴奏を音符で書くと、すごく複雑な楽譜になり、読むのももちろん、書くのだって大変なことになりますから (^_^;

今日は、全員合奏の「曇りのち、快晴!」のピアノ伴奏も、最後まで練習しました。
こちらもコード表記にしているので、ひとつひとつコードの音を確認し、OKとなったので、あとはテンポに乗って弾けるようにするだけです。

コードを教えておいてよかったなー、便利! と内心 Vサインの先生であった。(^_^)v



お別れ -アデュー-

2010年04月24日 | ブルクミュラー
S子ちゃん(小6):
ブルクミュラーの「お別れ」を練習しています。
テキストには、「お別れ」というタイトルと、フランス語で「Adieu」と添えてあります。

アデュー・・・こう言うと、なんかロマンチックな感じに聞こえますね~
人生、明るく元気なことばかりではなく、時には悲しみや別れを経験しなければなりません。
S子ちゃんは、もうそういう気持ちがわかる年齢です。
そしてまた、切ない曲に 自分の想いを重ね合わせ、「甘い哀しみ」として味わうことに、大人っぽい心の震えを感じることのできる年齢にも手が届くようになってきました。
「この曲、好きだからずっと練習してた」という言葉が、その証拠です。
そのとおり、右手と左手に交互に出てくる、細かい三連符の連続も きれいに弾きこなしてありました。

さあ、ここまでできているとなると、先生の要求もさらにハイレベルのものになります。
「最初の部分は、いきなり悲しみがこみ上げてきてる感じね。ほら、よくドラマとか映画であるでしょ、タイトルが出る前に、いきなり印象的なシーンがばーんと映るようなのが」
「ああ、ある・・・」
「ね、そんな感じで、いきなり核心をついたあと、おもむろにタララ、タララ、と状況紹介が流れ始める」
「ああ、わかります」
「でも、もうひとつ突っ込んで、左手を見て。単なる伴奏じゃなく、ファミレド、ファミレド、と絶えず現れてくる、短いフレーズ。これはまさに、『さよなら』という言葉を表しているんじゃない?別れたくない『感情』と、でもそれは許されないことを理解している『理性』の交錯。それが、右手の不安定に揺れる三連符の『感情』、左手の『ファミレド』で表現される『理性』に現されている」
「ああ・・・そうなんだ・・・」
「そして!この『ファミレド』つまり『さよなら』は、他にもいろんな所に、少しずつ姿を変えながら出てきてるよ。あちこちに『さよなら』が秘められている。そして一番最後、何度も手を振って、『さよなら、さよなら・・・』とくり返しながら、大好きな人とだんだん離れていって・・・姿が小さく、小さくなって・・・ほら、ここの左手が」
「ほんとだ!」
「とうとう、点のように小さくなって、見えなくなった・・・そして、ジャン!『終わり』と観念した」
「うん、うん」
S子ちゃんは、シーンが目に見えてるようにうなずきました。
「この『さよなら』をモチーフにしながら、バックに揺れ動く心の高まりを表現していく。たくさんのバイオリンで一斉に弾いているような、豊かな起伏をつけて。こんなふうに」
「すごい・・・」
ピアノが、まるで柔らかな弦楽器のように歌い上げる様子に、S子ちゃんは目を丸くしています。

「ブルクミュラー」は、初心者用のテクニック練習曲集なので、ここまでの表現は要求されてないと思います。
けれど、できるならば、可能な限り曲を感じ、イメージを高め、美しい音色で歌わせてほしいです。

さよなら・・・アデュー・・・ この小さな練習曲に、S子ちゃんはどんなイメージを抱いて弾いてくれるでしょうか。
仲良しや親友との別れ。大好きな先生の転任。恋人との別れ。一口に「別れ」といっても、いろいろなシチュエーションが考えられます。
距離的な別れもあるでしょうし、時間的な・・・時には永遠の別れもあるでしょう。
弾く人の年齢や人生経験などにより、同じ曲も そのたびに全く違う演奏となったりする。
あなどるなかれブルクミュラー。
初心者や子どもが弾く曲、と限定せず、大人の人も弾いてみてください。
大人が弾けば、ちゃんとそれに応えて さまざまな秘密を見せてくれますよ。