黒ねこちゃん(新小3):
「あのね、あの…あの人が作った曲が弾きたいの…」
レッスン室に入ってきてすぐに言いました。
「あの曲… あのね、亡くなっちゃった人…何ていう名前だっけ? その人が作った曲なんだけど」
「坂本龍一さん?」先生は聞きました。
坂本龍一さんが亡くなったニュースが、一昨日 日本中に衝撃を与えたばかりでした。
「うーん、そうかな?」と黒ねこちゃん。
「こんな曲?」
先生はピアノで弾いてみました。「戦場のメリークリスマス」、あまりにも有名な、坂本龍一さんの代表作ともいえる作品です。
「あっ、そうそう!それ!うわー、先生すごい上手。あの人のとおんなじだ」
黒ねこちゃんは衝撃に打たれたように立ち尽くしています。
「今の先生のピアノ聴いて、ますます弾きたくなった!」
「そうなの?いいよ、弾けば? 確か楽譜があったはず…ほら、あったあった」
「いいの?!難しいかな…」
「大丈夫、弾けるよ、がんばれば。あの、もしかして発表会に弾きたいの?」先生は聞いてみました。
元気で、スピード感あふれる曲や細かいスケールなどがたくさんある曲が大好きな黒ねこちゃんには、もう 発表会用に、カバレフスキーのエチュードを候補曲として選んでありました。
「うん… ボク、早い曲が好きだし(黒ねこちゃんは女の子だけど、最近 自分のことを「ボク」と言ってる)、去年は「千本桜」弾いたけどさ。 たまには、こういう静かな曲もいいかな」
「いいよぉ〜」と先生も大賛成。「これにしようよ!発表会」
「うん!」
いつも元気な黒ねこちゃんですが、実は心の中にすごく繊細な魂が宿っているのを感じます。
「戦場のメリークリスマス」の曲が大好き、というのも、8歳という年齢にしては驚きだし、坂本龍一さんが亡くなったと聞いた時は泣いちゃった、という黒ねこちゃん。
「坂本さん、天国でピアノ弾いてるかな」と言いながら、さっそく楽譜を見てイントロ部分を弾き始めています。
黒ねこちゃんの心のこもった演奏… 楽しみです