(時差ぼけ)
2006.Feb.20.のこと。
冬の寒さから逃れて、
16℃前後の暖かい陽気に誘われ南イタリアを
訪ねる旅行に参加した。
学生時代からの夢であった「世界を旅する」は、
定年後からスタートして、
訪問した国の数は48カ国になる。
今回は二回目のイタリア。
アリタリア航空でローマへ。
イタリアの国にふさわしい空港の名前は、
レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港。
国内線に乗り換え、約一時間でパレルモへ到着。
時間はもうPM21:50分。
ここはシチリア島、
世界地図で見ると長靴のつま先部分に当たる。
気温15℃、うーん さすがに暖かい。
ホテルに着いたときは24時というか午前0時。
それでもさすがイタリアのホテル、
ロビーのバーには
恰幅の良いネクタイ姿の紳士が数人、
一杯やっている。
いや待てよ、紳士風に見えるがここはシチリア、
かの有名なゴッドファーザーの故郷、
ひょっとしたらマフィア?
そんなことを考えているうちに
部屋割りが決まってベッドに横たわる。
時差が7時間あるから、
日本に居たらまもなく朝になる時間で寝付けない。
こんな時、女性は順応性が高いといおうか、
ずうずうしいと言おうか、無頓着と言おうか、
カミさんは隣のベッドで静かに寝息を立てている。
ぐずぐずしている間に朝になってしまった。
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(三日月が見えるイタリアの朝)
いつものことだが、
ボクは時差に慣れるのにおおよそ3日はかかる。
観光中の昼間、無性に眠くなることや、
習慣になっている朝の排便がなくなること、
もともと悪い頭の回転がさらに悪くなることなど。
それでも慣れない外国語に、
分かりもしないくせに耳を傾け、
神経を研ぎ澄まし緊張していると、
疲れがだんだん溜まって、
夜にはぐっすり眠れるようになる。
そして、三日たつと平常に戻る。
身支度を整えて、ホテルの窓から外を見ると、
透き通るような青い空に、
昨晩の名残とばかり三日月が天空にかかっており、
その下にグレーの雲があって、
さらにその下に山々が連なって、
山のふもとに人家のビル群が迫って見える。
耳をそばだてると、
朝早いのにかなりの喧騒が聞こえてくる。
ガラス戸を開いて、音のする方向を見ると、
どうやら市場があるらしい。
生鮮食料品市場のようだ。
魚介類だろうか?
青果物だろうか?
今日は期待の南イタリア、
抜けるような青空に似て、
陽気で底抜けに明るいイタリア人、
将来なんて考えそうもないイタリア人、
女を見たら褒めちぎって
モノになれば儲けと考えるイタリア人男性、
対照的に質素堅実な考えのイタリア人女性、
ヨーロッパのどの国にも浸透しているローマ、
「あらゆる道はローマに通じる」
「ローマは一日にして成らず」を物語っている。
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(抜けるような青空のイタリアポンペイの遺跡で)
そんなイタリア観を持っている
ボクの旅の始まりでした。