「二人のガスコン」
佐藤賢一著 講談社文庫
本書は、フランスの有名小説「三銃士」主人公の一人ダルタニャンが、アトス・ボルトス・アラミスの三銃士と一緒にリシュリュー枢機卿の陰謀を打ち破った「三銃士」物語の後、著名な作家であるシラノ・ド・ベルジュラックとコンビを組んで活躍する歴史小説である。上、中、下の3巻本であり、昨年の12月に上巻を読了してから、やっとこさ全3巻を読了した。最近、どうも西洋史づいてるね。
僕自身、フランス史というのは、あんまり知らない。昔、学生時代、西洋法史を専攻されている先生が基礎演習を担当されていたこともあり、(また、ちょうどフランス革命から200年ということで、ちょっとしたフランス革命本ブームだった。)フランス革命史だけはそこそこ熱心に読んでいた。それ以外は、白紙の状態。「三銃士」も岩波文庫版を買って持っているのだが、途中で挫折、本棚に積読状態になっている。
シラノ・ド・ベルジュラックは、手塚治虫の「ブラックジャック」の中に、戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」を元にした一篇があり、また、同じく「七色いんこ」でも、やはり「シラノ・ド・ベルジュラック」を使った話を書いていて、名前だけは、小さいころから頭の中に刻み込まれている。この物語自体は、手塚治虫のお気に入りだったのかもしれない。本書を読んで調べると、実在の人物で、批判的精神の強い人物のようで、SFめいた小説も書いていたとされる。ダルタニャンの物語だけでなく、実在する人物であり、実在する2人の人物がタッグを組んで、陰謀うごめくフランスの王宮を舞台に活躍する。しかし、誰が味方で、敵なのかドンドン立場が入れ替わり、変わらないのは、2人の騎士道精神だけである。権力を握るマザラン枢機卿とオルレアン公の権力闘争が軸になっているのだが、その背後には、王位継承の問題が潜んでいる。後に太陽王と呼ばれたルイ14世は、本当に前国王の血を引くものであったのかどうか?この話は、小説だけの話ではなく、解説を読むと、実際にそう考えられる部分はあったようだ。
小説の舞台となった時代は、カトリックとプロテスタントの宗教対立であるユグノー戦争が終結後、絶対王政ルイ14世の前夜を舞台としている。本書を読んでいると、三部会を中心とした自由主義な国家なのか、国王を中心とした絶対王政の国家なのかどっちにぶれるのかわからない時代といえそうである。
しかし、どうも外国を舞台にした小説は、地名が頭に入っていないのと、カタカナの名前が覚えにくいので読むのに苦労をする。できれば簡単な地図と登場人物の一覧表がついていれば、ありがたかったなあ。途中かなり話を見失ったような気がする。とにかく人間関係や位置関係を捕まえるのが大変難しかった。でもサンドワ通りとか聞くと、昔、よく読んでいた「パイナップル・アーミー」という漫画にサンドワ通りのマニーという名前の娼婦が出てきてたなあ。そういうのだけはわかるんだけどなあ。
本書、読み始めは苦労したけど、途中からはすいすいと読んだ。最後は2人が考え方の違いから袂を分かち、それぞれの道を歩むことになり、それぞれが真のガスコンであると声を掛け合った別れことになる。まあ、この手の話には、定番ですね。
最後に、書名にもあるガスコンとは、何か。フランスのガスコーニュ地方からパリに出てきた直情径行型の人物を言うようだ。ダルタニャンもシラノ(?)もそうであり、それがこの2人を繋ぐ絆となっている。
ちょっと講談調の文体も冒険活劇という本書の内容にあわせてるんだろうな。
佐藤賢一著 講談社文庫
本書は、フランスの有名小説「三銃士」主人公の一人ダルタニャンが、アトス・ボルトス・アラミスの三銃士と一緒にリシュリュー枢機卿の陰謀を打ち破った「三銃士」物語の後、著名な作家であるシラノ・ド・ベルジュラックとコンビを組んで活躍する歴史小説である。上、中、下の3巻本であり、昨年の12月に上巻を読了してから、やっとこさ全3巻を読了した。最近、どうも西洋史づいてるね。
僕自身、フランス史というのは、あんまり知らない。昔、学生時代、西洋法史を専攻されている先生が基礎演習を担当されていたこともあり、(また、ちょうどフランス革命から200年ということで、ちょっとしたフランス革命本ブームだった。)フランス革命史だけはそこそこ熱心に読んでいた。それ以外は、白紙の状態。「三銃士」も岩波文庫版を買って持っているのだが、途中で挫折、本棚に積読状態になっている。
シラノ・ド・ベルジュラックは、手塚治虫の「ブラックジャック」の中に、戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」を元にした一篇があり、また、同じく「七色いんこ」でも、やはり「シラノ・ド・ベルジュラック」を使った話を書いていて、名前だけは、小さいころから頭の中に刻み込まれている。この物語自体は、手塚治虫のお気に入りだったのかもしれない。本書を読んで調べると、実在の人物で、批判的精神の強い人物のようで、SFめいた小説も書いていたとされる。ダルタニャンの物語だけでなく、実在する人物であり、実在する2人の人物がタッグを組んで、陰謀うごめくフランスの王宮を舞台に活躍する。しかし、誰が味方で、敵なのかドンドン立場が入れ替わり、変わらないのは、2人の騎士道精神だけである。権力を握るマザラン枢機卿とオルレアン公の権力闘争が軸になっているのだが、その背後には、王位継承の問題が潜んでいる。後に太陽王と呼ばれたルイ14世は、本当に前国王の血を引くものであったのかどうか?この話は、小説だけの話ではなく、解説を読むと、実際にそう考えられる部分はあったようだ。
小説の舞台となった時代は、カトリックとプロテスタントの宗教対立であるユグノー戦争が終結後、絶対王政ルイ14世の前夜を舞台としている。本書を読んでいると、三部会を中心とした自由主義な国家なのか、国王を中心とした絶対王政の国家なのかどっちにぶれるのかわからない時代といえそうである。
しかし、どうも外国を舞台にした小説は、地名が頭に入っていないのと、カタカナの名前が覚えにくいので読むのに苦労をする。できれば簡単な地図と登場人物の一覧表がついていれば、ありがたかったなあ。途中かなり話を見失ったような気がする。とにかく人間関係や位置関係を捕まえるのが大変難しかった。でもサンドワ通りとか聞くと、昔、よく読んでいた「パイナップル・アーミー」という漫画にサンドワ通りのマニーという名前の娼婦が出てきてたなあ。そういうのだけはわかるんだけどなあ。
本書、読み始めは苦労したけど、途中からはすいすいと読んだ。最後は2人が考え方の違いから袂を分かち、それぞれの道を歩むことになり、それぞれが真のガスコンであると声を掛け合った別れことになる。まあ、この手の話には、定番ですね。
最後に、書名にもあるガスコンとは、何か。フランスのガスコーニュ地方からパリに出てきた直情径行型の人物を言うようだ。ダルタニャンもシラノ(?)もそうであり、それがこの2人を繋ぐ絆となっている。
ちょっと講談調の文体も冒険活劇という本書の内容にあわせてるんだろうな。
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