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アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

六道の辻  ~六波羅蜜寺~

2017-09-21 23:26:50 | 史跡を歩く
 六道さん珍皇寺を出て、松原通を少し下った四つ角のには、六道の辻と記された石碑が建っている。その石碑の横に西福寺というお寺がある。

 

 珍皇寺のところでも書いたが、この辺りは葬送の地鳥辺野の入り口にあたり、この世とあの世との境と言われている。西福寺の塀に六道の辻と書かれた大きな看板が掲げられている。昔、この辺りは六つの仏堂があり、その一つが西福寺だという。西福寺も、珍皇寺や六波羅蜜寺といった周辺のお寺と同様に地獄や餓鬼といった中世以来の民衆に信仰されてきた仏教の世界を垣間見ることができる。

西福寺の中は非公開ではあるのだが、境内は少し入ることができる。お堂には六文銭?の絵で「六道の辻」と書かれた扁額や空海と檀林皇后との縁起を記したものが掲げられている。あの世のイメージが満載である。

 

 この西福寺には、檀林皇后を描いたとされる江戸時代に書かれた「九相図絵」や「六道絵」はあり、六道まいりの時期には公開されているそうである。嵯峨天皇の皇后である檀林皇后という人は、帷子ノ辻などのところでも書いたが、結構、地獄とかを示すモチーフに使われている。なんでだろう? 
 
 この西福寺の辻を右手に曲がるとすぐの所に六波羅蜜寺がある。このお寺は、何度となく来ている。京都国立博物館に来ると、豊国神社、方広寺、六波羅蜜寺というのが、セットものになっている気がする。小学生のころ初めてこのお寺に来た時、多分母と一緒に平氏の史跡巡りをテーマにしたハイキングに参加した時だと思う。狭い境内にいっぱいいっぱいに極彩色の朱塗りの本堂を見たときのインパクトは強かった。それまであまり鮮やかな模様の書かれたお堂というのをあまり見たことがなかったからだろうけど。

 

 六波羅蜜寺の本堂は、南北朝時代の建造物と言われている。京都市内では、かなり古い部類に入る建物であろう。このお寺には、何といってもいくつかの仏像、肖像が素晴らしい。このお寺に残る数々の仏像、肖像は宝物館で見ることができる。特に印象に残るのが、口から六体の阿弥陀仏が現れている遊行僧姿の空也像、僧形の伝平清盛像、この像を見ていると、平清盛という人は、権力にものを言わせた俗物みたいなイメージではなく、非常に理知的な人物を想像するのだが、昔、奈良国立博物館で「平家納経」を見た時も同様の印象を受けた気がする。(ただ、平清盛像といわれるのは最近のことのようでもある。)そして、鎌倉時代の仏師運慶像、湛慶像、意志の塊のような運慶像と長い人生の年輪が刻まれた湛慶像、両極端の肖像である。また、ここでも閻魔像や地蔵菩薩像を見ることができる。こういった仏像を見せながら、地獄や救済のイメージを民衆に植つけるとともに、あの世を強く意識させる空間であったのだろう。
 ちなみに六波羅蜜寺の開基は、先ほども話に出た空也上人とされている。市聖と呼ばれた空也が、十一面観音を祀るために創建した西光寺に始まるとされ、空也の弟子中信により、西光寺が六波羅蜜寺に改められ現在に至っている。創建時から民衆の信仰の中心だったのだろう。
 ちなみに六波羅という地名は、六波羅蜜寺より平氏一族がこぞってこの地に住み、平氏政権の中心地であったことのほうが著名であるような気がする。平氏の都落ち後、鎌倉幕府が成立した後は、この地に六波羅探題が置かれている。今でも、六波羅蜜寺の周辺を歩いていると池殿町や三盛町など平氏と関連する地名が残っている。

 六波羅蜜寺の本堂の横には、平清盛の供養塔と阿古屋塚と呼ばれる石塔が建っている。

 

 阿古屋塚とは、平氏の侍大将平景清の想い人であった遊女阿古屋を供養するために造られたといわれてる。浄瑠璃や歌舞伎の話になっているようだ、昔、境内の違う場所にあったような気がするのだが・・・。石塔の土台に古墳時代の古墳の石棺が使われているらしい。いったいどこから持ってきたのだろう?

 

 同じく、境内の隅には「この付近平氏六波羅、六波羅探題」と書かれた石碑がひっそりと人知れず立っている。擦り切れて文字が読みにくくなっているところが栄枯盛衰を感じさせるものがある。
 この地は、あの世にいるご先祖様を偲びつつ、いつかはいかねばならないあの世を今生きている我々に意識させてくれる。どうやってこれから生きていくのか課題をつきつけられているようでもある。

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