休日はデジカメ持ってぶらぶらと📷

アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

飛鳥の万葉歌碑⑯ ~甘樫橋東詰、道路沿い~

2020-11-01 23:15:55 | 文学をたどる

 橿原バイパスから、藤原京の横を通って飛鳥に入る県道の道沿い、明日香川に甘樫橋が架かるあたりに、万葉歌碑が一つ置かれている。歌碑のすぐそばには、農産物直売所「あすか 夢の楽市」があり、いつも多くの人で賑わっているのだが、意外と万葉歌碑があることに気づく人はいないような感じで、サイクリングやハイキングを楽しむ人たちもあまり歌碑の前で立ち止まる人はいないようだ。

 歌碑のある場所の道を挟んですぐのところに甘樫橋がある。

 

 ちょっと、ノスタルジックな風情のある小さな橋であり、その下を明日香川が、静かに小さな流れとなっている。

 

 久しぶりに明日香川を眺めてみたら、意外と水がきれいになっていてちょっとびっくり。

 橋の向こうには甘樫丘が見える。

 

 さて、件の万葉歌碑であるが、万葉仮名で記されていて、「今日もかも、明日香の川の 夕さらず 河蝦(かわづ)鳴く瀬の 清けくあるらむ」と書かれている。作者は、上古麻呂である。作者については、全く情報がなく。調べても文成覚と言う人の子で、従七位の位階を持っていたことはわかった。文氏の一族だから、渡来系の氏族なんだろう。

 

 歌の大意としては、今日もまた、明日香の川の、いつも夕方に鳴いているかわづ(蛙)の鳴くあの瀬は、すがすがしく清らかに流れているのであろうかということになる。「夕さらず」は、毎夕、「かわづ」は蛙の別名である。

 

 蛙の鳴く声が聞こえるということは、春か夏の頃かな。最近では、あまり蛙の声を聞くことって少なくなったけど、夕暮れに蛙の鳴く声が聞こえると、どことなく自然の中にいるような気がして、心の中に染み入ってくるような気がする。

 

 さっきも書いたが、明日香川も久しぶりに眺めてみるとかなり水が澄んできている。もしかしたら、この歌のように夕暮れ時になると蛙の声が夕焼けの空に響くようになっているのかもしれないなあとふっと思ってみたりする。

 残念なことに、これらの写真を撮ったのは、秋のこと。蛙の声はしないけど、歌碑の周りには、コスモスが植えられていて、綺麗に咲いていた。

 これはこれでいいものである。


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