
石舞台古墳から飛鳥寺へ向かう道の途中に飛鳥民俗資料館がある(あったというべきか)。現在の飛鳥民俗資料館は、2階建ての建物「あすかむ」に2階部分にあるが、少し前は、古民家があったと記憶している。いつの間にか場所が移り、民俗資料館と言うよりも、1階部分がチャレンジショップになっていて、何店舗化で共有してフードコートになっている。ここのハヤシライスが気に入っていて、飛鳥に来るとよく食べていたのだが、ごく最近になって、他の所に店舗を構えることができたのかなくなっていた。(残念、至極。)
さて、その古民家があった場所がたぶん、展望スペースになっているのだろう。ここからは、飛鳥の中心部とも言える真神ヶ原やその周辺が良く見える。ここからの景色がお気に入りで、いつもここから代わり映えのしない写真を撮っている。
ちょうど田植えが終わった時で、一面の田園風景が清々しい。この展望スペースの片隅に、舎人娘子の歌碑がある。
歌碑には、大口の 真神の原に 降る雪は いたくな降りそ 家もあらなくにとある。揮毫は、万葉学者犬養孝氏である。これも最近知った話だが、犬養氏は、万葉歌碑を建てるとき、基本万葉仮名を用いるのだそうだ。現代のかなで書くと、将来、もしかしたら読みが変わるかもしれないということで万葉仮名をさいようしているらしい。学問に対する姿勢を感じる話である。
歌の意味としては、「真神の原に降る雪は、ひどく降らないでほしい その辺りに家もないので」となる。恋人の家から帰る人思って作ったような感じではあるなあ。
ちなみに、作者の舎人娘子は、その生涯はあまりわからない。おそらく舎人氏の一族で、持統天皇に使えた女官であったのだろう。残念ながら、彼女の生涯はあまり知られていず生年没年共に不明である。なお、万葉集には3首収録されている。
そして、この展望スペースから眼前に広がる田園地帯が、かつて真神の原と呼ばれた地域である。飛鳥古京跡から飛鳥寺にかけてのこの一面の田んぼの中を歩くのが、お気に入りのルートである。田んぼだけでなく、コスモス畑や柿の木や梅の木などが四季の折々に花を咲かせたり、葉を色づかせたりして、日本の原風景を感じさせてくれる。
この辺りをぶらぶらと歩いて、天理教の教会の向かいの和菓子屋さんで一服するのが最近のルーティンになっている。
この日も同様のルートを歩いてきた。途中、田んぼの中で、鴨とは違う水鳥の姿を見つけた。
ケリという鳥なんだそうだ。カエルみたいな結構変わった鳴き声をしていた。コロナの自粛の中で、遠出もできないので、近くの公園を散歩するようになり、路傍の草花や野鳥の姿に目を止めるようになった。いままで、気にも留めていなかったものが、目に入るようになった。これはいいことのような気がする。
そして、遠出が可能になって初めて出かけたのがここである。
せっかくなので、秋と冬の風景も貼っておきましょう。
こんな感じです。
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