TV 魔法のメディア
桜井 哲夫 著 ちくま新書
実は読了してから、時間がなかったもので何日語ってから書いてます。冒頭で筒井康隆の「48億の妄想」を例に挙げているですが、僕がマスコミに興味を持って大学で勉強しようと思ったきっかけがこの本他の筒井康隆の作品でした。テレビの普及が進み、すべてがイベント化して現実と空想の区別がつかなくなるということがテーマだったような。そして擬似イベントなる言葉が作品の中に絶えず使われてくることになる。当時SF小説にどっぷり浸かっていた僕としては非常に魅力的な世界でした。その後かんべむさしの登場により、筒井康隆自身はマスコミものから手を引くことになります。(かんべむさしのデビュー作「決戦日本シリーズ」は今読んでも阪神ファンの熱狂振りが面白いんですが、85年の阪神優勝より以前に書かれています。今は絶版で読めないですね。僕も古本屋で見つけました。)
この手の本には珍しくテレビの開発技術史が書かれてるんですが、大正時代にはすでに日本でも開発がなされていたとのこと。すごいですね。ただ私学文系の僕には基礎知識がないのでちんぷんかんぷんな部分も多々あります。
3章以下は内容としては、「テレビを巡る言説を思想史」、特にテレビパッシングの歴史というものです
。まあ、桜井哲夫のお得意の手法です。
本書では、筒井康隆自身、文化保守主義の立場からテレビを排除する側の視点に立っているとしている。なるほどと思うことあり、いずれの書でも保守的な立場、エリートの側(演技かも知れんけど)からの思想が前面に出ている気がしていました。(ただ、特に断筆宣言以降は、ぜんぜん読んでないのでなんともいえないです。)というのはいわゆるエリートとテレビの方向性は対極の立場にあります。つまりテレビは民主化、平等化に向かいます。このことからして筒井康隆としては、テレビを容認できないでしょうし、テレビの状況を批判的に描く視点に向かうことになるのでしょう。
最後に、著者は20世紀の最大の発明品であるテレビと共生していこうとする視点が今のテレビを巡る言説にはかけているのではないかとしています。もはや、僕らの生活に完全に入りこんでいるテレビをなくすことは無理でしょう。どうテレビを利用して自分達の生活を豊かにしていくかを考えていく必要があるでしょう。
ただ、現在のテレビ界がそういった方向にプラスに向かっているとは思えない、低俗化が進み、一層、保守主義の立場からの批判が進むような気がしています。
本書は94年に発刊されており、少し古いんですが僕がマスコミの勉強をしていた頃によく引用されていたフロムやマクルーハンの言説も紹介されていて、非常に懐かしい気分になった本です。
桜井 哲夫 著 ちくま新書
実は読了してから、時間がなかったもので何日語ってから書いてます。冒頭で筒井康隆の「48億の妄想」を例に挙げているですが、僕がマスコミに興味を持って大学で勉強しようと思ったきっかけがこの本他の筒井康隆の作品でした。テレビの普及が進み、すべてがイベント化して現実と空想の区別がつかなくなるということがテーマだったような。そして擬似イベントなる言葉が作品の中に絶えず使われてくることになる。当時SF小説にどっぷり浸かっていた僕としては非常に魅力的な世界でした。その後かんべむさしの登場により、筒井康隆自身はマスコミものから手を引くことになります。(かんべむさしのデビュー作「決戦日本シリーズ」は今読んでも阪神ファンの熱狂振りが面白いんですが、85年の阪神優勝より以前に書かれています。今は絶版で読めないですね。僕も古本屋で見つけました。)
この手の本には珍しくテレビの開発技術史が書かれてるんですが、大正時代にはすでに日本でも開発がなされていたとのこと。すごいですね。ただ私学文系の僕には基礎知識がないのでちんぷんかんぷんな部分も多々あります。
3章以下は内容としては、「テレビを巡る言説を思想史」、特にテレビパッシングの歴史というものです
。まあ、桜井哲夫のお得意の手法です。
本書では、筒井康隆自身、文化保守主義の立場からテレビを排除する側の視点に立っているとしている。なるほどと思うことあり、いずれの書でも保守的な立場、エリートの側(演技かも知れんけど)からの思想が前面に出ている気がしていました。(ただ、特に断筆宣言以降は、ぜんぜん読んでないのでなんともいえないです。)というのはいわゆるエリートとテレビの方向性は対極の立場にあります。つまりテレビは民主化、平等化に向かいます。このことからして筒井康隆としては、テレビを容認できないでしょうし、テレビの状況を批判的に描く視点に向かうことになるのでしょう。
最後に、著者は20世紀の最大の発明品であるテレビと共生していこうとする視点が今のテレビを巡る言説にはかけているのではないかとしています。もはや、僕らの生活に完全に入りこんでいるテレビをなくすことは無理でしょう。どうテレビを利用して自分達の生活を豊かにしていくかを考えていく必要があるでしょう。
ただ、現在のテレビ界がそういった方向にプラスに向かっているとは思えない、低俗化が進み、一層、保守主義の立場からの批判が進むような気がしています。
本書は94年に発刊されており、少し古いんですが僕がマスコミの勉強をしていた頃によく引用されていたフロムやマクルーハンの言説も紹介されていて、非常に懐かしい気分になった本です。
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